著者
中村 智美 石倉 宏恭 中野 貴文 仲村 佳彦 神村 英利
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.589-596, 2018-08-31 (Released:2018-09-01)
参考文献数
12

播種性血管内凝固症候群(DIC)治療薬の遺伝子組み換えヒト可溶性トロンボモジュリン(rTM)の急性腎障害(AKI)患者への至適用量を検討した。rTM を1日1回380U/kgまたは130U/kgで投与したDIC合併AKI患者129例を対象とし,持続的血液濾過透析(CHDF)の有無およびrTMの投与量別に,有効性・安全性を評価した。DIC離脱率は,CHDFを施行しなかった患者群ではrTMの用量による違いはなかったが,CHDF施行群では380U/kg群のほうが高い傾向であった(p=0.050)。出血率はCHDFの有無およびrTMの用量間で差はなかった。以上より,AKI合併DIC患者にはrTM 130U/kgと380U/kgで有効性,安全性に差はないものの,CHDF施行時には380U/kg投与によりDIC離脱の可能性が高まることが示唆された。
著者
吉野 朋美 小林 ふみ子 青木 幸子 中嶋 真也 平野 多恵 佐藤 至子 兼岡 理恵 中野 貴文
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究の概要は、以下の四点に集約される。【1】多様な教育手法と経験を備えた大学と高校の教員が、専門分野や学校の垣根を越えて連携し、研究と高等教育の現場を結びつけて、探究型の古典文学教育を実現する。【2】学習者(高校生・大学生・大学院生)と教授者(高校・大学教員)が同じ題材を学び合うことで多様な視座の獲得を可能にするワークショップ(以下WS)を継続的に開催し、古典文学教育でディープ・アクティブラーニングを実現する授業方法を開発する。【3】欧米の大学・大学院における教育方法を応用し、新たな古典教育のモデルを開発する。【4】本研究で開発した教材や教育方法モデルをWeb公開して、社会に広く還元する。
著者
中野 貴文
出版者
中世文学会
雑誌
中世文学 (ISSN:05782376)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.5-15, 2022 (Released:2023-06-09)
著者
中野 貴文 中村 智美 仲村 佳彦 入江 圭一 佐藤 啓介 松尾 宏一 今給黎 修 緒方 憲太郎 三島 健一 神村 英利
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.137, no.7, pp.909-916, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
34
被引用文献数
3 4

Warfarin (WF) shows a number of interactions with other drugs, which alter its anticoagulant effects. The albumin binding interaction is one such pharmacokinetic mechanism of drug interaction with WF, which induces a rise in the free WF concentration and thus increases the risk of WF toxicity. Teicoplanin (TEIC) is an anti-methicillin-resistant Staphylococcus aureus drug, which also binds strongly to albumin in the plasma. Therefore, co-administration of TEIC may displace WF from the albumin binding site, and possibly result in a toxicity. The present study was performed to investigate the drug-drug interaction between WF and TEIC in comparison with controls treated with vancomycin (VCM), which has the same spectrum of activity as TEIC but a lower albumin binding ratio.The records of 49 patients treated with WF and TEIC or VCM at Fukuoka University Hospital between 2010 and 2015 were retrospectively reviewed. These 49 patients consisted of 18 treated with TEIC in combination with WF, while 31 received VCM in combination with WF. Prothrombin time-international normalized ratio (PT-INR) showed a significant increase of 80.9 (52.0-155.3) % after co-administration of TEIC with WF. In contrast, the rate of PT-INR elevation associated with VCM plus WF was 30.6 (4.5-44.1) %. These observations suggested that TEIC can cause a rise in free WF concentration by albumin binding interaction. Therefore, careful monitoring of PT-INR elevation is necessary in patients receiving WF plus TEIC.
著者
清水 星香 江口 幸臣 森脇 典弘 中野 貴文 池内 忠宏 兼重 晋 神村 英利
雑誌
日本薬学会第142年会(名古屋)
巻号頁・発行日
2022-02-01

【目的】現在,福岡大学病院でのEnterococcus faecium(E. faecium)感染症に対するバンコマイシン(VCM)の投与は,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus; MRSA)感染症に対する投与方法を基に設計されている。しかしながら,E.faecium感染症に対するVCMの有効性および安全性を評価する指標は検討されていない。そこで、E. faecium菌血症に対するVCMの適切な投与方法を後方視的に検討するため,薬物血中濃度と有効性、安全性の関連を調査した。【方法】2010年4月~2020年12月に血液培養でE. faeciumが分離された患者のうち,VCMが投与された症例を対象とした。有効性の指標は,体温,白血球数,C-reaticve protein値とし,改善かつE. faeciumが消失した場合を有効と判定した。一方,安全性の指標は,血清クレアチニン値の変化量とした。VCMのarea under the blood concentration-time curve(AUC)およびE. faeciumに対するminimum inhibitory concentration(MIC)を用いてAUC/MICを算出し,治療成績との関連を調査した。AUCはVCMのトラフ濃度を基にTDM解析ソフトウェアを用いて算出した。【結果】E. faecium感染症に対してVCMが使用された32例のうち,発熱がみられなかった4例とVCM血中濃度測定が未実施であった1例を除いた27例を対象とした。対象患者のうち,5例が有効と判定された。有効例のうち,4例はAUC/MICが1000以上であり,このうち2例に腎障害がみられた。【考察】本研究によりVCMのE. faecium菌血症に対するPK/PD指標としてAUC/MIC≧1000が必要である可能性が示された。一方で,高用量のVCMによる腎障害のリスクを考慮する必要があり,TDMの重要性が示唆された。
著者
中野 貴文 川村 和章 椎谷 亨 山本 龍生 向井 義晴
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.215-220, 2022-06-30 (Released:2022-06-30)
参考文献数
23

目的:活動性根面齲蝕に類似した象牙質病巣を作製し,ジェルタイプのフッ化物含有知覚過敏治療材の塗布時間の違いによる病巣変化と進行停止効果について,TMR(Transverse microradiography)を用いて検討を行った. 材料と方法:フッ化物含有象牙質知覚過敏治療材として,MSコートHysブロックジェルを使用した.ウシ歯根部象牙質に耐酸性バーニッシュを塗布し,2×3mmの被験面を作製した.実験群はBaseline lesion群,Control群,30s-Tr群,5min-Tr群の4群とした.4群とも脱灰溶液(1.5mM CaCl2,0.9mM KH2PO4,50mM酢酸,0.2ppm F,pH 5.0)を注いで24時間37°Cで基準病巣を作製した後,Baseline lesion群はこの直後にTMR分析を行った.他の3群は各処理を行った後に96時間脱灰を行い,TMR分析を行った.被験面処理方法は,Control群では脱イオン水を30秒間,30 s-Tr群ではHysブロックジェルを30秒間,5min-Tr群ではHysブロックジェルを5分間塗布した.すべての群の試料から薄切片を切り出した後,TMR撮影してミネラルプロファイルから脱灰深度とミネラル喪失量を測定した.統計分析はKruskal-Wallis検定ならびにSteel-Dwassの多重比較検定により,有意水準5%で実施した. 結果:5min-Tr群のミネラルプロファイルはControl群に比較し顕著に高いミネラルvol%を示し,特に表層部は約45vol%であった.各群の病巣深度は,Baseline lesion群で71.5μm,Control群で165.8μm,30 s-Tr群で155.7μm,5min-Tr群で100.1μmであり,ミネラル喪失量は,Baseline lesion群で2,020.0vol%×μm,Control群で4,727.5vol%×μm,30 s-Tr群で3,592.5vol%×μm,5min-Tr群で2,102.5vol%×μmであった.病巣深度およびミネラル喪失量とも,5min-Tr群はControl群および30s-Tr群に比較し有意に小さな値を示した. 結論:表層の再石灰化が乏しい根面脱灰病巣に対し,MSコートHysブロックジェルを規定の塗布時間を超えて5分間処理することにより,効果的な病巣進行停止効果が認められた.
著者
西岡 直子 中川 真次 木村 浩子 森本 遥 中野 貴文 山﨑 佳歩 小谷 廣信
出版者
日本赤十字社和歌山医療センター
雑誌
日本赤十字社和歌山医療センター医学雑誌 = Medical journal of Japanese Red Cross Wakayama Medical Center (ISSN:13419927)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.67-72, 2017-03-31

平成26年4月の特定共同指導において「再指導」という結果を受けたことから、特定共同指導ワーキング(以下、WGという)を立ち上げ、指摘事項について協議を行った。医療情報管理課は、カルテ監査及び医学管理料(以下、管理料という)の監査を担当した。診療報酬点数表より管理料の算定要件を精査し、医師による管理料算定の徹底を院内に周知した。管理料オーダの中で、算定要件を満たしているものを「適正」、満たしていないものを「不適正」とし、不適正オーダについて日々督促を行い、毎月開催されたWGで適正率ならびに不適正オーダに対する督促数、不適正オーダの修正数等を報告した。その結果、平成27年2月の個別指導では、「経過観察」となった。管理料の監査については、個別指導後も日々行っており、平成28年5月の管理料の適正率は98%であった。個別指導後も、高い適正率は保っているものの不適正オーダの未修正オーダも残存しているので、再督促の徹底が急務である。
著者
中野 貴文
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

二年間にわたって続けてきた消息的テキストの文学史的な位置つげを明らかにする研究のまとめとして、消息的テキストの中心である『徒然草』の文学史的性格を闡明した。これまで論じてきた通り、『徒然草』の序段から三十数段までのいわゆる「第一部」には、「身ぬ世の人へ宛てた消息」という性格が濃厚であった。加えて、幾つかの章段からは、『源氏物語』、及びその強い影響下に成立した中世の王朝物語の類と非常によく似た表現・美意職が看取された。具体的に言えば、「第一部」には閑居の理想を説いた第五段や晩秋の美を説いた第十一段など、『源氏物語』の中でも「賢木」から「須磨」にかけての光源氏を彷彿とさせる章段が散見する。これは兼好が、失脚し閑居において無聊を箪で慰める源氏の姿を借りる(したがって著名な序段の「つれづれ」も、ある種の擬態・ポーズと見るべきであろう)ことで、『徒然草』という文学史的に特異なテキストを書き進める根拠としたためであると思われる。『徒然草』「第一部」の内容は、兼好固有の思想として即時的に理解されるのではなく、むしろこのような執筆姿勢によって規定されたものとして把握されるべきなのである。以上の内容をまとめた論文を『日本文学』に投稿し、二〇一〇年六月号に掲載されることとなった。『徒然草』は、「書く」という行為の次元において『源氏物語』と密接につながっており、さらに同時代の物語群とも強い関連を有している。同論文は、従来は指摘されることの少なかった古典テキストと『徒然草』との影響関係を解明したことによって、中世文学史の見直しの契機と成り得るものと確信する。また、共著『大学生のための文学レッスン古典編』を上梓し、『徒然草』の文学的性格を広く世に問うことにも貢献した。(733字)