著者
佐藤 啓介
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.299-322, 2012-09-30

本稿は、世界における悪(とりわけ自然悪)の存在を考える思索について、神の正当化を目指す狭義の神義論から区別し、悪の存在に対する抗議をおこなう思索を広義の神義論として定義し、そうした抗議の声に含まれる宗教哲学的な原資を探るものである。私たちは、自然悪について、自然への謙譲には収まらない抗議や不満を覚える。バーガーによれば、その抗議や不満の根底にあるのは、神の義から切り離してもなお要求しうるような、悪の意味の要求である。だが、この悪の意味は不明確な概念であり、アンリによれば、悪の外的な意味と受苦の内的な意味を区別すべきであり、後者の受苦は、生そのものの成立に関わる超越論的構造に組み込まれるべきものである。他方、外的な悪に対する苦しみへの宛て先のない抗議は、ネグリに従えば、悪の意味の要求ですらなく、悪を不公平と感じる尺度そのものへの反抗であり、尺度を超えた尺度の主体と世界の存在論的生成の契機なのである。
著者
佐藤 啓介
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.29-43, 2019-03-30 (Released:2019-05-22)

Empirically, we say of the “Dignity of the dead”, which corresponds to the dignity of human being. On the other hand, theoretically, we don’t understand why and to what degree the dead should have the dignity. This article intends to found this reason and construct the foundation for the general ethics of the dead. The strategy in this article would be called “ethics of the dead from below”, which contrasts with “one from above” that emphasizes the Otherness of the dead and distance between the dead and us. There are two difficulties in admitting the dignity of the dead; the dead is the non-being who cannot suffer; we cannot affect and recover the way of being of the dead. But, recent philosophical investigations on the harm of death are solving the first difficulty by thinking that the dead can have ontological status in the symbolic or discursive levels. The second difficulty is solving by Ichinose’s thought how we would be harrowed by causal absence of the dead. These philosophical efforts would contribute to the universal and formal foundation for the ethics of the dead.
著者
森川 輝一 福島 清紀 奥田 太郎 佐藤 啓介 宮野 真生子 佐藤 実 新田 智道 福野 光輝 近藤 智彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究課題について、各メンバーが様々な分野の学会で研究発表を行なったほか、仏教学、社会心理学、古代ギリシア思想の研究者を研究協力者として招き、意見交換を実施した。また、それぞれのメンバーが研究課題についての論文や著書を刊行した。代表的なものとして、宮野真生子『なぜ、私たちは恋をして生きるのか』(ナカニシヤ出版、2014年)、森川輝一他『政治概念の歴史的展開・第八巻』(晃洋書房、2015年)が挙げられる。
著者
佐藤 啓介
出版者
日本基督教学会
雑誌
日本の神学 (ISSN:02854848)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.46, pp.31-52, 2007-09-20 (Released:2009-10-23)
参考文献数
59
著者
佐藤 啓介 福島 清紀 奥田 太郎 森川 輝一 宮野 真生子 佐藤 実 新田 智通
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、幸福概念を思想史的・文化史的な重層性をふまえて考え直すことによって、幸福概念が、第一に、個人の主観的な幸福感には限定されない社会性・集団性を有した倫理的地平において考察されるべきものであることと、第二に、その幸福は、個人の次元を超えた社会的時間性や、ひいては形而上学的な世界の時間性にまで及ぶような多層的な時間論のなかで考えられるべき余地があることが明らかになった。以上の成果は、近年の社会心理学的な幸福論を補完し修正しうる意味を有していると思われる。