- 著者
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久保 慶明
- 出版者
- 日本選挙学会
- 雑誌
- 選挙研究 (ISSN:09123512)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.1, pp.44-59, 2019 (Released:2022-09-12)
- 参考文献数
- 12
本稿では,2017年総選挙,2018年沖縄県知事選,2019年沖縄県民投票の分析を通じて,沖縄県内の政治過程の持続と変容を明らかにする。17年総選挙では,オール沖縄内の選挙区すみ分けが機能する一方,自民党と公明党の選挙協力の効果が前回から回復し,有効投票率の上昇が自民党候補の得票率向上に寄与した。沖縄4区では自民と維新が候補者レベルで選挙協力し,自民党候補が当選した。18年知事選では,オール沖縄における保守系勢力の縮小と,自公維の選挙協力という変化が起きたものの,得票構造の変動は小規模なものにとどまり,翁長雄志の後継である玉城デニーが当選した。19年県民投票では,総選挙や知事選を超える辺野古埋め立て「反対」の民意が表出された一方,自民党の強い地域では「どちらでもない」への投票や棄権が多かった。こうした結果は,14年に成立した構図が有権者レベルで持続していることを示している。