- 著者
-
竹中 佳彦
- 出版者
- 日本公共政策学会
- 雑誌
- 公共政策研究 (ISSN:21865868)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, pp.35-47, 2010
<p>本稿の目的は,東大・朝日政治家調査と東大・朝日世論調査を用いて,2000年代の日本の国会議員のイデオロギーと信念体系を,有権者と比較しながら,明らかにすることである。分析の結果,以下の結論が得られた。第1に,代議士のイデオロギーには,03年から05年にかけて保守化や脱保守化という傾向は見られない。第2に,自民党代議士のイデオロギーは中道化しており,自民党と民主党のイデオロギー対立はかなり縮まってきている。第3に,国会議員の政党間の政策対立は,自民党と共産党や社民党の間では大きいが,自民党と民主党の間では,有意な差は存在するものの,さほど大きくはない。第4に,国会議員の信念体系は,安全保障に関する争点や小さな政府を強く統合する保革イデオロギーと,日本型システムに関する次元の2次元から構成されている。これに対して有権者の信念体系は,安全保障に関する争点と小さな政府が独立した次元となっており,日本型システムに関する次元とあわせて3次元て構成されている。第5に,国会議員の信念体系も,有権者のそれも,07年になっても大きな変化を見せていないので,イデオロギーを中核とする態度構造は残存している。</p>