著者
濱本 真輔
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.32-47, 2015 (Released:2018-04-06)
参考文献数
35

日本の首相は与党内をどのように統治し,議員はそれにどのように対応しているのか。1990年代の首相,総裁権限の強化により,首相や官邸を軸とした政策決定への変化が観察されている。ただし,首相や党執行部への集権化の指摘がある一方で,首相・党首の交代を意図した党内対立も存在しており,首相-与党関係の全体像は必ずしも明らかとなっていない。本稿は1980年から2014年までの政府人事と造反を分析し,首相の党内統治のあり方を検討する。分析からは,選挙制度改革後に①主流派優遇人事の増加,②造反の増加,③人事と造反の関係の変化を明らかにする。結果として,1980年代以降の自民党政権下の党内統治のあり方は,人事権を派閥に大きく委ねつつも造反を抑止する状態から,首相への委任が安定的ではないものの,首相及び首相支持グループを軸とした党内統治へと進みつつあることを指摘する。
著者
濱本 真輔 根元 邦朗
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.2_70-2_97, 2011 (Released:2016-02-24)
参考文献数
48
被引用文献数
1 1

While politicians still seem to see district activities as an important strategy for mobilizing personal votes, elections in Japan are increasingly marked by party competition. Why do they engage in such a strategy and does it really increase votes? By answering these questions, this paper aims to address how nationalized party competition affects politicians' behavior and how they adjust their different reelection strategies in changing environments. We hypothesize that personal-vote campaigning indeed increases votes and that its impact is larger where the incentives to cultivate personal votes are greater. With an original time-series dataset on the schedules of more than 150 Diet members, we offer the first systematic empirical test and find evidence confirming the hypotheses.
著者
濱本 真輔
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.32-47, 2015

日本の首相は与党内をどのように統治し,議員はそれにどのように対応しているのか。1990年代の首相,総裁権限の強化により,首相や官邸を軸とした政策決定への変化が観察されている。ただし,首相や党執行部への集権化の指摘がある一方で,首相・党首の交代を意図した党内対立も存在しており,首相-与党関係の全体像は必ずしも明らかとなっていない。本稿は1980年から2014年までの政府人事と造反を分析し,首相の党内統治のあり方を検討する。分析からは,選挙制度改革後に①主流派優遇人事の増加,②造反の増加,③人事と造反の関係の変化を明らかにする。結果として,1980年代以降の自民党政権下の党内統治のあり方は,人事権を派閥に大きく委ねつつも造反を抑止する状態から,首相への委任が安定的ではないものの,首相及び首相支持グループを軸とした党内統治へと進みつつあることを指摘する。
著者
品田 裕 大西 裕 曽我 謙悟 藤村 直史 山田 真裕 河村 和徳 高安 健将 今井 亮佑 砂原 庸介 濱本 真輔 増山 幹高 堤 英敬 平野 淳一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、国会議員を主とする政治家と有権者の関係、あるいは政治家同士の関係がどのように変容しつつあるのかを調査し、その変化の要因を実証的に解明することを目的として開始された。その結果、本研究では、選挙区レベルの詳細な観察・データを基に、実証的に現代日本の選挙政治の変容を明らかにすることができた。取り上げた研究対象は、集票活動・有権者と政治家の関係・政治家同士の関係・議員活動・政治家のキャリアパス・政党下部組織など、多岐にわたった。これらの分析から得られた成果を基礎に、さらに、国会のあり方や選挙制度にまで分析を進めることができ、現代日本の選挙政治理解に一定の貢献を果たすことができた。
著者
山本 英弘 竹中 佳彦 海後 宗男 明石 純一 関 能徳 濱本 真輔 久保 慶明 柳 至 大倉 沙江
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

近年、経済的・社会的不平等の拡大への政治的対応が求められている。しかし、政治への参加や政策による応答に格差があるとしたら、かえって不平等を助長するおそれがある。そこで本研究では、政治参加と政策応答という2つの点から政治的不平等の実態を捉え、さらに経済的・社会的不平等と関連付けながら政治的不平等の生成メカニズムを解明する。具体的には、1)大規模質問紙調査に基づく個人と団体の政治参加における不平等の把握、2)個人や団体の政策選好と実際の政策との照合による政策応答における不平等の把握、3)事例研究に基づく具体的な政策争点における参加と応答をつなぐプロセスの把握、という3つの調査研究に取り組む。
著者
濱本 真輔
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.2_65-2_87, 2012 (Released:2016-02-24)
参考文献数
37

The Democratic Party of Japan (DPJ) has scored a historic victory in the 2009 election. It brings an end to more than 50 years of almost unbroken rule by the governing Liberal Democratic Party (LDP). This would constitute the first time that power has shifted between the two largest parties in postwar Japan. This change has influenced the bureaucracy and interest groups.   In this paper, we investigate the change in interest group behavior based on the competitiveness of the party system. Our data after dominance is largely drawn from Japan, where we have an excellent opportunity to find out how interest groups reacted to first the prospects. We also utilize the data from Germany and Korea for comparison to the one party dominance system in Japan. An analysis based on a nationwide survey offers a key to understanding the interest groups' configuration in the two - party system and allows us to estimate the effect of the power shift on the interest groups themselves. It is likely that the power shift will result not in the DPJ's dominance, but rather in a situation where the interest groups will tend to be in contact with both parties and withdraw from the electoral process.
著者
濱本 真輔
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

これまで、選挙制度改革の議員や政党に対する影響を検討している研究では、選挙制度と議員・政党に関する分析枠組みとそれに基づく体系的な実証研究が不足しており、選挙制度改革の評価も分かれている。これに対して、本研究は自民党議員を取り巻く環境、議員の認識と行動、政党組織を選挙制度改革前後で比較し、選挙制度改革の効果を網羅的に検証するものである。研究実施計画(平成21年度)では、前年度の資料収集およびレビューに基づいて、政党組織に関する論文を執筆することであった。具体的には、結党以来の自民党の党改革を4つの期間に分けて分析し、論文を執筆する予定であった。しかし、資料収集やレビューの不足もあり、リクルート事件以降の政治改革の過程と選挙制度改革後の党改革を比較した。分析では、選挙制度改革という制度変化だけでは広範な組織変化が発生しなかったことを明らかにした。また、組織変化の方向性を探る上でも、制度条件だけでなく、議員が並立制を受容し、(1)議員-政党間の目標の共有部分が拡大したこと、(2)選挙での敗北と世代交代などによって、小選挙区制に見合った政党組織改革(公募制度の導入、シンクタンクの創設、メディア対策)が進展していることを指摘した。前年度までの分析を含め、選挙制度改革は議員の認識や行動、政党組織改革に影響を及ぼし、自民党の集権化を促す要因となっていること、またその持続性を支持する結果が出ていることを明らかにした。