著者
久保 拓弥
巻号頁・発行日
2008

大学院での統計学授業2008の「講義ノート」です。
著者
久保 拓弥
出版者
社団法人 農山漁村文化協会
雑誌
生物科学 (ISSN:00452033)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.188, 2003-03

樹木の個体・個体群・群集の問題を取りあつかう生態学のデータ解析ではさまざまな統計学的手法が駆使される.同時にこれらの手法についてよく理解されぬまま間違って用いられている事例も散見する.ここではよく普及しているごく簡単な誤用二例を紹介する.対数変換してから直線回帰することで生じる問題,そして「割り算指標」とその分母の間で「負の相関を創作」してしまう失敗である.どちらも観測データの「確率分布を見ない」解析方針に原因がある.統計学的なデータ解析では背後にある確率論的モデルを考え,それらに合致した統計学的手法を採用しなければならない.
著者
久保 拓弥
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.187-196, 2009-07-31 (Released:2017-04-20)
参考文献数
19
被引用文献数
6

観測データの背後にある生態学的なプロセスを特定するときに、データの空間構造に由来する空間的自己相関(空間相関)のある「場所差」はとりあつかいの難しい「ノイズ」である。空間相関のある「場所差」はrandom effectsとして統計モデルの中で表現するのがよい。近年よく使われているGLMMなど簡単な階層ベイズモデルでは空間相関のあるrandom effectsをうまくあつかえない。そこで空間相関をうまく表現できるintrinsic Gaussian CAR modelの概要を説明し、単純化した架空データから得られる推定結果を示す。また階層ベイズモデルが威力を発揮する、欠測のある観測データが与えられた状況での推定結果も示した。
著者
久保 拓弥 粕谷 英一
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.181-190, 2006-08-31 (Released:2016-09-06)
参考文献数
9
被引用文献数
12

生態学のデータ解析で一般化線形モデル(generalized linear model; GLM)が普及していくにつれ「GLMだけでは説明がむずかしい現象」にも注目が集まりつつある。たとえば「過分散」(overdispersion)はわれわれがあつかう観測データによくあらわれるパターンであり、これは「あり・なし」データやカウントデータのばらつきがGLMで解析できなくなるほど大きくなることだ。この過分散の原因のひとつは個体差・ブロック差といった「直接は観測されてないがばらつきを増大させる効果」(random effects)である。この解説記事ではこのrandom effectsも組みこんだ一般化線形混合モデル(generalized linear mixed model; GLMM)で架空データを解析しながら個体差・ブロック差を考慮したモデリングについて説明する。
著者
久保 拓弥
出版者
日本評論社
雑誌
数学セミナー (ISSN:03864960)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.16-22, 2007-11
著者
東 正剛 三浦 徹 久保 拓弥 伊藤 文紀 辻 瑞樹 尾崎 まみこ 高田 壮則 長谷川 英祐
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究プロジェクトにより、スーパーコロニー(SC)を形成するエゾアカヤマアリの感覚子レベルにおける巣仲間認識と行動レベルでの攻撃性の関係が明らかとなった。このアリは、クロオオアリの角で発見されたものと同じ体表炭化水素識別感覚子を持ち、巣仲間であってもパルスを発しており、中枢神経系で識別していると考えられる。しかし、SC外の他コロニーの個体に対する反応よりは遥かに穏やかな反応であり、体表炭化水素を識別する機能は失われていないと考えられる。また、SC内ではこの感覚子の反応強度と巣間距離の間に緩やかな相関関係が見られることから、咬みつき行動が無い場合でも離れた巣間では個体問の緊張関係のあることが示唆された。敵対行動を、咬みつきの有無ではなくグルーミングやアンテネーションなどとの行動連鎖として解析した結果、やはり咬みつきがなくてもSC内の異巣間で緊張関係が検出された。さらに、マイクロサテライトDNAを用いて血縁度を測定したところ、SC内の巣間血縁度は異なるコロニー間の血縁度と同じ程度に低かった。巣内血縁度はやや高い値を示したが、標準偏差はかなり大きく、巣内には血縁者だけでなく非血縁者も多数含まれていることが示唆された。これらの結果から、SCの維持に血縁選択はほとんど無力であり、恐らく、結婚飛行期における陸風の影響(飛行する雌は海で溺死し、地上で交尾後、母巣や近隣巣に侵入する雌が生き残る)、砂地海岸における環境の均一性などが多女王化と敵対性の喪失に大きく関わっていると結論付けられる。
著者
村上 正志 平尾 聡秀 久保 拓弥
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.362, 2005 (Released:2005-03-17)

植食性昆虫の群集構造を制限するメカニズムとして、捕食者や寄生者を介した植食者間の見かけの競争が重要である可能性が示唆されている。しかし、これまでのほとんどの研究は実験条件下での検証であり、野外においてはわずかに一例が報告されているにすぎない。森林生態系において、ジェネラリスト寄生者である寄生蜂は被食者である潜葉性昆虫間に見かけの競争を引き起こす可能性があるが、これは空間構造をもつ生息場所を舞台として生じており、空間構造が見かけの競争の有無に影響を及ぼしていると考えられる。寄生者の分布様式に空間的な集中が見られるならば、近接する樹木個体上に生息している潜葉性昆虫個体群の間に見かけの競争が生じていることになる。本研究では、森林生態系において潜葉性昆虫_-_寄生蜂群集を対象として、空間スケールに依存した生物間相互作用の定式化を試みる。調査は北海道大学苫小牧研究林で行った。30m四方の調査プロットを5つ設定し、樹木7種の位置を計測した。また、すべての樹木個体から潜葉性昆虫を定量的にサンプリングし、潜葉性昆虫を飼育することによって樹木パッチあたりの寄生率を調べた。生物間相互作用の空間パターンの解析に際しては、寄生の空間相関モデルを検討した。モデルでは正の空間相関が検出されたときに見かけの競争があることを仮定している。寄生蜂の空間分布パターンは潜葉性昆虫種や寄生蜂種、モデルで仮定する近傍情報に依存して様々な変動を示したが、近傍までの距離が比較的近い場合,寄生の空間パターンとして正の空間相関が見いだされる傾向があった。これらの結果から,森林内で寄生蜂は空間的に集中し、潜葉性昆虫の間に見かけの競争が生じていることが明らかになった。
著者
久保 拓弥
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.187-196, 2009-07-31
被引用文献数
4

観測データの背後にある生態学的なプロセスを特定するときに、データの空間構造に由来する空間的自己相関(空間相関)のある「場所差」はとりあつかいの難しい「ノイズ」である。空間相関のある「場所差」はrandom effectsとして統計モデルの中で表現するのがよい。近年よく使われているGLMMなど簡単な階層ベイズモデルでは空間相関のあるrandom effectsをうまくあつかえない。そこで空間相関をうまく表現できるintrinsic Gaussian CAR modelの概要を説明し、単純化した架空データから得られる推定結果を示す。また階層ベイズモデルが威力を発揮する、欠測のある観測データが与えられた状況での推定結果も示した。
著者
久保 拓弥 粕谷 英一
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.181-190, 2006-08-31

生態学のデータ解析で一般化線形モデル(generalized linear model; GLM)が普及していくにつれ「GLMだけでは説明がむずかしい現象」にも注目が集まりつつある。たとえば「過分散」(overdispersion)はわれわれがあつかう観測データによくあらわれるパターンであり、これは「あり・なし」データやカウントデータのばらつきがGLMで解析できなくなるほど大きくなることだ。この過分散の原因のひとつは個体差・ブロック差といった「直接は観測されてないがばらつきを増大させる効果」(random effects)である。この解説記事ではこのrandom effectsも組みこんだ一般化線形混合モデル(generalized linear mixed model; GLMM)で架空データを解析しながら個体差・ブロック差を考慮したモデリングについて説明する。
著者
久保 拓弥
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.187-196, 2009-07

観測データの背後にある生態学的なプロセスを特定するときに,データの空間構造に由来する空間的自己相関(空間相関) のある「場所差」はとりあつかいの難しい「ノイズ」である.空間相関のある「場所差」はrandom effects として統計モデルの中で表現するのがよい.近年よく使われているGLMM など簡単な階層ベイズモデルでは空間相関のあるrandom effects をうまくあつかえない.そこで空間相関をうまく表現できるintrinsic Gaussian CAR model の概要を説明し,単純化した架空データから得られる推定結果を示す.また階層ベイズモデルが威力を発揮する,欠測のある観測データが与えられた状況での推定結果も示した.