著者
井手 広康
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.254-257, 2021-04-15

2020年10月,大学入試センターは,2024年度の大学入学共通テストに教科「情報」を新設する方針を示した.さらに同センターはこの翌月,「大学入学共通テストにおける「情報」試作問題(検討用イメージ)」を関連団体に通達した.本稿では,これまでの教科「情報」の変遷と,大学入学共通テスト「情報」試作問題の概要を記すとともに,情報担当の教員が試作問題に対してどのような想いを抱いているのかをまとめる.
著者
井手 広康 奥田 隆史
出版者
一般社団法人 日本産業技術教育学会
雑誌
日本産業技術教育学会誌 (ISSN:24346101)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.269-278, 2021-06-28 (Released:2022-06-28)
参考文献数
10

2019年に改訂された高等学校学習指導要領において,文部科学省は授業で取り扱うプログラミング言語を指定していないが,高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修教材においてPythonのプログラムを例示している。ただし,Pythonにはさまざまなプログラミング環境が存在するが,プログラミング言語と同様にプログラミング環境についても指定していない。そこで,本研究では,高等学校のプログラミング教育において,プログラミング環境の違いによって生じる教育効果の違いを比較することを目的とし,7つのクラスに対してそれぞれ異なるPythonのプログラミング環境を用いて同一の授業を行った。ARCS評価シート,事前・事後アンケート,確認テストの結果から,プログラミング環境のうちTextFile形式のものに良い結果が表れる傾向があり,特にJupyter Lab (TextFile)とSpyderが他のプログラミング環境と比較して高い教育効果が期待できることがわかった。
著者
井手 広康 奥田 隆史
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.171-176, 2017-11-03

全自動麻雀卓は“牌をかき混ぜて牌山に積み上げる動作”を自動で行う麻雀卓のことを指す.全自動麻雀卓の撹拌手法には一定の規則性があるため,これが要因となって牌に偏りが生じている可能性があると考えられる.そこで本研究では,マルチエージェント・シミュレーションを用いた全自動麻雀卓における撹拌手法のモデル化について提案し,牌の撹拌率について分析を行った.シミュレーションの結果から,全自動麻雀卓の撹拌手法によって少なからず牌に偏りが発生していることがわかった.また本シミュレーションによる撹拌手法のモデルでは,全自動麻雀卓のドラムに空回転を加えることによって撹拌率は改善され,3回転以上の空回転を加えたとき十分に牌全体が撹拌するという結果が得られた.
著者
井手 広康 奥田 隆史
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.2044-2053, 2018-11-15

全自動麻雀卓とは「すべての牌を裏向きにしてかき混ぜ,それらを牌山に積み上げる」という作業を,プレイヤの代わりに自動で行う麻雀卓のことを指す.しかし全自動麻雀卓における牌の撹拌手法(牌のかき混ぜ方)には一定の規則性があるため,牌に偏りが生じている可能性があると従来より指摘されている.そこで本研究では,マルチエージェントシミュレーションを用いて全自動麻雀卓をマルチエージェントモデルとして表現し,シミュレーション結果から牌の撹拌率(牌の撹拌の度合い)について分析した.さらに実機による実験結果との比較を行い,マルチエージェントモデルの妥当性について検証した.
著者
井手 広康
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.298-302, 2022-05-15

高等学校では令和4年度入学生から年次進行で新学習指導要領が適応され,共通教科「情報」では必履修科目「情報I」が実施されている.「情報I」では「プログラミング」の後に「モデル化とシミュレーション」の単元が続いているが,学会や研究会において「モデル化とシミュレーション」の分野が実践事例で取り上げられることは,「プログラミング」の分野と比較して非常に少ない.本稿では,大学入試センターが公開した大学入学共通テスト「情報」試作問題に出題されたシミュレーション問題を題材にした「モデル化とシミュレーション」の授業実践について紹介する.
著者
井手 広康 奥田 隆史
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.483-484, 2017-03-16

昭和50年代に日本で全自動麻雀卓が登場し,麻雀荘を中心に広く普及することになった.この全自動麻雀卓とは,本来はプレイヤが手で行っていた“牌をかき混ぜて牌山に積み上げる動作”を自動で行う麻雀卓のことを指す.しかし,全自動麻雀卓の牌の撹拌手法には一定の規則性があるため,これが要因となり牌に偏りが生じている可能性がある.そのため本研究では,牌の撹拌手法から全自動麻雀卓をモデル化し,マルチエージェント・シミュレーションを用いて牌の撹拌率について検証した.その結果,全自動麻雀卓内部の牌を回転させるドラム空間に空回転(吸込み口が牌を取得しない回転)を加えることによって,牌の撹拌率を大幅に改善できることが分かった.
著者
井手 広康 奥田 隆史
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.2054-2062, 2018-11-15

トランプ,かるた,花札などに代表されるカードゲームでは,1回のゲームごとにデッキ(1組のカードの山)をシャッフルすることが一般的である.シャッフルにはヒンズー・シャッフル,リフル・シャッフル,ディール・シャッフルなどの手法が存在し,複数のシャッフルを組み合わせて使用することも多い.しかしシャッフルに関する研究はこれまで十分に行われておらず,最適なシャッフルの組合せについて明らかとなっていない.そこで本研究では,トランプを想定して複数のシャッフルを組み合わせてシミュレーションを行い,シャッフル結果から最適なシャッフルの組合せについて分析する.
著者
井手 広康
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-10, 2023-02-22

令和4年度から始まった「情報I」の教科書にPython,JavaScript,VBA,Scratchの4つのプログラミング言語が使用されたことから,多くの高等学校がいずれかのプログラミング言語を使用して授業を行うことになる.本研究では,クラスごとに4つのプログラミング言語を使い分けて同じ授業内容でプログラミング教育を実践し,最後に大学入学共通テスト「情報」サンプル問題(第2問)を全員に解答させた.サンプル問題の解答結果や事後アンケートの結果から,どのプログラミング言語を授業で使用していても,大学入学共通テストの解答に大きな影響を及ぼす可能性が低いが,各プログラミング言語が持つ特有の表記や仕様により,少なからず解答に影響が生じていることが明らかとなった.
著者
井手 広康
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.8-18, 2022-10-21

令和4年度より高等学校では「情報I」が始まり,プログラミングの分野では,基本的に教科書に記載されたプログラミング言語を用いて授業を行うことになる.また,令和7年度からの大学入学共通テストに「情報」が導入されることから,授業で扱うプログラミング言語と共通テスト「情報」に出題されるDNCLとの違いを意識しながらプログラミング教育を実施する必要がある.そこで本研究では,DNCLと「情報I」の教科書に使用されているPython,JavaScript,VBA,Scratchとの相違点について考察するとともに,試作問題/サンプル問題と教科書に記載されているプログラミング分野の内容について比較を行った.その結果,DNCLと各プログラミング言語には,変数の宣言,ブロックの区切り,オブジェクトの結合,配列/リストの作成と操作,for文の表記などに大きな違いがあること,すべての教科書が試作問題/サンプル問題に出題された内容を網羅できているわけではないことが分かった.
著者
井手 広康
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.e41-e59, 2022-03-15

令和7年の大学入学共通テストに「情報」が追加されることが正式に決定した.大学入試センターは,共通テストを想定した「情報」の問題として,これまで試作問題とサンプル問題を公開している.現在,上記以外に共通テストの参考になる「情報」の問題は少ないが,当分の間は「情報関係基礎」の問題が活用できるだろう.本稿では「情報関係基礎」の過去問のうち,2005年度の第2問「じゃんけん大会」を取り上げ,解答のための手順とポイントについて解説する.
著者
井手 広康
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2022-CE-163, no.14, pp.1-7, 2022-01-29

令和 4 年度から始まる「情報Ⅰ」の教科書に Python,JavaScript,VBA,Scratch の四つのプログラミング言語が使用されたことから,多くの学校がいずれかのプログラミング言語を使用して授業を行うことになる.本研究では,クラスごとに四つのプログラミング言語を使い分けて同じ内容でプログラミング教育を実践し,最後に大学入学共通テスト「情報」サンプル問題の第 2 問「プログラミング」を全員に解答させた.サンプル問題の解答結果や事後アンケートの結果から,どのプログラミング言語を授業で使用していても,共通テスト「情報」を解答する上で大きな影響がないことが明らかとなった.ただし,Scratch については他のプログラミング言語と比較して解答に時間を要することが予測されるため,共通テスト「情報」の DNCL に慣れるための演習が必要であると考える.
著者
井手 広康
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.254-257, 2021-04-15

2020年10月,大学入試センターは,2024年度の大学入学共通テストに教科「情報」を新設する方針を示した.さらに同センターはこの翌月,「大学入学共通テストにおける「情報」試作問題(検討用イメージ)」を関連団体に通達した.本稿では,これまでの教科「情報」の変遷と,大学入学共通テスト「情報」試作問題の概要を記すとともに,情報担当の教員が試作問題に対してどのような想いを抱いているのかをまとめる.
著者
井手 広康 奥田 隆史
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.2044-2053, 2018-11-15

全自動麻雀卓とは「すべての牌を裏向きにしてかき混ぜ,それらを牌山に積み上げる」という作業を,プレイヤの代わりに自動で行う麻雀卓のことを指す.しかし全自動麻雀卓における牌の撹拌手法(牌のかき混ぜ方)には一定の規則性があるため,牌に偏りが生じている可能性があると従来より指摘されている.そこで本研究では,マルチエージェントシミュレーションを用いて全自動麻雀卓をマルチエージェントモデルとして表現し,シミュレーション結果から牌の撹拌率(牌の撹拌の度合い)について分析した.さらに実機による実験結果との比較を行い,マルチエージェントモデルの妥当性について検証した.An automatic mahjong table is a table which has two functions of agitating all tiles and stacking them up automatically. However, it is pointed out for a long time that there is a possibility that tiles are biased because of certain rules to agitate tiles on automatic mahjong tables. Therefore, in this study, we modeled an automatic mahjong table using multi-agent simulation, and analyzed the degree of bias of tiles in the automatic mahjong table. Furthermore, we veried the validity of the model by comparing two results of an actual machine and a multi-agent simulation.
著者
井手 広康
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.392-395, 2023-07-15

情報処理学会第85回全国大会と併催する形で第5回中高生情報学研究コンテストが2023年3月4日(土)に電気通信大学とオンラインとのハイブリッドで開催された.中高生情報学研究コンテストが現地開催となったのは,第1回以来の実に4年ぶりのことである.本稿では,中高生情報学研究コンテストの意義を説明するとともに,第5回の受賞者や当日の様子について紹介する.
著者
井手 広康
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2023-CE-169, no.20, pp.1-6, 2023-03-04

本研究では,「情報Ⅰ」のプログラミング教育にマイコンボードの micro:bit を用いて授業実践を行った.さらに,令和 3 年度に実施したプログラミング教育と結果を比較し,マイコンボードを用いたプログラミング教育の学習効果について検証した.ARCS 評価シートと事後アンケートを比較した結果から,マイコンボードの micro:bit を用いたプログラミング教育が,「情報Ⅰ」の教科書に使用されている四つのプログラミング言語(Python,JavaScript,VBA,Scratch)による授業実践と,同等あるいはそれ以上の学習効果が期待できることがわかった.他のプログラミング言語とは異なり,実際に手元で操作できるマイコンボードを用いたことで,生徒の興味・関心を効果的に引き出せたことが大きな要因であると推測する.
著者
井手 広康
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.246-253, 2021-08-21

平成 30 年告示高等学校学習指導要領において,教科「情報」は,これまで選択必修科目であった「社会と情報」と「情報の科学」が必修科目「情報Ⅰ」に統合される.令和 3 年 4 月から 5 月にかけて,令和 4 年度より開始される「情報Ⅰ」の教科書の見本本が各教科書会社より全国の高等学校へ送付され Python,JavaScript,VBA,Scratch の 4 つプログラミング言語が使用されていることが判明した本研究では,大学入学共通テスト「情報」サンプル問題の第 2 問「プログラミング」に出題されたプログラムを踏まえて 4 つのプログラミング言語及び各教科書の比較を行った.その結果,授業でいずれのプログラミング言語を使用する場合においても,少なくとも DNCL(共通テストに使用されている疑似言語)に関する事前の演習は必要であることがわかった.またサンプル問題のプログラムに使用されたプログラミングに関する 15 個の項目に対して,すべての教科書が網羅できていないことがわかった.
著者
井手 広康
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.181-184, 2022-03-15

2021年8月10日~11日の2日間,第14回全国高等学校情報教育研究会全国大会(大阪大会)がオンラインで開催された.全国高等学校情報教育研究会は,その発足以来,全国の高等学校における情報教育の研究推進ならびに会員相互の研鑽を図ることを目的とし,毎年8月に全国大会を開催し,教科「情報」並びに情報教育の発展に寄与してきている.本稿では,第14回大会(大阪大会)におけるオンラインの特性を活かした新しい取り組みや,口頭発表(リアルタイム発表)と動画発表(オンデマンド発表)を合わせた全35件の発表内容の傾向などについて解説する.
著者
井手 広康
出版者
愛知県立大学
巻号頁・発行日
2019

元資料の権利情報 : CC BY-NC-ND
著者
井手 広康
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2021-CE-158, no.9, pp.1-8, 2021-02-06

2020 年 11 月に大学入試センターから平成 30 年告示高等学校学習指導要領に対応した大学入学共通テスト「情報」試作問題(検討用イメージ)の提供があり,その翌月に情報処理学会がこれをホームページ上に公開した.本研究では,試作問題のうち第4問「交通渋滞シミュレーション」をシミュレーションの授業で取り上げるとともに,授業の前後で二度生徒に試作問題(第 4 問)を解答させた.生徒の解答を分析した結果,「複数のグラフを比較することができ,そこから情報を正確かつ瞬時に読み取る分析力」および「文章を正確に読み取り,何が問われているのかを瞬時に把握する読解力」が今後の授業において育成すべき資質・能力であることが明らかとなった.