著者
今西 純一 今西 亜友美 杉田 そらん
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.419-424, 2011 (Released:2012-09-05)
参考文献数
21
被引用文献数
2

Aerial photographs, especially those taken before World War II, are valuable documents to know the historical changes in gardens and open spaces. In the academia of photogrammetry and geography, it is an accepted view that the existing aerial photographs of Kyoto City taken before the World War II were taken in 1928; this view is based on the work of Hattori. However, Kyoto Shimbun News (dated December 22, 1993) reported that Shimizu conducted an investigation and found that the photographs were taken in 1927. As the details of Shimizu’s investigation are unknown, both assertions need to be reexamined. First, we confirmed that the aerial photographs that were archived in three different locations were identical, and as such, the assertions of Hattori and Shimizu are conflicting. Then, we analyzed buildings, railways and roads as appearing in the photographs, and determined that the photographs were taken in 1927. Furthermore, we examined the condition of tree canopies and the shades of two buildings, and estimated the period when these aerial photographs were taken. As a result, we concluded that the aerial photographs were taken in 1927 and most likely between late August and early September.
著者
吉村 和也 今西 純一 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.273-276, 2008 (Released:2009-04-10)
参考文献数
11
被引用文献数
2

近年,地域の自然をモデルとした環境教育施設である学校ビオトープの整備が各地で行われている。しかし,水環境の管理を中心として維持管理に関しての課題も多く,また,小規模な復元型ビオトープの水辺植生との関係に関する知見の蓄積も不十分である。そこで本研究では,都市域の学校ビオトープを対象とし,夏・秋季の水辺植物の種数に影響を与える学校ビオトープの環境や管理について分析した。その結果,移行帯・浅水域の環境が存在することや,教員のみならず多様な人々が学校ビオトープの維持管理に携わることが、直接的あるいは間接的に,水辺植物の種数の増加に関わっているということが示唆された。
著者
早瀬 真弓 今西 純一 中村 彰宏
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.812-816, 2010-03

名勝清風荘庭園は明治44年頃から数年かけて七代目小川治兵衛(植治)によって作られた庭園であり、昭和26年に文化財保護法の規定により名勝指定されている。本庭園は京都市左京区田中関田町に位置し、植治による庭園の特徴のひとつである京都東山の借景、すなわち五山の送り火で有名な大文字山やその周辺の山並みを庭園の風景に取り込む工夫のなされた名庭である。しかし、近年成長しすぎた樹木によって大文字山が見えない状態となるなど維持管理は十分と言えず、作庭当初の風趣が失われつつある。現在は所有者である京都大学を中心に庭園の修復整備事業が進められているが、成長しすぎた樹木を切り下げる際には、作庭当初は存在しなかった近隣の高い建築物への視線を遮蔽しつつ借景の復元をする必要がある。本件のような場合、事前に様々な視点や角度からの景観に配慮した植栽管理を検討するために景観シミュレーションを行うことが有用であると考えられる。本研究では地上型レーザースキャナを用いて、清風荘庭園における借景復元に関する景観シミュレーションを行い、その実用性について考察することを目的とした。さらに、地上型レーザースキャナによって得られたデータを用いて、庭園周辺に現在の京都市の都市計画で許容されている高さの建築物が建てられた場合、庭園からの眺望景観にどのような影響があるかを検討した。
著者
松本 仁 今西 亜友美 今西 純一 森本 幸裕
出版者
日本景観生態学会
雑誌
景観生態学 (ISSN:18800092)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.79-88, 2012-02-15 (Released:2012-04-25)
参考文献数
15

The Oguraike area is now planned for natural environmental conservation and restoration under the Grand Design about Urban Environment Infrastructure in the Kinki Region. Actual vegetation at the Ograike area is expected as a seed source to conserve and restore wetland environment. The purpose of this study was to reveal species composition of actual vegetation in river bank of the Uji River, the Yokoojinuma and the Oguraike drained lands, Kyoto prefecture, Japan. Five quadrats were placed in these areas and all the vascular plant species were recorded. Two hundred and eight species including 10 endangered plant species and 71 alien plant species were recorded. Actual vegetation in the river bank of the Uji River and the two drained lands were useful seed sources of floodplain species and wetland species, respectively. Especially, we found the desirable vegetation with only one alien plant species and some endangered plant species at the center part of the river bank of the Uji River.
著者
今西 純一 奥川 裕子 金 鉉〓 飯田 義彦 森本 幸裕 山中 勝次 小島 玉雄
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.9-14, 2011-08-31
参考文献数
20
被引用文献数
2 1

サクラ類は全国に広く植栽され,地域の重要な景観資源となっている。サクラ類を適切に管理するために,活力度の評価が必要となるが,開花期の着花状況に基づく活力度評価の方法は定まっていない。そこで,本研究は,奈良県吉野山のヤマザクラを対象として,着花状況に関する 4 つの評価項目の検討を行った。その結果,樹頂部の頂枝における芽の数や,葉芽と花芽の比率は,栄養成長と関連を持ち,活力度の評価項目として適切であることが明らかとなった。一方,1 つの花芽から出る花数は,様々な生育段階を含む集団の活力度評価には適さなかった。個体全体の満開時の着花量は,活力度評価には適さないと考えられた。
著者
今西 亜友美 柴田 昌三 今西 純一 寺井 厚海 中西 麻美 境 慎二朗 大澤 直哉 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.641-648, 2008 (Released:2009-11-30)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

ヒノキ林化した都市近郊二次林をアカマツまたは落葉広葉樹主体の林相に転換させることを目的として,母樹を残した小面積 (0.06~0.09 ha) の伐採を行った。3 つの伐採区 (上部,中部,下部) のいずれにおいても伐採後に消失した種はなく,伐採後3 年目には10 種以上の種数の増加が確認された。中でも,落葉広葉樹林の主要構成要素を含むブナクラスの種が上部と中部では6 種,下部では4 種増加し,林相転換に一定の効果が得られたと考えられた。前生稚樹は伐採後にほとんどの個体が枯死し,伐採後の林相には大きく寄与していなかった。散布種子についてはその大部分がヒノキで占められており,風散布種であるヒノキはプロット内に多量の種子を散布することで伐採後の林相に大きな影響を与えると考えられた。また,伐採後3 年目には新たな種の出現がほとんどみられなかったことから,林相が単純なヒノキ林では周囲からの新たな種の供給は少ないと考えられた。伐採面積の最も大きかった上部の伐採区 (0.09 ha) では,相対日射量が60% 以上あり,ヒノキの発芽と生存率が抑制されたと考えられ,アカマツとヒノキの混交する林相への転換が期待された。一方,中部と下部の伐採区では,全実生個体数のうちヒノキが50% 以上を占めており,今後,選択的除去などの人為的な管理が必要であると考えられた。