著者
牧野 亜友美 森本 淳子 柴田 昌三 大澤 直哉 中西 麻美
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.286-289, 2002-08-31
参考文献数
10
被引用文献数
2 6 3

京都市近郊のヒノキ二次林において合計0.21 haの施業区を設置し, 生物多様性を回復させることを目的として針葉樹11本と落葉広葉樹26本を残しすべての植生を伐採した。伐採後の木本植生の多様性の変化を, 萠芽更新と実生更新に着目して調査を行った結果, どの斜面位置においても伐採前に比べて伐採後に種数が増加した。新たに出現した種は28種であり, それらは主に鳥類によって散布された種子と埋土種子からの発芽であると考えられた。保残木施業による天然更新を促す手法を用いた小面積伐採は, 木本植生の多様性を回復させるのに一定の効果があることが示された。また, 遷移が進行した都市近郊二次林では, 林相の種組成が単純であるため周囲からの新しい種の供給は小さく, 新しい種の供給源として埋土種子の役割が重要であると考えられた。
著者
田中 千尋 大澤 直哉 吹春 俊光 都野 展子 都野 展子 吹春 俊光 BUCHANAN Peter JOHNSTON Peter TOFT Richard DICKIE Ian 門脇 浩明
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では,ニュージーランドにおいて同地固有種であるナンキョクブナ林において, 外来菌根菌ベニテングタケの侵入・発生状況を調査するとともに, 侵入の原因ならびに他森林生物に与える影響を明らかにしようとした.調査の結果, 同地には複数の系統のベニテングタケが移入し,雑種化が進んでいること, 人為的かく乱が著しいあるいは人工植栽地などを中心に分布拡大が進んでいること, 古くから発生が認められるサイトでは,同地固有のキノコバエ種がベニテングタケを利用するようになっていることが明らかになった.
著者
伊藤 広記 大澤 直哉
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第124回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.69, 2013 (Released:2013-08-20)

オオゴキブリ(Panesthia angustipennis spadica)は大型の食材性ゴキブリで、本州北部から九州まで広く分布し、針葉樹及び広葉樹の朽木に穿孔することが知られている(朝比奈 1991)。しかし、野外における本種の生態に関しては不明な点が多く、生息環境を詳しく調べた例はほとんどない。特に生息場所兼食物である朽木の性質は明らかにされていない。演者らは、オオゴキブリが利用する朽木の性質を明らかにするため、京都市左京区の吉田山を調査地とし、2011年5月から2012年12月、林床の朽木(N=65)について、オオゴキブリ生息の有無、直径と長さ、樹種(針葉樹/広葉樹)、木材腐朽菌の種類(白色/褐色)、腐朽度を記録した。オオゴキブリが生息していた割合は、褐色腐朽が見られた朽木が白色腐朽が見られたものに比べ有意に高く、直径が大きい朽木が小さいものに比べ有意に高いことが示された。しかし、朽木の樹種、木材腐朽菌、腐朽度について、いずれの区分に属する朽木にもオオゴキブリの生息が確認され、本種が利用する朽木の種類や腐朽段階はかなり幅広いものと推測された。
著者
伊藤 広記 大澤 直哉
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

オオゴキブリ(Panesthia angustipennis spadica)は大型の食材性ゴキブリで、本州北部から九州まで広く分布し、針葉樹及び広葉樹の朽木に穿孔することが知られている(朝比奈 1991)。しかし、野外における本種の生態に関しては不明な点が多く、生息環境を詳しく調べた例はほとんどない。特に生息場所兼食物である朽木の性質は明らかにされていない。演者らは、オオゴキブリが利用する朽木の性質を明らかにするため、京都市左京区の吉田山を調査地とし、2011年5月から2012年12月、林床の朽木(N=65)について、オオゴキブリ生息の有無、直径と長さ、樹種(針葉樹/広葉樹)、木材腐朽菌の種類(白色/褐色)、腐朽度を記録した。オオゴキブリが生息していた割合は、褐色腐朽が見られた朽木が白色腐朽が見られたものに比べ有意に高く、直径が大きい朽木が小さいものに比べ有意に高いことが示された。しかし、朽木の樹種、木材腐朽菌、腐朽度について、いずれの区分に属する朽木にもオオゴキブリの生息が確認され、本種が利用する朽木の種類や腐朽段階はかなり幅広いものと推測された。
著者
今西 亜友美 柴田 昌三 今西 純一 寺井 厚海 中西 麻美 境 慎二朗 大澤 直哉 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.641-648, 2008 (Released:2009-11-30)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

ヒノキ林化した都市近郊二次林をアカマツまたは落葉広葉樹主体の林相に転換させることを目的として,母樹を残した小面積 (0.06~0.09 ha) の伐採を行った。3 つの伐採区 (上部,中部,下部) のいずれにおいても伐採後に消失した種はなく,伐採後3 年目には10 種以上の種数の増加が確認された。中でも,落葉広葉樹林の主要構成要素を含むブナクラスの種が上部と中部では6 種,下部では4 種増加し,林相転換に一定の効果が得られたと考えられた。前生稚樹は伐採後にほとんどの個体が枯死し,伐採後の林相には大きく寄与していなかった。散布種子についてはその大部分がヒノキで占められており,風散布種であるヒノキはプロット内に多量の種子を散布することで伐採後の林相に大きな影響を与えると考えられた。また,伐採後3 年目には新たな種の出現がほとんどみられなかったことから,林相が単純なヒノキ林では周囲からの新たな種の供給は少ないと考えられた。伐採面積の最も大きかった上部の伐採区 (0.09 ha) では,相対日射量が60% 以上あり,ヒノキの発芽と生存率が抑制されたと考えられ,アカマツとヒノキの混交する林相への転換が期待された。一方,中部と下部の伐採区では,全実生個体数のうちヒノキが50% 以上を占めており,今後,選択的除去などの人為的な管理が必要であると考えられた。