著者
松原 孝俊 キャンベル ロバート 今西 裕一郎
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

1.ボストン美術館所蔵和本調査:2012年5月、8月、10月調査実施。 ボストン美術館が提供する資料に対して、中野三敏、ロバート・キャンベルらの日本チームと、Yukio Lippit らハーバード大学チームが共同で、ボストン美術館との協議を経て、書名・著者・刊写年など書誌データなどを集積しつつ、ボストン美術館から世界に向けて発信される WEB 掲載和本書誌データの最大化を推進した。その結果、MFA 所蔵和本のほぼ全点約 7000 点以上、3万冊以上におよぶ調査が幸いにも終了した。本プロジェクト着手する前には、約 3000 点程度だと推定されていたが、William Sturgis Bigelow、Edward・Sylvester Morse、Ernest・Francisco Fenollosa ・岡倉覚三(天心)などの先人等が情熱を傾けて蒐集した和本数はその 2 倍以上であり、MFA 所蔵の絵本・画譜数は世界一であると判明した。 この研究会を契機として、韓国・台湾・中国・ヨーロッパ 8 ヶ国、アメリカ・カナダなどの専門家との情報ネットワークが構築できた。今後ともに、このネットワークを活用して、九州大学が当該情報の研究拠点となり、各国の和本所在情報を蒐集し、同時に関連する研究発信を続けたい。 また優秀な次世代日本学研究者および和本書誌スペシャリスト養成のために、ボストン美術館調査期間中に和本リテラシー・セミナーなどを実施し、今後現地の研究者によるボストン美術館書誌調査が可能となるように調査に共同で従事しつつ、その育成に努めた。その結果、国内11 機関と海外11機関の計22機関間の在外和本所在情報ネットワークが形成された。このネットワークを活用して、九州大学が当該情報の研究拠点となり、各国の和本所在情報を収集し、同時に関連する研究発信を続けたい。
著者
今西 裕一郎 伊藤 鉄也 野本 忠司 江戸 英雄 相田 満 海野 圭介 加藤 洋介 斎藤 達哉 田坂 憲二 田村 隆 中村 一夫 村上 征勝 横井 孝 上野 英子 吉野 諒三 後藤 康文 坂本 信道
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究課題は、『源氏物語』における写本の単語表記という問題から、さらに大きな日本語日本文化の表記の問題を浮かび上がらせることとなった。当初の平仮名や漢字表記の違いというミクロの視点が、テキストにおける漢字表記の増加現象、またその逆の、漢字主体テキストの平仮名テキスト化という現象へと展開する過程で、テキストにおける漢字使用の変貌も「表記情報学」のテーマとなることが明らかになった。「文字の表記」は「文化の表記」「思想の表記」へとつながっている。「何が書かれているか」という始発点から「如何に書かれているか」に至る「表記情報学」は、今後も持続させるべき「如何に」の研究なのである。