著者
尾形 良子 今野 洋子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.67-71, 2014

現在,所有明示措置の実施率と不妊去勢手術の実施率は増加傾向にある一方で,多頭飼育崩壊の問題は多発しており,深刻化している。多頭飼育崩壊にいたるまでには,避妊去勢の未実施という直接的な要因の他に,飼養者の精神疾患を含む健康状態の悪化や,経済的問題や人間関係,高齢化,その他の問題など,複数の要因が影響していることが把握された。多頭飼育崩壊の背景や要因を検討する中で,改めて,動物の適正飼育の必要性が捉えられた。
著者
今野 洋子 尾形 良子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.73-76, 2014

現在,深刻化している多頭飼育崩壊に至る過程を踏まえ,初期対応実施による飼育モデルを作成した。飼育における初期対応が後の多頭飼育を回避することになる。また,多頭飼育に陥った場合,飼養者本人だけでの対応には限りがあるので,啓蒙・勧告・相談・支援等の多様な対応をチームで行う必要があることが明らかにされた。これまでに得られた知見をもとに,対応モデルを作成した。
著者
尾形 良子 今野 洋子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.57-62, 2008

大学祭企画において実施した「猫カフェ」の効果についてのアンケート調査の分析を第1報で行った。本研究は第2報として来場者の自由記述を対象に,来場者にとって猫カフェがいかなる経験であったのかについて質的分析を行うことを目的とした。本研究においてグレーザー派のグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いることにより,以下の諸点を明らかにすることができた。1.猫カフェは「一期一会」の経験であった。2.猫カフェにおいて人(来場者)は動物(猫)との相互作用によって満足感を得,動物とのふれあいの楽しさや効果を改めて認識していた。3.短時間の中でも,人と動物は一時的ではあるが一定の限定的な関係形成を成し遂げていたと言える。
著者
今野 洋子 尾形 良子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-10, 2009

本研究は,大学生が関わる動物介在教育(Animal Assisted Education,以下AAEと表記する)実践として,大学祭において実施した「猫カフェ」における体験が,来場者の気分に及ぼす影響を分析することを目的とした。大学祭における猫カフェに訪れた計114名(男性30名・女性84名,平均年齢21.0±6.83歳)を対象に質問紙調査を実施し,以下の諸点を把握した。1.来場者の86.0%に動物の飼育経験(26.5%に猫の飼育経験)があり,動物に興味関心のある者が猫カフェに訪れた。2.猫カフェでの体験は,「触った」(72,8%),「見た」(65.8%)が多く,「一緒に遊んだ」(19.3%)や「抱っこした」(7.0%)は少なく,「抱っこした」者には,猫の飼育経験を持つ者が多かった。3.来場者の感想の「かわいかった」(71.1%)から猫の愛らしさ,「癒された」(63.2%),「和んだ」(60.5%)等からリラクセーション効果,「ふわふわしていた」(50.9%)「やわらかかった」(44.7%)等からのリラクセーションに結びつく触感,「楽しかった」(34.2%)「うれしかった」(30.7%)から喜びが得られた。4.猫を「触った」「抱っこした」「一緒に遊んだ」者は,直接的な触感の心地よさやリラクセーション効果が得られたが,猫を「見た」だけでも,リラクセーション効果が得られた。5.「猫カフェ」という場で初めて出会った猫に対して,来場者はリラクセーション効果を得,喜びを感じていた。6.猫カフェで過ごしたことによって,動物を飼いたいと思う者が増加した。これらの結果から,「猫カフェ」滞在型AAEは,初めて会う猫であっても,来場者の気分に影響を及ぼし,リラクセーション効果につながること,および動物飼育に対する興味関心が高まることが示された。How people feel when they visit a cat caf? Students held a cat cafdesigned for AAE (animal assistededucation) at a university festival. Participants were 114 guests (84 women and 30 men: mean age 21 years)who visited the cat cafand responded to a questionnaire. The results indicated the following. From thesample, 98 guests (86.0%) had kept a pet and 26 (26.5%) among them had kept cats. In the caf, 83 guests(72.8%) touched the cats, 75 guests (65.8%) watched the cats and 22 guests played with the cats, whereasonly 8 guests held the cats in their arms. The guests had feelings such as "cats are lovely," " felt healed bycats," " felt harmonious with cats," "cats were light," " cats were soft," "were happy with cats," and "werejoyful with cats". These feelings were indicative of relaxation. Even those who interacted with cats for thefirst time in the cat caffelt relaxed. The guests tended to want to keep pets as a result of the experienceof visiting the cat caf
著者
今野 洋子 佐藤 満雄 舟橋 彰子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-7, 2011

現在,子どもの心を育てる教育として,国際社会において動物介在教育が推進されている。本稿では,北海道内小学校の動物介在教育(AAE)の実態から課題を把握し,動物介在教育実践校での例等をもとに,動物介在教育(AAE)の展開例と支援体制について提案することを目的とする。動物介在教育(AAE)の実践校の例から,動物介在教育を学校の教育計画に取り入れるための動物飼育と教科への位置づけおよび獣医師や専門家による動物愛護教室の全校集会案を示した。
著者
今野 洋子 尾形 良子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学生涯学習システム学部研究紀要 = Bulletin of Hokusho University School of Lifelong Learning Support Systems (ISSN:18827675)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.151-163, 2010

国際的動向に比べ,日本において動物介在教育は普及していない現状にある。本研究では,2003年度より,立教女学院小学校で学校犬バディによって推進されている「動物介在教育(AAE)」について概観し,「動物介在教育(AAE)」の日本の学校教育における推進の可能性について検討することを目的とした。学校犬バディの誕生の契機,学校犬の条件,バディ・ウォーカーの活動,バディとの学校生活,保護者の反応,いのちのつながり等の視点から,バディによる「動物介在教育(AAE)」をみた。その結果,効果の大きい教育プログラムであること,責任の所在を明確にすることが必要であること,実際に活動をみることで賛同者を得られることが明らかとなった。つまり,今後,日本において,学校犬の誕生は十分可能であり,改めて「動物介在教育(AAE)」が学校本来の機能を回復させる大きな力となることが考察された。
著者
今野 洋子
出版者
北翔大学
雑誌
人間福祉研究 = Human welfare studies (ISSN:13440039)
巻号頁・発行日
no.6, pp.101-116, 2003-03-20

本報告は,大学生の避妊に対する意識・行動の実態を明らかにするとともに,現代の若者の性に関する諸問題等に対応できる避妊教育の方向性を考察するものである。札幌市近郊のA大学の学生を対象として,質問紙による集団調査を行った結果,以下のことが明らかになった。(1)避妊に関する意識が高く,相手の身体を思いやり,人間関係を大切にしながら,避妊行動を選択する意識がみられる。しかし,その一方で,相手任せの面もあり,場当たり的な避妊行動をとる面もみられる。(2)避妊に関する正しい知識を持っている者が多いが,男女差があり,男子のからだのしくみに対する理解が浅いために避妊に関する誤った知識を持っている。(3)「交際相手がいる」者は,全体で4割程度であるが,「性交経験がある」者は,全体の6割を占める。また,性交した相手の数は「1人」あるいは「2人」と回答した者が多いが,「6人以上」という者が1割以上で,性行動は活発化傾向にある。(4)実際に用いている避妊法は,「男性用コンドーム」「膣外射精」が多い。活発化する性行動に比べ,避妊法は画一的であり,また不確実な面がうかがえる。今後用いたい避妊法は,「男性用コンドーム」「経口避妊薬」を希望する者が多く,「入手しやすい」「費用が安い」「使用が簡単」「確実性が高い」避妊法が求められていることがわかった。確実な避妊行動の選択を可能にするためには,「避妊の意義や相手に与える影響」を考えさせること,女子ばかりでなく男子についても「からだのしくみ(生理的知識・科学的知識)」を十分理解させること,「若者に適した確実な避妊法」を普及させることが必要であろう。性教育が,現在の学生の性行動・性意識を規定するのみにとどまらず,次代を担う子どもたちを創る原動力であることを踏まえ,豊かな性と生の教育を構築していきたいと考える。
著者
今野 洋子 尾形 良子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-10, 2009

本研究は,大学生が関わる動物介在教育(Animal Assisted Education,以下AAEと表記する)実践として,大学祭において実施した「猫カフェ」における体験が,来場者の気分に及ぼす影響を分析することを目的とした。大学祭における猫カフェに訪れた計114名(男性30名・女性84名,平均年齢21.0±6.83歳)を対象に質問紙調査を実施し,以下の諸点を把握した。1.来場者の86.0%に動物の飼育経験(26.5%に猫の飼育経験)があり,動物に興味関心のある者が猫カフェに訪れた。2.猫カフェでの体験は,「触った」(72,8%),「見た」(65.8%)が多く,「一緒に遊んだ」(19.3%)や「抱っこした」(7.0%)は少なく,「抱っこした」者には,猫の飼育経験を持つ者が多かった。3.来場者の感想の「かわいかった」(71.1%)から猫の愛らしさ,「癒された」(63.2%),「和んだ」(60.5%)等からリラクセーション効果,「ふわふわしていた」(50.9%)「やわらかかった」(44.7%)等からのリラクセーションに結びつく触感,「楽しかった」(34.2%)「うれしかった」(30.7%)から喜びが得られた。4.猫を「触った」「抱っこした」「一緒に遊んだ」者は,直接的な触感の心地よさやリラクセーション効果が得られたが,猫を「見た」だけでも,リラクセーション効果が得られた。5.「猫カフェ」という場で初めて出会った猫に対して,来場者はリラクセーション効果を得,喜びを感じていた。6.猫カフェで過ごしたことによって,動物を飼いたいと思う者が増加した。これらの結果から,「猫カフェ」滞在型AAEは,初めて会う猫であっても,来場者の気分に影響を及ぼし,リラクセーション効果につながること,および動物飼育に対する興味関心が高まることが示された。
著者
尾形 良子 今野 洋子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.101-108, 2009

本研究は北海道における特別養護老人ホームでの動物介在活動の実施状況や評価および未実施の施設の認識を把握することを目的とした。研究の結果明らかになったことは以下の点である。・道内の特別養護老人ホームの中で22施設において動物介在活動を実施している。・すべての実施施設で動物介在活動の効果があると回答されていた。
著者
今野 洋子
出版者
北翔大学
雑誌
北海道浅井学園大学短期大学部研究紀要 (ISSN:13466194)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.81-96, 2002

現在,日本の性教育は,10代の望まない妊娠と中絶率の増加の問題等を解決できずにいる。一方,オーストラリアのセクシュアリティ教育は,斬新で効果的な教育として,世界的に注目されている。本稿は,セクシュアリティ教育の中の「避妊教育の展開」に着目し,日本の性教育との比較検討を試み,問題解決のための日本の性教育の方向性について考察する。現在,日本の性教育では生命の誕生に関わることが多いが,子どもの心理的発達や子どもの視点を無視した性教育となっている。また,青少年の性行動や性意識の実態をみると,避妊について教えないことは実態と乖離した教育といえる。性に関する全てのことがらが,その子どものものであり,その子どもが培っていくべきものである。子どもが性と生について考え,自己決定するための教育の展開について,セクシュアリティ教育に学ぶ意義は大きい。特に,「避妊教育」は,子どもが自己のセクシュアリティについて考え,選択し,自己決定していく過程を必要とする。子どもの生きる力に期待しつつ,おとなとしての価値観を押しつけることなく,子どもが主体的に考え選択できる能力を持てるような教育を,避妊教育を含め推進していきたい。
著者
今野 洋子
出版者
北翔大学
雑誌
北海道浅井学園大学短期大学部研究紀要 = Bulletin of Hokkaido Asai Gakuen College (ISSN:13466194)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.81-96, 2002

現在,日本の性教育は,10代の望まない妊娠と中絶率の増加の問題等を解決できずにいる。一方,オーストラリアのセクシュアリティ教育は,斬新で効果的な教育として,世界的に注目されている。本稿は,セクシュアリティ教育の中の「避妊教育の展開」に着目し,日本の性教育との比較検討を試み,問題解決のための日本の性教育の方向性について考察する。現在,日本の性教育では生命の誕生に関わることが多いが,子どもの心理的発達や子どもの視点を無視した性教育となっている。また,青少年の性行動や性意識の実態をみると,避妊について教えないことは実態と乖離した教育といえる。性に関する全てのことがらが,その子どものものであり,その子どもが培っていくべきものである。子どもが性と生について考え,自己決定するための教育の展開について,セクシュアリティ教育に学ぶ意義は大きい。特に,「避妊教育」は,子どもが自己のセクシュアリティについて考え,選択し,自己決定していく過程を必要とする。子どもの生きる力に期待しつつ,おとなとしての価値観を押しつけることなく,子どもが主体的に考え選択できる能力を持てるような教育を,避妊教育を含め推進していきたい。
著者
今野 洋子
出版者
北翔大学
雑誌
人間福祉研究 = Human welfare studies (ISSN:13440039)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.119-134, 2004-03-20

本研究の目的は,養護教諭を目指す学生の「健康相談活動の演習」時のロールプレイングにおける会話に着目し,健康相談活動における過程を明らかにすることにある。本研究では,一連の過程を理解するために,質的研究アプローチを採用した。中でも,会話データからの帰納的な分析を行なうため,プロセス的特性を持った現象に適している修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた。データ収集に関しては,1事例について養護教諭役1名と児童生徒役1名をペアとし,10分から15分程度の時間の中で模擬「健康相談活動」を行い,相談内容の会話をデジタルメモリーレコーダに記録し,32事例の記録を逐語録としてまとめた。分析方法として,グラウンデッド・セオリー・アプローチの問題点を克服した修正版M-GTAを用いた。その結果,来室した子どもへの健康相談活動の過程の主たるものとして,【からだに現れた痛みの把握カテゴリー】【医療的・教育的対応カテゴリー】【心の内にあるつらさの把握カテゴリー】【問題解決カテゴリー】という4つのカテゴリーが抽出された。また,これら4つのカテゴリーに作用するカテゴリーとして,【面接技法の活用カテゴリー】と【自己開示カテゴリー】【子どもの意思尊重カテゴリー】の三つが考えられた。This purpose of the study was to demonstrate how students yogo teacher who counsel others (children), by examining their dialogues in role-played health counseling and helping situations, either presenting a problem (32 students yogo teacher) or listening (32 students children). In order to an inductive analysis of the dialogue data, modified grounded theory (a kind of qualitative approach) was used. Dialogues were recorded, in which the students role-played counseling and helping situation, either presenting a problem or listening. After categories were created from the data analytical stages from labeling concepts to selecting final categories, 7 categories were extracted.
著者
今野 洋子
出版者
北翔大学
雑誌
人間福祉研究 (ISSN:13440039)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.105-122, 2008

本研究は,養護実践を実証的に明らかにすることを目的とした。北海道東部に住む養護教諭12名の実践や経験についてライフストーリーとして得られたデータを,グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法で分析し,養護実践について,以下の点を明らかにすることができた。1.志望動機の如何に関わらず,養護実践を通し,養護教諭というしごとに[フィットイン]する。2.養成機関の学習が養護実践の[基礎]となる。3.性格的資質は,志望動機や養護教諭の専門的資質を獲得するための最も[基礎的]なものであるとともに,養護実践の[彩り]ともなり得る。4.養護教諭の専門的資質能力は[探究]と[実践]によって形成され,豊かな専門的資質能力を備えた養護教諭による養護実践(=教育実践)は,学校教育活動を[促進]させる。5.養護実践は,[子どものいのち,心,からだをまもる]ことであり,養護実践は教育実践であり,学校教育の本務を担っている。