著者
渡部 奈緒 岩永 竜一郎 鷲田 孝保
出版者
日本小児保健協会
雑誌
小児保健研究 (ISSN:00374113)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.553-560, 2002-07-31

運動障害を主体とした発達障害幼児14名と,対人,及び知的障害を主体とした発達障害幼児16名の母親について調査し,比較研究した.母親のストレスと疲 労感に関する質問では,健常児38名よりも,運動障害を主体とした児に問題が大きい項目は認められなかったが,対人関係,または知的障害を主体とした児の 母親には問題が大きい項目が認められた.広汎性発達障害児,精神発達遅滞児などの母親は育児ストレス・疲労感が大きいことが示唆され,早期から専門家のサ ポートが必要であることが考えられた
著者
岩永 竜一郎 仙石 泰仁 加藤 寿宏
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.631-639, 2022-12-15 (Released:2022-12-15)
参考文献数
63
被引用文献数
1

近年,作業療法の対象患者のなかに注意欠如・多動症(Attention Deficit Hyperactivity Disorder;以下,ADHD),自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder;以下,ASD),発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder;以下,DCD)など,いわゆる神経発達症のある子どもや大人が増えてきている.
著者
尾﨑 充希 塩津 裕康 田中 悟郎 岩永 竜一郎
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.87-97, 2022-08-31 (Released:2023-02-28)
参考文献数
18

特別支援学校高等部に通う脳性まひ者2名に対して主体的に問題を解決する力を育むために、日常作業遂行に対する認知オリエンテーション(CO-OP)を基盤とした個別介入を行い、その有用性を検証することを目的とした。その結果、生徒自身で目標を設定し、認知戦略を発見し、目標を達成することができた。カナダ作業遂行測定(COPM)、ゴール達成スケーリング(GAS)、遂行の質評定スケール(PQRS)の数値が、事前評価から事後評価で生徒2 名ともに向上し、その後のフォローアップにおいても効果を維持することができた。そのうち1名の生徒は、Vineland-Ⅱの粗大運動のスコアが、事前評価の22点から事後評価では34点に向上した。本研究により、脳性まひ者の主体的な学びの実現を目指すために、CO-OPを基盤とした個別介入が特別支援教育の場において有効であることが示唆された。
著者
岩永 竜一郎 村田 潤
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorder ; PDD)児には感覚過敏が見られることが多い。とりわけ聴覚過敏は高頻度に見られ、それによって情動や行動の問題が生じやすい。そのため、それへの対応が急務であった。本研究の目的は、PDD児の聴覚過敏に対するノイズキャンセリング(NC)ヘッドフォンの行動の問題への使用効果について検証することであった。NCヘッドフォンは電気的に外来ノイズを打ち消す装置がついたヘッドフォンである。対象は研究への参加に同意が得られた4歳~16歳のPDD児17名(男児13名、女児4名)であった。まず、各対象の聴覚刺激に伴う問題行動に基づきゴール達成スケーリング(Goal Attainment Scaling ; GAS)スコアを設定した。そして、NCヘッドフォンを使用しないコントロール期間とNCヘッドフォン使用期間をそれぞれ2週間ずつ設けた。NCヘッドフォン使用期間は対象児が日常場面でいつでもNCヘッドフォンを装着することを許容した。それぞれの期間中に保護者にGASスコアをつけてもらった。そして、両期間でGASスコアについて比較した。その結果、聴覚刺激によって不快反応を起こすことが多かったPDD児は、NCヘッドフォン使用によってGASスコアが改善した(z=-2. 533, p=0. 011)。よって、NCヘッドフォンの使用は聴覚過敏のあるPDD児の刺激に伴う行動の改善に役立つことが明らかになった。聴覚過敏のあるPDD児のあるPDD児に対するノイズキャンセリングヘッドフォンの効果を示した研究はこれまでになかったが、本研究でその効果が実証されたため、これを多くの聴覚過敏があるPDD児に適用できると考える。
著者
倉澤 茂樹 立山 清美 岩永 竜一郎 大歳 太郎 中谷 謙 横井 賀津志
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.34-41, 2019-04-01 (Released:2019-04-01)
参考文献数
14

日本の診療データを使用してASD の診断年齢を種別に検討した.結果,解析対象者(7,779 名)の診断年齢は平均7.3±4.3 歳,最頻値3.0 歳,中央値6.0 歳であった.性比は3:1 であり男性に多かった.ASD の診断年齢に関して,全ての種別において性差は認められなかった.アスペルガー障害は他の種別と比べ,いずれも診断年齢が高く,診断される時期に明確なピークは示されなかった.年別の比較では,小児自閉症のみ早期に診断される経年変化が認められた.本研究は,アスペルガー障害の早期診断を可能にするためのシステムおよびツールの開発,小児自閉症に対する適切な早期の介入方法の開発およびサービス供給の必要性を示すものである.
著者
大山 要 曽良 一郎 小澤 寛樹 竹林 実 今村 明 上野 雄文 岩永 竜一郎 福嶋 翔 酒井 智弥 植木 優夫 川尻 真也 一瀬 邦弘 山口 拓 縄田 陽子 中尾 理恵子 小川 さやか
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

ゲーム依存はゲームへの没頭で不登校、家庭内の暴言・暴力、昼夜逆転や引きこもりなどの健康・社会生活障害をきたす状態である。ネットとゲームの利活用は今後も拡大するため、脳への影響を多角的・統合的に評価し、健康使用から依存症となる境界線を知る指標が必要である。本研究では、患者脳画像情報・患者情報、そして患者検体から得られるタンパク質変動情報からなる多次元情報を人工知能解析することで依存バイオマーカーの特定を目指す。本研究の進展でゲーム依存の実効的な対策研究を進められる世界でも例を見ない研究基盤が形成される。
著者
東 登志夫 鶴崎 俊哉 船瀬 広三 沖田 実 岩永 竜一郎 野口 義夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.121-125, 2004 (Released:2004-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
2 3

等尺性収縮時における肘関節角度が肘関節屈筋群の疲労度合いと筋出力に及ぼす影響について検討した。被験者は,健常成人9名とし,被験者全員に対してインフォームド・コンセントを得た。被験者には座位をとらせ,肩関節は0度とし,肩関節,骨盤及び大腿部をベルトにて固定した。肘関節の肢位は,肘屈曲30, 60, 90, 120度の4条件に設定した。実験は,まず最大随意収縮時(maximum voluntary contraction;MVC)の筋出力値を筋力測定装置を用いて計測した。次に被験者に視覚的フィードバックを行いながら,等尺性収縮にて各条件の50%MVCを60秒間以上保持させ,上腕二頭筋と腕橈骨筋から表面筋電図を計測した。筋疲労の指標には,表面筋電図の自己回帰パワースペクトル解析による周波数中央値を用いた。周波数中央値は,60秒間のデータを10秒ごとの6区間にわけ,それぞれの区間における周波数中央値を算出した。その結果,1)最大筋出力が得られたのは,90度であった,2)周波数中央値は,時間経過とともに減少し,その減少度合いは肘関節の屈曲角度が大きくなる程大きい傾向にあった。これらの結果より,最大筋出力が得られる肘関節角度と疲労しにくい角度は異なることが示唆された。従ってセラピストが,運動肢位を決定する際には,その点を十分考慮する必要があると思われる。