著者
佐々木 長市 江成 敬二郎 小関 恭 伊藤 豊彰 中山 正与
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.200, pp.233-241,a2, 1999-04-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9

農業用水の水質浄化 (特に親水公園に使用を想定) に, 産業廃棄物としてその処理対策に苦慮しているカキ殻を用い試験をした。実験は水質の悪化している農業用水を循環させ水質の経日変化を調査した。その結果, 以下のような知見が得られた。1) pHの値は全観測期間8前後, 同じく溶存酸素濃度は5mg/L以上となった。浮遊物質濃度は数日で20mg/Lから2mg/Lへと低下した。生物化学的酸素要求量の値も8mg/Lから1週間ほどで4mg/L前後まで低下し, 30日で1mg/Lまで低下した。電気伝導度の改善効果は認められなかった。2) 大腸菌群数は, 5,000MPN/100mLの値が実験開始後数日で1,000MPN/100mLまで低下し, その後もさらに低下する傾向を示した。3) 全窒素濃度は, 1.4mg/Lの値から10日ほどで半分以下の濃度の0.6mg/Lとなり, その後も減少していく傾向となった。特に, NH4-Nの減少が大きかった。全リン濃度は, 初期にカキ殻からの溶出がみられ濃度が上昇し, 10日程で0.20mg/Lになったが, その後は低下し20日目で0.1mg/L, 30日目では0.05mg/L前後まで低下した。4) 大腸菌の減少傾向がみられ衛生面からの浄化が期待される。なお, 事例調査により, カキ殻の溶出による体積減少は, 年5%程度で機能維持のためには7年ほどで新しいカキ殻の補充が必要と判断された。以上の結果より, カキ殻は農業用水の浄化に有用であると判断された。
著者
庄子 貞雄 伊藤 豊彰 中村 茂雄 三枝 正彦
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.473-479, 1987-08-05
被引用文献数
3

ニュージーランド, チリ, エクアドルの代表的火山倍土の腐植の形態と, Al/Fe-腐植複合体について明らかにすることを目的として, 計32断面の火山灰土について弘法・大羽法に準じた腐植の形態分析と選択溶解を行った. 得られた結果を要約すると以下のようである. 1. 腐植層の全炭素含量は平均 (±標準偏差) で, ニュージーランド9.9%, (±4.8), 地理11.0% (±5.4), であり, わが国の火山灰土 (黒ボク土) とほぼ同程度の高い腐植含量であった. 一方, エクアドルは3.6% (±1.5) とわが国より低い値であった. 2. 腐植の形態については, 腐植抽出率およびPQはチリでPQがいくらか低い値であることを除いて, わが国の火山灰土と同程度に高い値を示し, 腐植の大部分が0.5%水酸化ナトリウムで抽出され, その抽出腐植のうち大半が腐植酸であった. 3. ニュージーランド, チリ, エクアドルの火山灰土の腐植層は褐色を呈するものが大部分であり, わが国の火山灰土と著しく異なっていた. 腐食層の土色の黒味は腐植酸型とよく対応しており, 腐植含量の多少にかかわらず黒色を呈する火山灰土はA型腐植酸を主体としていた. 4. ニュージーランドの火山灰土は腐植層が薄く, B型, P型腐植酸を主体としているが, これは過去において長い間森林植生下にあったためと推測された. 5. ニュージーランド, チリ, エクアドルの火山灰土は大部分アロフェン質であるが, 全炭素含量はピロリン酸可溶Alと最も強い正の相関関係を示したが, 酸性シュウ酸塩化可溶Siより近似的に求められるアロフェン含量とは〃腐植の集積には, アロフェン質, 非アロフェン質を問わず, 腐植と複合体を形成しているAl, 次いでFeが重要な役割を果たしていることが明らかとなった.
著者
小林 紀子 森岡 幹夫 小宮山 鉄兵 伊藤 豊彰 三枝 正彦
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.150-154, 2008 (Released:2009-03-03)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

山形県の農家および堆肥製造センターでつくられた家畜ふん堆肥87点 (牛ふん堆肥77点,豚ぷん堆肥6点,鶏ふん堆肥4点) のケイ素含量とその簡易推定法を検討した。1) 牛ふん堆肥のケイ素含量は,12.1~307.8g kg−1乾物 (以下DW),平均が95.4g kg−1DWであった。豚ぷん堆肥のケイ素含量は,9.5~79.6g kg−1DWで平均34.1g kg−1DW,鶏ふん堆肥のケイ素含量は,2.4~36.1g kg−1DWで平均16.8g kg−1DWであった。2) 牛ふん堆肥の炭素含量 (x) とケイ素含量 (y) の間には,y = −0.75x + 354 (r = −0.904) で両者の間に0.1%で有意な負の関係が得られた。また,牛ふん堆肥の灰分含量 (x) とケイ素含量 (y) の間においても,y = 0.44x −39.8(r = 0.970) で0.1%で有意な正の関係が得られた。よって,敷料や副資材に籾殻,わら類,もどし堆肥が使用されている牛ふん堆肥のケイ素含量は,炭素や灰分含量から推定することができると考えられた。
著者
伊藤 豊彰 田島 亮介
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

有機栽培体系において、未利用廃棄物であるポリシリカ鉄浄水発生土と他のケイ酸資材は、水稲の収量、外観品質を向上させ、斑点米被害を低下させ、ケイ酸施用は根の量と活性を増加させた。さらに、ポリシリカ鉄浄水発生土は酸化鉄供給によって、水田からのメタン放出量を低下させる可能性を示めした。これらの結果より、PSI浄水発生土およびケイ酸資材の施用が環境保全型水稲生産体系の重要な要素技術になりうると結論した。