著者
金子 信博 中森 泰三 田中 陽一郎 黄 垚 大久保 達弘 飯塚 和也 逢沢 峰昭 齋藤 雅典 石井 秀樹 大手 信人 小林 大輔 金指 努 竹中 千里 恩田 裕一 野中 昌法
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第124回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.394, 2013 (Released:2013-08-20)

福島原発事故により汚染した森林の除染には、伐採や落葉除去だけでは十分でなく、処理した木材と落葉の処分も問題である。森林土壌から、安全に放射セシウムを除去する方法を提案する。落葉分解試験を、二本松市のコナラ林で2011年12月から2012年12月まで行った。6月には、落葉の放射性セシウム濃度は土壌の2倍から3倍となり、土壌の約12-18%が上方向に落葉へと移動した。この移動は、糸状菌が有機物上で生育する際に土壌からセシウムを取り込むためと考えた。落葉の代わりに伐採した樹木をウッドチップ化し、土壌のセシウムを糸状菌によってチップに集める方法を考案した。汚染地域の木材中の放射性セシウム濃度はまだ高くないので、森林を伐採し、現地で幹材をウッドチップ化しメッシュバッグに入れ、隙間なく置いて半年後に回収することで、低コストで安全に除染が可能である。半年程度経過したウッドチップはまだ分解が進んでいないので、安全な施設で燃焼し、灰を最終処分する。単に伐採して放置するのでなく、この方法で森林施業を積極的に継続しつつ、汚染木材をバイオ燃料として活用し、復興に活用することが可能である。
著者
浅川 晋 齋藤 雅典
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

有機栽培・冬期湛水が土壌微生物群集に及ぼす影響を明らかにするため、冬期湛水を含む有機栽培試験水田圃場を対象に、土壌微生物群集を分子生態学的手法により解析した。水田作土中の土壌微生物(細菌、糸状菌、メタン生成古細菌)の群集構成と存在量は有機栽培と冬期湛水により大きな影響を受けなかった。これらは水田生態系の持続性や恒常性を土壌生物性の面から示唆する知見であり、環境保全や生物多様性の保全といった水田の機能を維持するという視点からは望ましいと考えられた。