著者
森岡 隆 手島 和典 吉嶺 絵利 中谷 正 高橋 佑太 倉持 宗起 橋本 貴朗 林 信賢 中村 裕美子 中溝 朋美 高橋 智紀 若松 志保 楠山 美智子 成田 真理子 油田 望花 川口 仁美 安生 成美
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

源兼行ら11世紀半ばの3人の能書が分担揮毫した『古今和歌集』現存最古の写本である「高野切本古今集」について、巻五・巻八・巻二十の完本3巻を除く17巻を復元した。このうち巻一・巻二・巻三・巻九・巻十八・巻十九の6巻は零本・断簡が伝存するものの、他の11巻は伝存皆無だが、各々の書風で長巻に仕上げて展示公開するとともに、それらを図版収載した研究成果報告書を刊行した。なお巻五についても、後に切除された重複歌2首の各々の当初の位置を特定し、復元し得た。
著者
山口 千仁 高橋 智紀 加藤 邦彦 新良 力也
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.174-181, 2021-04-05 (Released:2021-04-13)
参考文献数
19

アブラナ科根こぶ病などの土壌病害の防除には弱アルカリ性(pH 7.5程度)への土壌pHの矯正が有効である.土壌によってアルカリ資材添加に応じたpH上昇程度は異なるため,矯正に必要なアルカリ資材添加量の把握は煩雑で,より簡易な推定法が求められる.本研究では,東日本および北海道の水田土壌約230点にアルカリ資材として転炉スラグまたは消石灰を加え,土壌pH緩衝曲線を描いた.そして,この曲線を簡易なシグモイド曲線として数式化し,土壌pH緩衝能の指標である定数部分を,土壌調査によって知ることができるパラメータで表すことを試みた.定数部分を粘土含有量と全炭素含有量で表した回帰式の決定係数は転炉スラグで0.333, 消石灰で0.429だった.両含有量から推定したpH緩衝曲線に資材添加量を代入し算出されるpH値と実測値との関係を調べた.転炉スラグの場合,資材投入量がアルカリ分換算量で0.025~0.25 g/10 g乾土のとき,回帰式の決定係数は0.609–0.810と高く,この時のpHは酸性~弱アルカリ性に相当した.消石灰の場合,回帰式の決定係数が0.5より高いのは資材投入量がアルカリ分換算量で0.025~0.05 g/10 g乾土のときであり,pHは酸性~弱アルカリ性に相当した.このことから,作成した推定式は酸性改良や弱アルカリ性への土壌pH矯正に用いることができると考えられた.
著者
横山 理英 林 聡 岩田 知之 高橋 智紀 高田 潤
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.128, 2007 (Released:2007-11-23)

ヒノキチップをCa溶液に浸漬したのち炭化、酸処理すると硝酸性窒素及びフッ素イオンを吸着する炭素材料を作ることができる。本研究では原料として各種植物系廃棄物を用い、同様な手法で炭化物を作成し硝酸性窒素吸着能を調べた。その結果いずれの原料でも吸着能は発現することがわかり、特にコーヒーかすを原料とした場合、木質原料よりもさらに高い吸着能があることがわかった。吸着は塩化物イオンとのイオン交換であり、リン酸イオン、硫酸イオンはほとんど吸着せず、硝酸性窒素とフッ素イオンに対して吸着選択性を有する。金魚水槽を用いた簡易な水質浄化試験では硝酸性窒素を吸着してアオコの発生を抑制することがわかった。そのため、水質浄化材料として利用できることが示唆された。
著者
大石 智広 稲垣 栄洋 高橋 智紀 松野 和夫 山本 徳司 栗田 英治
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.95, 2009

グリーンツーリズムの対象を示すため,景観の選好性や景観を見たときの印象,景観から想起される仮想行動を調査した。茶園は成人女性と女の子に好まれ,リラックスした体験が適すると考えられた。ミカン園は成人女性と子供が好んだ。森林は成人男性と子供に好まれ,音や景色を静かに楽しむ体験が適した。牧場は多くの人に好まれ,行動を伴う様々な体験が適した。成人女性は広々とした景観を好み,成人男性は自然的な景観を好んだ。多くの人は仮想行動が多く想起される景観を好んだ。特に子供は,飲食行動が想起される景観を好んだ。以上のことから農業景観に適したグリーンツーリズムの対象が示された。農業景観をグリーンツーリズムに効果的に活用するには,景観の好みや景観を見たときの印象や起こしたくなる行動を把握することが重要である。
著者
吉田 修一郎 高橋 智紀 西田 和弘 中野 恵子 鈴木 克拓 小田原 孝治
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

有機物連用、酸化還元処理による水田土壌の膨潤収縮量や間隙構造の変動レンジについて不攪乱土壌および調整土壌の分析に基づき解析した。有機物連用により稲麦輪作に伴う酸化還元の変動レンジは拡大するが、高水分領域での膨潤収縮特性への影響は風乾調整試料でのみ認めた。また、湛水等の還元環境のもとでは、水ポテンシャル一定条件下であっても、時間の経過とともに体積比および含水比が増加する粘弾性的な挙動が認めた。還元処理は、間隙径分布を全体的に増加させ、練り返しは、狭い範囲に間隙径分布を収斂させる働きがあることを認めた。酸化還元の影響下にある水田土壌の膨潤収縮特性の解析における粘弾性モデルの有効性を提示した。
著者
松崎 守夫 高橋 智紀 細川 寿
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.13-22, 2006-01-31
参考文献数
26
被引用文献数
2

北陸地方のダイズは主に重粘土転換畑で栽培されているが, それらの圃場は排水性が悪いため, 湿害が懸念される.北陸地方の梅雨は6月下旬〜7月中旬となるが, その時期は, ダイズが湿害を受けやすい生育初期や花芽分化期に相当する.ここでは, 北陸地方の重粘土転換畑で栽培したダイズにおいて, 梅雨時の過湿条件の影響と被覆尿素の湿害軽減効果を検討した.6m幅の圃場外周に明きょを施工し, 梅雨時に地表面まで湛水する圃場と, 湛水しない圃場を設けた.また, 営農試験地において, 転換初年目の暗渠敷設圃場, 未敷設圃場を供試した.各圃場に対し, 被覆尿素を施用しない対照区, 40日, 70日, 100日, 100日シグモイド, 140日タイプの被覆尿素10gN/m^2を, 基肥として全面施肥する区を設けた.過湿条件によって, 窒素集積量, 収量は減少し, 窒素集積量の減少は主にウレイド態窒素集積量に, 収量の減少は主に莢数の減少に由来した.被覆尿素の効果は, 湿害が発生した圃場で見られ, 梅雨明けまでに溶出量が多い40日, 70日, 100日タイプで効果が見られる場合が多かった.40日, 100日タイプは収量, 70日タイプはウレイド態窒素集積量を増加させる傾向があった.以上のように, 北陸地方の重粘土転換畑では, 梅雨時の過湿条件によってダイズの窒素集積量, 収量が減少したが, 過湿時に溶出量が多い被覆尿素によって, それらの減少は軽減される傾向があった.