著者
横井 彩 山中 玲子 森田 学 山崎 裕 柏﨑 晴彦 秦 浩信 友藤 孝明 玉木 直文 江國 大輔 丸山 貴之 曽我 賢彦
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

舌の上に白い苔のように付着している汚れ(舌苔)の面積と、口の中のアセトアルデヒド濃度について、健常者65人(男性51人、女性14人)で調査し、舌苔の付着面積が大きい人は、付着面積が小さい人に比べ、口の中のアセトアルデヒド濃度が高くなることを明らかにしました。その理由として、舌苔に含まれる細菌がアセトアルデヒドの産生に関与していると考えられ、舌苔を取り除く舌清掃を行うと、口の中のアセトアルデヒド濃度が減少することも確認しました。
著者
玉木 直文 松尾 亮 水野 昭彦 正木 文浩 中川 徹 鈴木 雅博 福井 誠 谷口 隆司 三宅 達郎 伊藤 博夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.316-321, 2016 (Released:2016-06-10)
参考文献数
19

糖尿病や腎機能と歯周病との関連についての研究は数多く行われてきたが,これらの疾患のバイオマーカーと歯肉溝液中の炎症関連バイオマーカーとの関連についての研究は少ない.本研究では,歯肉溝液中の炎症関連バイオマーカーと糖尿病・腎機能マーカーとの関連性について検討を行うことを目的とした. 市民健診参加者と糖尿病治療の患者を対象とした.対象者の歯肉溝液を採取し,アンチトリプシンとラクトフェリン濃度を測定した.また,糖尿病コントロール指標として糖化ヘモグロビン(HbA1c),腎機能マーカーとしてクレアチニンと推算糸給体濾過量(eGFR)を測定し,これらを従属変数とした重回帰分析を用いて,それぞれの関連性を検討した. その結果,炎症関連歯肉溝バイオマーカーと血清のすべての検査項目において,年齢・性別調整後の平均値は市民健診受診者と糖尿病患者の間で統計学的な有意差があった(p<0.001).また,糖尿病などに強く関連する交絡因子である年齢や性別などの調整後でも,歯肉溝中の炎症関連バイオマーカーは糖尿病・腎機能マーカーとも関連することが認められた.本研究の結果から,客観的に評価された歯肉溝バイオマーカーと糖尿病や腎機能マーカーとの間には有意な関連があることが示され,医科−歯科連携における健診ツールとして,歯肉溝液中のバイオマーカーの測定の有用性が示唆された.
著者
三木 かなめ 玉木 直文 伊藤 博夫
出版者
四国歯学会
雑誌
Journal of Oral Health and Biosciences (ISSN:21887888)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.16-25, 2019 (Released:2019-07-03)
参考文献数
49

Herbs have long been used to maintain mental and physical health, and are now referenced to as medical herbs. At present, herbs are commonly utilized as tea, spice, perfume, etc., and are also used as traditional medicines and relaxation tools. In recent years, life style diseases, such as atherosclerosis, diabetes mellitus and arthritis, are rapidly increasing, despite the progress of western medicine. Therefore, integrated medicine for patient-centered medical treatment that combines western medicine and “complementary and alternative medicines (CAM)”, can be adopted to treat various diseases. Phytotherapy with herbs has been getting increasing attention because its efficacy and pharmacological actions have been proven in evidence-based studies, when compared with other types of CAM. This paper introduces the effectiveness of herbs to treat dental diseases, and to treat systemic diseases associated with periodontal disease, using the two American databases for herbs, i.e., “Natural Standard Herb & Supplement Reference” and “Natural Medicines Comprehensive Database”. One of herbs to treat systemic diseases associated with periodontal disease, is a plant called Cat's Claw, which is known to have many active ingredients and beneficial properties. The characterization and the availability of its components for prevention and treatment of periodontal disease are introduced in this paper. Natural herbs, such as Cat's Claw, contain many beneficial phytochemicals including polyphenols, sterols and terpenoids. Therefore, they possess various useful properties, i.e., anti-inflammatory, antioxidant, and anti-bacterial activities. In addition, they have very few known side effects. Ingestion of natural herbs as crude extracts, such as tea, is being considered for the promotion of individual health in daily life.
著者
梅谷 健作 玉木 直文 森田 学
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.581-588, 2011-10-30
参考文献数
33
被引用文献数
2

ブラッシングが脳を活性化させるということが報告されている.本研究では,術者によるブラッシングが患者の自律神経系に与える影響を評価すること目的とした.測定項目は,心拍変動解析による自律神経の活動,ストレス指標の唾液アミラーゼ活性とSTAI(State-Trait Anxiety Inventory)による状態不安の程度の3つとした.対象者は健常男性15名(年齢32.3±9.5歳)とし,ブラッシング処置を15分間行った.処置前に心拍変動,唾液アミラーゼ活性と状態不安を測定し,ベースラインとした.処置中の15分間は,心拍変動解析を継続して行った.処置終了後,再び処置前と同じ3項目を測定した.その結果,心拍変動解析においては,副交感神経の活動の指標であるLnHF(Lnは自然対数)の値がベースラインと比較して処置の終盤(処置開始後10〜15分の5分間)と処置後に有意に上昇した.自律神経の活動の指標であるLnTPはすべての時点で有意に上昇したが,交感神経の活動の指標であるLn(LF/HF)にほとんど変化は認められなかった.状態不安の得点は処置の前後で有意に減少したが,唾液アミラーゼ活性の値は減少傾向にあったものの統計学的な有意差はなかった.以上の結果から,ブラッシングによる適度な刺激が,中枢神経系に作用した結果,副交感神経の活動に変化が生じたものと考察された.副交感神経活動の指標であるLnHFが上昇し,状態不安の得点が減少したことから,術者によるブラッシングには患者をリラックスさせる効果がある可能性が示唆された.
著者
玉木 直文
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

歯周病に対して,機械的刺激を重視した術者ブラッシングと細菌の徹底的な除去を目的とした初診時感染源除去法の2種の処置を行い,歯肉縁下歯垢の細菌叢の経時的な変化を,分子遺伝学手法を用いて解析することを目的とした。岡山大学病院・予防歯科に来院した患者のうち,20本以上の歯があり,プロービング・デプスが5mm以上の歯を4本以上有する者12名を対象とした。治療期間は28日で,7日目までは毎日処置を行い,その後は14,21,28日目に治療を行なった。処置内容は,つまようじ法による術者ブラッシングと初診時盛染源除去法とし,対象者をランダムに分けた。細菌叢の分析のための歯垢は,0,7,14,28日目に歯肉縁下から採取した。細菌叢は分子遺伝学的手法(変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法,real-timePCR法)を用いて解析した。牽性剤濃度勾配ゲル電気泳動法の結果,両群とも治療寧過とともにP.gingivaJis等の嫌気性菌の検出頻度が減少し,Neisseria等の好気性菌の割倉が増えた。さらに,rea1-time PCR法の結果,全菌数は両群とも7日目以降に初夢時よりも有意に減少していだ(P<0.01,Wilcoxon test)。さらに,P.gingivalisにおいては初診時と比べて術者みぶき群では14日目,28日目に,初診時感染源除去碧では28日目に有意差に減少していた(P<0.05)。A.actinomycetemcomitanceは両群とも有意差は無かった。P.intermediaは,術者みがき群において7日目,14日目において有意に減少していた。T.dentiCOlaとT.forsythiaは,両群とも7日目以降に有意に減少していた。