著者
飯田 昭人 水野 君平 入江 智也 川崎 直樹 斉藤 美香 西村 貴之
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.92.20339, (Released:2021-11-30)
参考文献数
26
被引用文献数
4

This study examined the relationship between online class environments and the economic burden and mental health among university students at the onset of the COVID-19 pandemic. The survey participants were 909 undergraduate students, and graduate students in Hokkaido who responded to the first wave of the two-wave panel survey. The survey was conducted from July to September 2020. This study used K6 and GAD-7 as indicators of mental health. The results showed that students with both a high economic burden and a high burden of on-demand online classes after the onset of the COVID-19 pandemic had a high probability of exceeding the cutoff points (indicating severe depression and anxiety) for K6 (above 13 points) and GAD-7 (above 10 points). The number of live online classes predicted lower depression. The discussion focused on the characteristics of online classes and discussed why they were associated with mental health and how to reduce the sense of burden in classes. In addition, we pointed out the importance of economic support for university students, since economic burdens were related to mental health.
著者
河村 麻果 入江 智也 竹林 由武 関口 真有 岩野 卓 本谷 亮 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.191-202, 2020-09-30 (Released:2020-12-23)
参考文献数
29
被引用文献数
1

セラピストが認知行動療法を効果的に実施するためには、クライエントとの良い治療的関係が必要である。そのなかでも特にアライアンスの質の向上が重要視されている。WAI-SRは、アライアンスを測定するうえで適切な心理測定的ツールであることが明らかとなっているが、その日本語版は作成されていない。そこで本研究では、WAI-SRの日本語版(J-WAI-SR)を作成し、その信頼性と妥当性を検討した。その結果、J-WAI-SRは3因子構造と捉えることが妥当であると判断した。収束的妥当性については、日本語版セッション評価尺度との間に想定されたとおりの強い正の相関があった。信頼性については、内的整合性(α=.93, .96)について十分な値が得られ、再検査信頼性についても、許容範囲内の値が得られた(ICCagreement=.75)。以上のことから、J-WAI-SRは一部の信頼性と妥当性が確認された。
著者
入江 智也 横光 健吾 北田 隆義 中江 重孝
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.163-174, 2016-05-31 (Released:2019-04-27)
参考文献数
28
被引用文献数
2

本報告は、抑うつ気分を訴え来院した32歳男性に対し、医療機関においてアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)に基づく介入を実施した症例報告である。過去の出来事に対する後悔や将来の悲観に伴い、機能的な活動が制限されていると考えられたため、マインドフルネスを中心としたトレーニングを行った。しかしながら、突発的なストレッサーに伴い、希死念慮を含む抑うつ症状の悪化が認められたため、薬物療法を含む希死念慮に対する介入を行った。このことから、不快な私的体験のコントロール・アジェンダが維持または強化されている可能性が考えられたため、改めて創造的絶望のプロセスを実施したうえで価値のワークの介入を行った。その結果、再就職をはじめとした活動レパートリの増加が認められ、結果として症状の緩和が認められた。本事例から、医療機関においてACTを適用するための必要条件について考察する。
著者
横光 健吾 入江 智也 斎藤 了 松岡 紘史 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.95-104, 2014-05-31 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、病的ギャンブリングに対する認知行動療法がどの程度有効であるかを検討するため、PGの診断を受けている参加者に対して実施され、かつ研究の質の高い治療効果研究を対象にメタアナリシスを実施することであった。論文検索にはPsycINFO、MEDLINE、PubMed、CiNii、医中誌を使用した(2012年2月時点)。また、各論文の引用文献による検索を行った。抽出された213件を対象に、適格基準と研究の質の検討を行った結果、4編の論文(7件の治療プログラム)がメタアナリシスの対象となった。その結果、認知行動療法は、治療終結期のギャンブル行動、ギャンブル費用、病的ギャンブリングの症状を減少させ、ギャンブル行動とギャンブル費用について、その効果が6ヵ月後においても維持されることが示された。今後の課題として、異質性と公表バイアスの結果から、今後の病的ギャンブリングに対する認知行動療法について、サンプルサイズの大きい研究の必要性が述べられた。
著者
入江 智也 河村 麻果 青木 俊太郎 横光 健吾 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-12, 2019-01-31 (Released:2019-06-08)
参考文献数
28

本研究は、大学生の精神的健康に対する集団アクセプタンス&コミットメント・セラピー(G-ACT)の効果の検討を目的として行われた。大学生17名のうち9名(男性4名、女性5名)をG-ACT群、8名(男性1名、女性7名)を通常介入群に割り付けた。G-ACTはアクセプタンスとマインドフルネスに関わるワーク、コミットメントと行動変容に関わるワークを含む全6セッションから構成された。通常介入は学生相談サービスの利用であった。測定は、G-ACT実施前、実施後、実施1カ月後時点で実施した。線形混合モデルによる解析の結果、G-ACT群は通常介入群と比較して、実施後時点において不快気分の改善、および行動の活性化が、実施1カ月後時点において不快気分の改善および心理的柔軟性の向上が認められた。価値の明確化および回避行動は、G-ACT群と通常介入群の変化量の差異は認められなかった。以上の結果を踏まえ、大学生に対してG-ACTを実施するうえでの留意点について考察を行った。
著者
河村 麻果 入江 智也 関口 真有 坂野 雄二 本谷 亮
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.73-88, 2022-01-31 (Released:2022-04-01)
参考文献数
31

認知行動療法をより効果的に提供するためには、セラピストを対象とした同盟の質の向上を促す訓練が必要である。そこで本研究では、同盟の質の向上に重要だと考えられる訓練要素から構成される訓練プログラムを作成し、その効果検証と、よりよい訓練プログラムを作成するための情報を得ることを目的としたパイロットスタディを実施した。その結果、同盟の質の向上についての訓練効果はわずかであったが、同盟の質の改善のためのスキルを用いる自信を高めることができた。今後は、同盟の質を評価する方法を改善し、基礎的な治療関係スキルの訓練と困難事例を対象に治療関係スキルを用いるための2つのステップから訓練を構成する必要性があることが明らかとなった。
著者
入江 智也 横光 健吾 河村 麻果 藤田 雅彦 坂野 雄二
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.72-82, 2015-11-30 (Released:2015-12-10)
参考文献数
33

本研究では,精神科外来における集団形式のアクセプタンス&コミットメント・セラピー(G-ACT)の効果を検討した。G-ACTは,アクセプタンスとマインドフルネスに関わるエクササイズとホームワーク,コミットメントと行動変容に関わるエクササイズとホームワークを含む全8セッションから構成された。分析は11名(男性5名,女性6名,平均年齢=38.73±5.93歳)を対象に,G-ACT実施前,実施後,実施後1カ月時点の,STAI, 認知的統制尺度の破局的思考の緩和因子,AAQ-IIの得点を用いて行われた。その結果,G-ACT実施後ならびに実施後1カ月時点において,不安症状の減少と心理的柔軟性の向上が認められた。また,それぞれの変化は中程度から大きな効果であった。以上のことから,G-ACTは不安症状に対して有効であり,本研究は不安症状を抱える患者に対するG-ACTの適用を支持する成果を示すものである。
著者
横光 健吾 入江 智也 斎藤 了 松岡 紘史 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.95-104, 2014

本研究の目的は、病的ギャンブリングに対する認知行動療法がどの程度有効であるかを検討するため、PGの診断を受けている参加者に対して実施され、かつ研究の質の高い治療効果研究を対象にメタアナリシスを実施することであった。論文検索にはPsycINFO、MEDLINE、PubMed、CiNii、医中誌を使用した(2012年2月時点)。また、各論文の引用文献による検索を行った。抽出された213件を対象に、適格基準と研究の質の検討を行った結果、4編の論文(7件の治療プログラム)がメタアナリシスの対象となった。その結果、認知行動療法は、治療終結期のギャンブル行動、ギャンブル費用、病的ギャンブリングの症状を減少させ、ギャンブル行動とギャンブル費用について、その効果が6ヵ月後においても維持されることが示された。今後の課題として、異質性と公表バイアスの結果から、今後の病的ギャンブリングに対する認知行動療法について、サンプルサイズの大きい研究の必要性が述べられた。