- 著者
-
長山 芳子
勝二 博亮
- 出版者
- 一般社団法人 日本LD学会
- 雑誌
- LD研究 (ISSN:13465716)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.4, pp.466-477, 2020 (Released:2020-12-03)
- 参考文献数
- 21
対人関係形成が困難で通常の学級(以下,通常学級)で孤立していたADHDの小学5年生女児を対象として,通常学級と特別支援学級の相互的アプローチによる対人関係支援を実施した。通常学級では主に構成的グループエンカウンターによる居場所づくりを,特別支援学級ではソーシャルスキルトレーニングによる対人関係スキル形成を試みた。さらに,通常学級では対象児との具体的な関わり方の手本を示すとともに,特別支援学級を開放した友達づくりの支援も行った。学級診断アセスメントである「楽しい学校生活を送るためのアンケート(Q-U)」を継続的に実施して支援効果を検証した結果,学級満足度尺度による評価から,通常学級内での居心地感が徐々に高まることが明らかとなった。さらに,学校生活意欲尺度では,互いに信頼できる友達関係形成により,学級の雰囲気や友達関係の評価が高まるだけでなく,学習意欲の向上にも寄与するなど,さまざまな波及効果を生むことが示唆された。