著者
北山 忍
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.153-167, 1995
被引用文献数
3

Cultures vary considerably in the views of self that are historically constructed and tacitly shared therein. In European-American cultures there is a strong belief in the independence of self from others, giving rise to a major life task of discovering, confirming, and expressing positively valued internal attributes of the self. By contrast, many Asian cultures do not value such independence. Instead, they emphasize the interdependence of self with others. A major life task of these cultures involves forming and maintaining a social relationship of which the self is seen as its meaningful part. In turn, these cultural views of self as independent or as interdependent shape the very nature of social psychological processes that have traditionally been assumed to be cross-culturally invariant. Within this theoretical framework, cross-cultural differences in a variety of psychological processes including cognition, emotion, and motivation are reviewed and integrated. Implications are discussed for future directions of social psychology in Japan.
著者
北山 忍
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.153-167, 1995-03-31 (Released:2016-12-03)
被引用文献数
1

Cultures vary considerably in the views of self that are historically constructed and tacitly shared therein. In European-American cultures there is a strong belief in the independence of self from others, giving rise to a major life task of discovering, confirming, and expressing positively valued internal attributes of the self. By contrast, many Asian cultures do not value such independence. Instead, they emphasize the interdependence of self with others. A major life task of these cultures involves forming and maintaining a social relationship of which the self is seen as its meaningful part. In turn, these cultural views of self as independent or as interdependent shape the very nature of social psychological processes that have traditionally been assumed to be cross-culturally invariant. Within this theoretical framework, cross-cultural differences in a variety of psychological processes including cognition, emotion, and motivation are reviewed and integrated. Implications are discussed for future directions of social psychology in Japan.
著者
北山 忍 唐澤 真弓
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.133-163, 1995-11-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
191
被引用文献数
24 30

自己についての文化心理学的視座によれば, (i) 心理的傾向の多くは, 観念, ディスコース, 慣習, 制度といった文化の諸側面によって維持・構成され, さらに (ii) これら文化の諸要素は, 歴史的に形成され, 社会的に共有された自己観 (北米・西欧, 中流階級における相互独立的自己観や, 日本を含むアジア文化における相互協調的自己観) に根ざしている。この理論的枠組みに基づいて, 本論文ではまず, 日本の内外でなされてきている日本的自己についての文献を概観し, 現代日本社会にみられる相互協調の形態の特性を同定した。次いで, 自己実現の文化的多様性とその身体・精神健康問題へのインプリケーションについての日米比較研究の成果を吟味し, 心理的傾向が文化によりどのように形成されるかを具体的に例証した。最後に, 将来への指針を示し, 結論とした。
著者
杉森 伸吉 北山 忍
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

近年の文化社会心理学が示してきたところを加味した本研究仮説によると、日本人の場合は所属集団の持つ集団基準から見て恥ずかしくないところに、自己を定位することに動機づけられているため、失敗したときには、自尊心回復よりも集団内の高地位に再定位するように、自己改善の動機が喚起されるため、比較対象として選ぶのは、自分より下位のものではなく、むしろ最高位の他者が選ばれやすくなること、そして自分の努力不足に原因が帰属されやすくなることを確認した。さらに、自己不確実感が高い個人ほど、こうした傾向が強いことも示された。また、選択行動の直後に、親しい他者が異なる選択をしたことを知ると、自己不確実感が高まり、不協和低減行動が生じた。以上の諸結果から、研究3についても、選択後の認知的不協和について、他者との関係性の観点から、検討を加えた。研究1における自己不確実感と成功・失敗の原因帰属および社会的比較の関連と、研究2の選択後の自己不確実感について検討した。従来の欧米の理論では、人間は自尊心維持に動機づけられており、失敗した場合は自己防衛の動機が高められて、失敗の原因を課題の困難さなどの外部要因に帰属することで、自尊心が傷つかないようにしたり、自分より成績の悪かったものと社会的比較をおこなうことにより、自尊心をあげるように試みたりすることが指摘された。他者の選択情報を与えた結果、自分の選んだ商品の魅力が増し、自分の選ばなかった商品の魅力が減少するという「認知的不協和」現象は、日本においては後者の条件においてのみ見られるだろう。ここでの研究仮説を検証し、仮説を支持する結果が得られれば、集団よりも個人を社会の一次的ユニットと見なす欧米における研究では説明できなかった重要な過程に光を当てることができ、実験社会心理学の研究はもとより、教育心理学、臨床心理学に対しても有意義な貢献ができるであろう。