著者
脇坂 洋祐 柴田 直樹 北道 淳司 安本 慶一 伊藤 実
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.657-668, 2016-02-15

マルチコアプロセッサを搭載した計算機が広く利用されるようになり,また様々なタスクスケジューリング手法が利用されている.マルチコアプロセッサの処理性能を向上させるため,ターボブーストおよびハイパースレッディングと呼ばれる処理高速化および並列処理技術が開発され,搭載されるようになった.これらはそれぞれ一部のコアが使用されていないときに使用されているコアの動作周波数を向上させる技術と,1つの物理コアを複数の論理プロセッサに見せかける技術である.既存のタスクスケジューリング手法は,これらの最新技術を考慮しておらず,多数のタスクを1つのプロセッサに集中させる傾向がある.本研究では,ターボブーストおよびハイパースレッディングによる実効動作周波数の動的変更とネットワークコンテンションを考慮し,より計算機資源を有効に活用するためのタスクスケジューリングアルゴリズムを提案する.実機実験を通してターボブーストおよびハイパースレッディングによる動作周波数モデルを作成し,タスクの処理時間を正確に推定することで両技術を考慮したタスクのスケジュールを行う.シミュレーションと実機実験による評価の結果,提案手法は全体の処理時間をシミュレーションで最大43%,実機実験では最大で36%短縮できることを確認した.
著者
北道 淳司 森岡 澄夫 東野 輝夫 谷口 健一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.123-124, 1993-09-27

ハードウェア記述言語では,複数の動作の並列実行を自然に記述できるものが多い.しかし,複数の動作が同じレジスタ,バス,端子等に異なるデータを転送する(データ代入の衝突)かどうかを判断することは難しい.高信頼という観点からは,データ代入の衝突が起きないことを保証し,その記述から高位合成することが望ましい.本論文では,2.において,同期式順序回路を対象とし,複数動作が実行される順序回路の一モデルを示し,そのモデル上でのデータ代入の衝突を定義する,3.において,衝突が起きないことを検証するアルゴリズムを与える.
著者
岡野 浩三 北道 淳司 東野 輝夫 谷口 健一
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.354-363, 1993-07-25
参考文献数
9
被引用文献数
4

本論文では代数的手法による順序機械型プログラムの階層的設計法について提案する.我々の階層的設計法では要求仕様から実現プログラムまで同一の詳細化法に基づいて段階的に順次詳細化していく.各レベルでは,そのレベルでの関数,処理の性質等の要求記述が行われ,そのレベルで閉じた記述になっている.我々は,プログラム設計技法の共通問題として提供された在庫管理問題に対し本手法を適用し,他の文献では見られなかった入出力関係のみを指定した要求記述から,5段階にわたって逐次詳細化し,プログラムを開発した.本論文では記述の概略と共に,要求記述や詳細化の際に一般的に生じる問題点,解決法を述べ,また,他の方法論との比較も行っている.「拡張射影」と呼ばれる単純な枠組で最上位の満たすべき入出力関係を記述できること,記述は完全に階層的であること,各レベルの要求記述はいわゆるオーバスペックにならないように必要なことのみ記述していること,各レベルの要求記述に抜けがないよう記述スタイルを工夫していること,正しさの形式的な証明が可能であったこと,実現プログラムの実行時間はCプログラムのそれのたかだか2倍程度であること,等の結果より,本設計法および処理系の有効性が確かめられた.
著者
上田 浩司 北道淳司 黒田 研一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.39, pp.19-24, 2007-05-10
参考文献数
14

近年 FPGA技術を応用した動的再構成可能プロセッサ(DRP)が提案されているDRPは独自の動的再構成可能アーキテクチャ(DRA)を持ち 独自の設計自動化環境が用意されている.しかし アプリケーションに特化した新規のDRAを含む動的再構成可能システム(DRS)のシステム設計において 既存のDRP用記述言語およびCADでは対応できない可能性がある.本稿では システムレベルにおける汎用のDRSのモデリングのために開発している動的モジュールライブラリを利用したDRPのシステムレベルモデリングについて述べる動的モジュールライブラリはSystemCの拡張ライブラリであり,モジュールの動的な生成・削除およびポートの動的な接続・分断のモデリングが可能である.提案プロセッサのアーキテクチャは 基本となるMIPS型アーキテクチャに対して 動的に生成・削除される演算器のための命令およびそれらの生成・削除命令を追加したものである.提案プロセッサのモデリングおよびそのシミュレーション結果について述べる.Recently, dynamically reconfigurable processors (DRPs) based on FPGA technology are proposed. DRPs are implemented on unique dynamically reconfigurable architecture, and a specialized design environment is provided for the DRP. In the case of the system design for new application specific dynamically reconfigurable system ( DRS ), existing description language and CAD system for existing DRA can not deal with this system design. In this paper, we describe the system level modeling of a DRP using a dynamic module library, which we have developed for the modeling of general purpose DRSs at the system level. The dynamic module library is an extended SystemC library, and enables the modeling of the dynamically generation and elimination of modules, ports and channels and the connection and dispatch between port and channel. The architecture of proposed processor is based on a MIPS type architecture and is appended the instructions, which are for the dynamically reconfigurable operational units and for the generation and elimination of them, and the hardware resources for the execution of appended instructions. We describe the proposed DRP model and its simulation results.
著者
坂主 圭史 廣森 聡仁 今村 多一郎 岡本 潤也 稗田 拓路 武内 良典 今井 正治 北道 淳司 東野 輝夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.201, pp.45-50, 2009-09-17
被引用文献数
4

多数の負傷者が同時に発生する災害現場では,短時間で多くの負傷者を処置し医療機関へ搬送するために,紙製のタッグが用いられている.紙製のタッグを用いたトリアージは,最新の負傷者の状態を反映できない.そこで,負傷者に生体情報を収集する機器を装着し,無線ネットワークで負傷者の生体情報をリアルタイムで監視する災害医療支援ネットワークが提案されている.本稿では,災害医療支援ネットワークにおいて使用し,比較的軽傷な負傷者に装着して生体情報を収集する軽傷者用負傷者端末について提案する.