著者
黒岩 将 安本 慶一 村田 佳洋 伊藤 実
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.47-56, 2013-03-12

合コン(お見合いパーティ)では,できるだけ多くのカップルを成立させたいという要求が発生する.本論文では,合コン結果から,カップルが成立しやすい男女の属性情報の組(好相性と呼ぶ)を,進化計算を用いて求めることで,理想的な合コンメンバ(合コン参加者名簿)を決定するシステムを提案する.提案システムでは,男女の属性情報の組を進化計算の解集団(初期個体群)としてシステムに持たせ,合コンでのカップル成否を解の評価値(適応度)としてフィードバックしながら,好相性を表現する準最適解集団の獲得を目指す.提案システムの実現には,複数の好相性の同時探索,様々な参加者による多数の合コンの実施が必要である.これらの課題を解決するため,進化計算の新しい選択法,過去の合コン結果の新たな解評価への再利用法を考案した.提案システムを評価するため,カップルになった男女の属性情報を解としてそのまま利用する比較手法を用意し,計算機シミュレーションにより比較を行った.結果,提案手法が,比較手法に比べて,半分の合コン実施回数で,約2倍のカップル成立数を達成できることを確認した.
著者
黒岩 将 安本 慶一 村田 佳弘 伊藤 実
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.7, pp.1-6, 2012-02-23

合コン (お見合いパーティ) では,できるだけ多くのカップルを成立させたいという要求が発生する.本論文では,合コン結果から,カップルが成立しやすい男女の属性情報の組 (好相性と呼ぶ) を,対話型進化計算を用いて求めることで,理想的な合コンメンバー (合コン参加者名簿) を決定するシステムを提案する.提案システムでは,男女の属性情報の組を進化計算の解候補集合としてシステムに持たせ,合コンでのカップル成否を解候補の評価値としてフィードバックしながら,好相性を表現する解集合の獲得を目指す.提案システムを評価するため,比較手法として一般的に考え得る単純なグリーディ手法を用意し,実施した計算機シミュレーションの結果を報告する.There is a demand to maximize the number of successful couples in matchmaking party called Gokon. In this paper, we propose a method to find good affinity patterns between man and woman from resulting matches of Gokon by encoding their attribute information and using interactive evolutionary computation scheme. We also propose a system to assign the best members to each Gokon based on the method. The purpose of the proposed system is to derive good affinity patterns. For this purpose, a specified number of candidate solutions as chromosome of evolutionary computation (EC) are initially prepared in the system. By feeding back the results of Gokon to the candidate solutions as fitness value of EC, semi-optimal solutions are derived. To evaluate the system, we prepared a greedy method to compare the system. We report the result of computer simulation to test the proposed method and the greedy method.
著者
黒岩 将 安本 慶一 村田 佳洋 伊藤 実
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.47-56, 2013-03-12

合コン(お見合いパーティ)では,できるだけ多くのカップルを成立させたいという要求が発生する.本論文では,合コン結果から,カップルが成立しやすい男女の属性情報の組(好相性と呼ぶ)を,進化計算を用いて求めることで,理想的な合コンメンバ(合コン参加者名簿)を決定するシステムを提案する.提案システムでは,男女の属性情報の組を進化計算の解集団(初期個体群)としてシステムに持たせ,合コンでのカップル成否を解の評価値(適応度)としてフィードバックしながら,好相性を表現する準最適解集団の獲得を目指す.提案システムの実現には,複数の好相性の同時探索,様々な参加者による多数の合コンの実施が必要である.これらの課題を解決するため,進化計算の新しい選択法,過去の合コン結果の新たな解評価への再利用法を考案した.提案システムを評価するため,カップルになった男女の属性情報を解としてそのまま利用する比較手法を用意し,計算機シミュレーションにより比較を行った.結果,提案手法が,比較手法に比べて,半分の合コン実施回数で,約2倍のカップル成立数を達成できることを確認した.There is a demand to maximize the number of successful couples in match-making party called Gokon. In this paper, we propose a method to find good affinity patterns between man and woman from resulting matches of Gokon by encoding their attribute information and using evolutionary computation scheme. We also propose a system to assign the best members to each Gokon based on the method. The purpose of the proposed system is to derive good affinity patterns. For this purpose, a specified number of solutions as chromosome of evolutionary computation (EC) are initially prepared in the system. By feeding back the results of Gokon to the solutions as fitness value of EC, semi-optimal solutions are derived. To realize the proposed system, we need simultaneous search of multiple different good affinity patterns and efficient evaluation of solutions through many Gokons with various attribute members. To these challenges, we devise new methods for efficient selection operation and reuse of the past matches to evaluate new solutions. To evaluate the system, we prepared a comparative method which uses attribute information between a man and a woman who made a match as a solution. Through computer simulation, we confirmed that the proposed system achieves twice as many successful couples as the comparative method with about half of evaluation times.
著者
伊藤 実
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.17-20, 1969-08-31 (Released:2010-06-22)
参考文献数
4

土壌の保水性をpF曲線から検討することは土壌の作物への水分供給の研究にとって重要である.しかしすでに明らかにしてきたように, 土壌の乾燥処理の仕方によってその保水性は変化することがわかった.このことから, 土壌の保水性を考究するには土壌のうける乾燥の強さや過去の履歴を知ることが必要となる.ここでは土壌の乾燥程度と粒子との関係について考察してみる.粒子自身の保水性に変化を生ずるようになるのは多くの場合風乾程度 (≒pF6前後) の乾燥をうけるときである.他方, それ以下の乾燥では粒子そのものの保水性の変化よりも粒子系としての保水性の変化を示すことになる.すなわち, 乾燥があまりつよくないと, 粒子そのものに変化はないが, 粒子が互にくっついて集合的なものとなり, 土壌の保水性は単体粒子系としてよりも集合体粒子系としての性質を示すことになる.このために集合体粒子が土壌に占める割合が多くなると (乾燥が次第に進んでいくと考えられる) , 集合体粒子は水分を保持する比表面積が単体粒子よりも小さいことから, 土壌全体の保水性は低下していく.そして, 一度このような土壌体になったものにふたたび水を加えても, この低下した比表面積分は保水性には影響を与えず, 全体として保水性が低下した状態のままで存在することになる.しかしながら, これらの集合体に超音波をあてて集合体を構成している粒子を単体粒子系にしてその保水性をみると, それは生土粒子のそれとほとんど同じ特性をもっている.このように, ある範囲までの乾燥程度では土壌粒子そのものの保水性に変化はないが, 構造的なものによる保水性の変化を示す.しかし, いったん風乾状態をへると保水性に関して土壌粒子はもはや生土の粒子とは質的に異なるために, 土壌系全体が生土とはちがった値をとることになる.土壌と作物との関係をpF曲線からみるとき, 土壌の乾燥に関する履歴もその研究対象にする必要があることが以上のことからわかる.作物の地下環境の1つである土壌水分は圃場を形成する土壌の過去や将来うける乾燥との関連でとらえ, 作物生育に影響する有効水分量やしおれ点などの土壌水分恒数をきめて, 作物に供給する水分量を計画することが重要となる.
著者
丸山 敦史 柴田 直樹 村田 佳洋 安本 慶一 伊藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.2678-2687, 2004-12-15
被引用文献数
17

本論文では,観光のためのパーソナルナビゲーションシステム"P-Tour" を提案する.P-Tour は,ユーザが出発地と出発時刻,帰着地と帰着時刻,複数の観光候補地と各地への立ち寄り希望度と時間制約(到着時間帯や滞在時間など)を設定すると,制限時間内で巡回可能かつ最も満足度が高くなるような巡回経路(いくつかの観光地を含む)と各観光地への到着・出発予定時刻を含むスケジュールを算出しユーザに提示する機能を提供する.P-Tour は決定したスケジュールに従い,GPS 機能を備えた携帯端末を介し,ユーザにナビゲーション機能を提供する.提案するナビゲーション機能では,現在地を中心とする地図と次の目的地への経路の表示などの空間的な誘導に加え,各目的地での,滞在可能時間の表示や出発時刻の通知などの,時間的な誘導機能を提供する.遺伝的アルゴリズムを用いて準最適なスケジュールを高速に算出するアルゴリズムを設計・開発し,Java サーブレットとして実装した.PC や携帯端末からウェブインタフェースを介してスケジュールの作成,ナビゲーション機能が利用できる.市販のカーナビゲーションシステム用のデジタル地図を用いた評価実験により,準最適なスケジュールを実用的時間で案内できることなどを確認した.In this paper, we propose a personal navigation system for tourism called P-Tour. In PTour, when a tourist specifies the starting location, the departure time, the returning location, the arrival time and the multiple candidate destinations with relative importance and time restrictions on their arrival and staying time, the nearly best schedule is automatically computed. P-Tour can efficiently navigate the tourist according to the decided schedule through a portable computing device with GPS. In addition to the standard navigation function to guide users to destinations by displaying a graphical map, P-Tour provides temporal guidance for the tourist to follow the schedule. We have developed a route search engine to obtain a semi-optimal solution quickly using techniques of genetic algorithms. The engine has been developed as a Java Servlet and can be used from PCs and portable devices via http protocol. Our experimental results show that our route search engine can compute the nearly best schedule in reasonable time.
著者
町屋 大地 伊藤 実 髙橋 美知子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.s2, pp.s82-s85, 2022 (Released:2022-06-13)
参考文献数
7

ジャパンサーチでは、提供を受けた多様な分野のデジタルアーカイブのメタデータを、利活用に適した形にマッピングしリンクトオープンデータ(LOD)として提供している。ジャパンサーチのLODは、項目のURIとしての正規化、ジャパンサーチ外部のRDFの活用、LODハブへの協力といった取り組みを行うことで利活用の促進を目指している。本発表では、ジャパンサーチでのLOD提供について、利活用を促進するための取組みに重点を置いて報告する。
著者
黒岩 将 安本 慶一 村田 佳洋 伊藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
巻号頁・発行日
2013-03-12

合コン(お見合いパーティ)では,できるだけ多くのカップルを成立させたいという要求が発生する.本論文では,合コン結果から,カップルが成立しやすい男女の属性情報の組(好相性と呼ぶ)を,進化計算を用いて求めることで,理想的な合コンメンバ(合コン参加者名簿)を決定するシステムを提案する.提案システムでは,男女の属性情報の組を進化計算の解集団(初期個体群)としてシステムに持たせ,合コンでのカップル成否を解の評価値(適応度)としてフィードバックしながら,好相性を表現する準最適解集団の獲得を目指す.提案システムの実現には,複数の好相性の同時探索,様々な参加者による多数の合コンの実施が必要である.これらの課題を解決するため,進化計算の新しい選択法,過去の合コン結果の新たな解評価への再利用法を考案した.提案システムを評価するため,カップルになった男女の属性情報を解としてそのまま利用する比較手法を用意し,計算機シミュレーションにより比較を行った.結果,提案手法が,比較手法に比べて,半分の合コン実施回数で,約2倍のカップル成立数を達成できることを確認した.
著者
永田 宗伸 村田 佳洋 柴田 直樹 安本 慶一 伊藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.23-31, 2007-03-15
参考文献数
9
被引用文献数
2

今日の観光において,団体ツアーなどのグループ観光は,個人旅行に比べて費用などの点においての利点を持つ.しかし団体ツアーは,参加メンバの細かな嗜好や制約の違いを反映させることが難しい.本論文では,訪れたい観光地が少しずつ異なる複数のメンバがグループで観光する際に,メンバそれぞれの希望を満たしつつ,希望の合致する部分を共有するようなスケジュールを算出する問題を定義し,それを実用時間で計算する遺伝的アルゴリズム(以下,GA)を用いた近似アルゴリズムを提案する.取り扱う問題においては,メンバの数や巡回候補地の数に応じて,スケジュール中の単独行動とグループ行動の間の分離・合流地点の組合せが爆発的に増える.提案手法におけるGA の解のコーディングでは,分離・合流地点を"参照遺伝子" と呼ばれる遺伝子で表し,解候補の評価値を計算する際に,複数メンバのスケジュールをこの遺伝子を介して結合するという手法を採用した.これにより,広大な解空間を効率良く探索することが可能となり,評価実験を行った結果,メンバ数3~9 程度のグループ観光に対し,高速に準最適な解を得られることを確認した.Group tour is popular in recent years because of its reasonable cost. In group tour, however, members must follow the same schedule, and there is little flexibility to reflect preferences of the members. In this thesis, we propose a GA-based approximation algorithm to find the minimum cost schedule (including routes and stay time at each spot) for a flexible group tour with members who have different preferences. In this problem, the number of combinations of leaving and joining points exponentially increases. In the proposed algorithm, we used the gene called "reference gene". This gene means point where members leave or join in the schedule. With this coding of chromosome, efficient searching in the vast search space is achieved. We implemented and evaluated the proposed algorithm. We confirmed that our algorithm can find efficient schedules within reasonable time for group tours with practical size, 3 to 9 members.
著者
高島 栄一 村田 佳洋 柴田 直樹 伊藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.91, pp.65-68, 2003-09-18

筆者らが以前提案した自己適応島GAは,各島のパラメータをやりとりする際に全ての島が同期して動作しなければならず,島を担当する計算機の能力に違いがある場合に待ち時間が発生していた.本手法では,アルゴリズムに改良を加え,同期を取る必要をなくすることにより性能を向上させた.また,比較実験を通して,計算機の能力に違いがある場合に,従来アルゴリズムよりも時間あたりの探索性能が改善されていることを確認した.また,一定評価回数での探索性能を比較し,解の探索能力が若干改善されていることを確認した.We have previously proposed SAIGA(self adaptive island GA), but it requires all islands to be synchronized when exchanging parameters between islands. In this paper, we propose a technique to avoid this synchronization. We also confirmed that our new algorithm largely outperforms our previous algorithm if there are large differences between processing power of each island. Through experiments, we confirmed that there is slight improvement of search performance from our previous algorithm if both of algorithm uses same number of evaluations.
著者
脇坂 洋祐 柴田 直樹 北道 淳司 安本 慶一 伊藤 実
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.657-668, 2016-02-15

マルチコアプロセッサを搭載した計算機が広く利用されるようになり,また様々なタスクスケジューリング手法が利用されている.マルチコアプロセッサの処理性能を向上させるため,ターボブーストおよびハイパースレッディングと呼ばれる処理高速化および並列処理技術が開発され,搭載されるようになった.これらはそれぞれ一部のコアが使用されていないときに使用されているコアの動作周波数を向上させる技術と,1つの物理コアを複数の論理プロセッサに見せかける技術である.既存のタスクスケジューリング手法は,これらの最新技術を考慮しておらず,多数のタスクを1つのプロセッサに集中させる傾向がある.本研究では,ターボブーストおよびハイパースレッディングによる実効動作周波数の動的変更とネットワークコンテンションを考慮し,より計算機資源を有効に活用するためのタスクスケジューリングアルゴリズムを提案する.実機実験を通してターボブーストおよびハイパースレッディングによる動作周波数モデルを作成し,タスクの処理時間を正確に推定することで両技術を考慮したタスクのスケジュールを行う.シミュレーションと実機実験による評価の結果,提案手法は全体の処理時間をシミュレーションで最大43%,実機実験では最大で36%短縮できることを確認した.
著者
黒岩 将 安本 慶一 村田 佳弘 伊藤 実
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MPS-87, no.7, pp.1-6, 2012-02-23

合コン (お見合いパーティ) では,できるだけ多くのカップルを成立させたいという要求が発生する.本論文では,合コン結果から,カップルが成立しやすい男女の属性情報の組 (好相性と呼ぶ) を,対話型進化計算を用いて求めることで,理想的な合コンメンバー (合コン参加者名簿) を決定するシステムを提案する.提案システムでは,男女の属性情報の組を進化計算の解候補集合としてシステムに持たせ,合コンでのカップル成否を解候補の評価値としてフィードバックしながら,好相性を表現する解集合の獲得を目指す.提案システムを評価するため,比較手法として一般的に考え得る単純なグリーディ手法を用意し,実施した計算機シミュレーションの結果を報告する.
著者
伊藤 実桜 胡 楚羚 伊藤 貴之
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 画像電子学会第300回研究会講演予稿 (ISSN:02853957)
巻号頁・発行日
pp.227-229, 2022 (Released:2023-03-31)

楽曲の印象はメロディ・ジャンル・編成・録音状態など多様な要因が影響する.特に商業音楽では楽曲を売るためのコンセプトが先行して制作されることが多く,メロディ以上に伴奏の印象が大きな影響を及ぼすことが多いと考えられる.この仮説にもとづいて本報告では,同一楽曲の同一歌唱者による音源を対象として,伴奏だけを多様なジャンルに差し替えた状態で印象評価を実施し,どのように印象が変化するかを観察した.本報告では音源制作の過程を紹介し,印象評価結果を紹介する.
著者
山本 眞也 村田 佳洋 安本 慶一 伊藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
巻号頁・発行日
2006-02-15

本論文では,ネットワークゲーム向け分散型イベント配送方式を提案する.本方式は,ロビーサーバを用いたHybrid P2P の環境で多人数参加型ネットワークゲームを実現することを目的としている.これを実現するため,ゲームで発生するイベントの登録・通知をゲーム領域の分割によってできた部分領域ごとにゲーム参加者の計算機に担当させ,分散処理させる.各領域のプレイヤ数が増加してイベント通知を担当する計算機の負荷が高くなると,複数の計算機からなる負荷分散木を動的に構築し,イベント通知を負荷分散木を経由して行うことで1台あたりの負荷を軽減する.また,負荷分散木上のノードの動的入れ替えによる,エンド・エンドのイベント配送遅延の短縮法,各プレイヤの視界が複数の部分領域にまたがる場合のイベント配送法を提案する.LAN環境で動作するプロトタイプシステムによる実験と,ns-2によるシミュレーション実験を行い,提案手法が現実のネットワークゲームを実現するうえで,実用的な性能を達成できることを確認した.In order to achieve multi-party networked games with lobby server in Hybrid P2P enviroments, we propose a publish/subscribe based distributed event delivery method. In our method, a shared game space is divided into multiple sub-areas and some nodes are selected from all players to deliver game events occurring in their responsible areas to player nodes. This method also includes a load balancing mechanism which allows each responsible node for the crowded area to dynamically construct a tree of multiple nodes and deliver events along the tree to reduce event forwarding overhead per node. We also propose techniques (1) to reduce end-to-end event delivery latency by dynamically replacing nodes in the tree, and (2) to efficiently deliver events to players who have visible areas over multiple sub-areas. Experiments in LAN using our prototype system and through simulations with ns-2, we have confirmed that the proposed method can achieve practical performance for MMORPG.
著者
橘 達弘 村田 佳洋 柴田 直樹 安本 慶一 伊藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.381-392, 2008-01-15
参考文献数
19
被引用文献数
1

多目的遺伝的アルゴリズム(Multi-Objective Genetic Algorithms,MOGA)は,多目的最適化問題を解くために単一目的遺伝的アルゴリズムを拡張した最適化手法である.MOGA では複数の個体群の多様性を維持するための手法であるニッチ法やランク戦略がよく用いられるため,単一目的GA よりさらに計算量が大きくなる傾向がある.本論文では,多目的最適化問題を高速に解くことを目的とし,ハードウェア化のためのMOGA のアーキテクチャを提案する.提案方式では,世代交代モデルとしてハードウェア化に適したMinimal Generation Gap モデルを採用する.既存のニッチ法やランク戦略をパイプライン処理で実装することは困難なため,パイプライン処理に適した多様性を維持する手法を設計,採用した.また,解探索能力の向上のために,島モデル型GA の各島の目的関数を改変した並列GA モデルに即した並列実行方式を設計し,提案アーキテクチャに採用した.実験の結果,提案アーキテクチャによるMOGA 回路はNSGA-II より優れた探索能力を持つことを確認した.Multi-Objective Genetic Algorithms (MOGAs) are enhancement of Single-Objective Genetic Algorithms (SOGAs) to solve multi-objective optimization problems. Since MOGAs require a special selection mechanism such as ranking strategy and niching method to preserve diversity of individuals, MOGAs require larger computation power than SOGAs. In order to improve calculation speed of MOGAs, we propose a new method to easily implement MOGAs as high performance hardware circuits. In the proposed method, we adopt a simple minimal generation gap model as the generation model, which is easy to be pipelined. Since it is difficult to implement niching method and ranking strategy as pipelined circuits, we developed a new selection mechanism which is suitable for hardware implementation. In order to improve search efficiency, our method also includes a parallel execution architecture based on island GA. In this architecture, we use different objective function for each island. Through experiments, we confirmed that our method has higher search efficiency than NSGA-II.
著者
伊藤 実樹子 山本 泰雄 菅 靖司 当麻 靖子 鈴木 由紀子 川越 寿織 山田 摩美 重田 光一 黒川 宏伸 酒巻 幸絵 澤口 悠紀 山村 俊昭 中野 和彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.466, 2003

【はじめに】日本スポーツマスターズの第一回大会が2001年9月に行なわれた。本大会は中高年の競技レベルの全国大会である。その予選大会である北海道四十雀サッカー大会そして五十雀および六十雀サッカー大会に、我々は救護班として参加する機会を得ている。今回、中高年サッカー競技における傷害の特徴を知ることを目的に、北海道大会における傷害状況をまとめ、若干の考察を加えたので報告する。【対象と方法】対象は2001年7月及び2002年7月に開催された北海道四十雀(40歳以上)・五十雀(50歳以上)・六十雀(60歳以上)サッカー大会全65試合の参加登録者、延べ1458名である。各試合会場のピッチサイドに医師と理学療法士が控え、試合中に発生した傷害の診断と初期治療を行い、その内容を記録した。記録内容の中から、疾患名・受傷部位・重症度・受傷状況・処置について検討した。【結果】全65試合において、傷害は35件発生した。内訳は四十雀39試合中28件(0.6件/試合)、五十雀18試合中6件(0.3件/試合)、六十雀8試合中1件(0.1件/試合)であった。傷害別では筋腱損傷16件、創傷7件、靭帯損傷5件、打撲4件、骨折1件、脳震盪1件、腰痛1件と筋腱損傷が最も多かった。部位別にみると頭部6件、上肢2件、体幹2件、下肢25件と下肢が最も多く、その内訳は大腿6件、膝3件、下腿13件、足部・足関節3件であった。試合続行不可能な重症例が35件中32件と91%をしめ、4件は救急車で病院搬送を行った。主な疾患を挙げると、肉離れ9件、アキレス腱断裂、腓骨開放骨折、脳震盪、左環指PIP関節脱臼がそれぞれ1件であった。受傷状況は接触が11件、非接触が24件と非接触が7割を占めた。処置ではアイシング、テーピング、ストレッチなど、約半数で理学療法士が関与した。【考察】中高年の競技レベルの大会においては、傷害発生総数は多くはないものの、重症疾患の発生が多いのが特徴的であった。高校サッカー大会の傷害調査(鈴木ら、2001)に比べて、発生総数は1/3であったが、試合続行不可能な重症疾患に限ると約6倍の発生頻度であった。今後もデータを蓄積するとともに、重症疾患の発生予防対策が急務と思われた。一方、本大会では競技時間が四十雀大会で計50分、五十雀、六十雀では計40分と短く、しかも20名の登録選手全員が主審の許可を得て交代することができ、一度ベンチに退いた後も再び試合に出場できるルールがあり、選手の負担が軽減される工夫がもりこまれている。よって、選手がベンチに退いている間に理学療法士がストレッチやテーピングをすることで、傷害発生を予防し、競技の継続を支援することが可能となる。今後、選手達へよりよいサポートを提供できるように経験を積み重ね,検討を加えていきたい。