著者
手代木 純 高柳 和江 井口 義也 狩谷 達之 半田 真理子
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.875-878, 2009 (Released:2010-06-24)
参考文献数
18
被引用文献数
3 4

In order to verify the increased comfort level, which can be achieved by increasing the shade provided by greenery in urban areas, we conducted the following experiment in the summer of 2007. We created a shaded green area in Tokyo with trees planted in containers, and measured the physiological and psychological effects on people and the cooling effect on the environment. When we measured the relative temperature before and after the installation (the green shaded area and the paving blocks) and compared the results inside the green shaded area against an un-shaded area, we found that a reduction of 2~3degree C had been achieved. Furthermore, we carried out a physiological test of the effects on twenty subjects and by testing their saliva we found that there had been a notable decrease in the level of cortisol. In a mood-profiling test (Profile of Mood States) we found that the subjects' irritability and aggression scores were also significantly lower, when measured before and after, under the shaded green area. These results indicate that even with a small area of shaded greenery, a certain level of environmental cooling can be achieved and they also demonstrate that there is an improvement in the physiological and mental state of people living in urban environments, proving, therefore, with quantitative data that there is a possibility for green shaded areas to make city life more pleasant.
著者
手代木 純 梛野 良明 山口 亜希子 今井 一隆 半田 真理子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.291-294, 2008-08-31

国営昭和記念公園みどりの文化ゾーンの「花みどり文化センター」の屋上庭園「浮游の庭」において,環境負荷低減効果として特殊空間緑化による温熱環境改善効果,および雨水流出遅延効果を解析した。その結果,2007年夏で最も暑い8月16目(最高気温37.6℃)では「浮游の庭」における潜熱フラックスは一日で9.7MJ/m^2あることが明らかとなり,温熱環境改善効果が検証された。またドレーンからの排水量,降水量等の計測結果から,雨水貯留および遅延について効果があること,年間の流出係数は0.76であることが明らかとなった。
著者
萩原 早保 岩瀬 吉法 齋藤 裕子 中島 隆文 半田 真大 山田 浩希 中 徹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.H4P3263, 2010

【目的】<BR> 重症心身障害児(者)の安全で合理的な呼吸援助は重要な課題である.その方法論の確立のためには,正常な胸郭の呼吸運動の実態把握が必要となる.今回,呼吸運動の実態を肋骨と横隔膜の動きの側面から明らかにすることを目的として,様々な姿勢における肋骨と横隔膜の動きについて,超音波診断装置を用いて調べたので,その結果を報告する.<BR><BR>【方法】<BR> 被験者は健常成人男性10人(身長170.0±5.41cm,体重62.1±5.38kg,年齢21.0±0.30歳)とした.仰臥位,座位,左下側臥位,右下側臥位,伏臥位の各姿勢にて,それぞれ安静および努力性呼吸を行い,肋骨と横隔膜の動きを同時に二台の超音波診断装置にて測定した.肋骨は右第2,3,7,8肋骨それぞれについて胸郭前部・側部・後部を,横隔膜は左右横隔膜について測定した.肋骨はリニアプローブにて胸郭上から,横隔膜はコンベックスプローブにて肋骨弓下から走査し,各々数回の呼吸の後に,吸気開始から5秒間測定した.<BR><BR>【説明と同意】<BR> 被験者には,測定の意義・内容について十分な説明を行い,同意を得た上で測定した.<BR><BR>【結果】<BR> 肋骨の動きは,胸郭前部では全ての姿勢において第2肋骨よりも第3肋骨の移動距離が長いが,胸郭側部では殆どの姿勢において第3肋骨よりも第2肋骨の移動距離が長い(努力性呼吸).胸郭側部の全姿勢および胸郭前部の殆どの姿勢において第8肋骨よりも第7肋骨の移動距離が長いが,胸郭後部では殆どの姿勢で第7肋骨より第8の移動距離が長い(努力性呼吸). 第7,8肋骨とも胸郭前面での移動距離は両側臥位が最も長く,仰臥位で最も短かった(努力性呼吸).第7肋骨の胸郭側面での肋骨移動距離は伏臥位・左下側臥位で長く,仰臥位で最も短い(努力性呼吸).安静呼吸では,第7肋骨の胸郭側部でのみ姿勢によって差があり,座位が最も長かった.<BR> 横隔膜の位置と動きは,両側臥位では横隔膜の収縮時・弛緩時の位置に左右差があり,下側の横隔膜が頭側に,上側の横隔膜が尾側に位置していた(安静・努力性呼吸とも).また,横隔膜の移動距離でみると,両側臥位においては上側に比べて下側の方が長かった(安静・努力性呼吸とも). しかし,仰臥位と座位では,横隔膜の収縮時・弛緩時の位置,移動距離ともに明確な左右差はなかった(安静・努力性呼吸とも).また,横隔膜の移動距離は仰臥位と側臥位において仰臥位と側臥位で良好であった(努力性呼吸).<BR>肋骨と横隔膜の移動距離の相関は,左下側臥位に多く見られ,右第2・3肋骨の胸郭後部および右第7・8肋骨の胸郭側部と右横隔膜の移動距離に正の相関がみられた(努力性呼吸).<BR><BR>【考察】<BR> 仰臥位における努力性呼吸での横隔膜の移動距離は50.5±14.9mmであり,Kantarciらの結果(2004)とほぼ一致している.測定方法の級内相関では,肋骨・横隔膜とも0.9レベルであり,今回の測定結果には妥当性と再現性があることを示している.<BR> 肋骨の動きの部位による差は,肋骨が背側部で関節を形成する弓状の形態であること,頭側では胸郭前部に鎖骨が位置し,尾側では胸郭前部・側部に腹筋群が位置していることによるものであると考えられる.姿勢による差は,接地面の変化により籠状の胸郭が代償的に応答して動くことによるものであると考えられる.<BR> 横隔膜の動きの姿勢による変化については,腹腔臓器,とりわけ横隔膜の右下に位置する肝臓の影響が考えられること,接地面の変化によって腹腔が代償的に応答して動くことによるものであると考えられる.<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 本測定結果は,「姿勢によって肋骨と横隔膜の動きは異なる様相を示す」ということを示唆したが,それらの臨床的意義は以下のようである.1.肋骨については,胸郭前部と胸郭側部では,呼吸援助の際の徒手操作の方向性に変化を与える必要がある.2.肋骨の動きは側臥位と伏臥位が比較的良好で,座位と仰臥位は前者と比べると動きは少ない.3.横隔膜については,横隔膜移動距離が良好な姿勢は両側臥位もしくは仰臥位であり,座位は前者と比べると少ない.4.肋骨と横隔膜の運動性を考慮すると,側臥位は呼吸にとってベターな姿勢である.5.左下側臥位では,右肋骨の動きから右横隔膜の動きが,腹部の動きから右肋骨の動きが推定出来る.これらは重症心身障害児(者)をはじめとする各種呼吸器疾患患者に対する,より安全で合理的な呼吸援助方法の実施にとって意義があると考える.
著者
堀井 美那 川田 智弘 半田 真明
出版者
栃木県畜産試験場
雑誌
栃木県畜産試験場研究報告 (ISSN:02889536)
巻号頁・発行日
no.22, pp.41-46, 2007-02

肉牛肥育農家における経営の安定化を図るためには、肥育期間を短縮したうえで、高品質かつ枝肉重量に富む市場ニーズに即した牛肉を生産する技術開発が必要である。特に、育成期や肥育前期の飼料給与内容が肥育成績全体に影響を与えることから、この時期における飼料給与技術の検討が望まれている。そこで、本研究においては、黒毛和種去勢牛の肥育期間短縮時における粗飼料給与水準に着目し、肥育前期に乾草を多給することによる高品質牛肉の効率的生産技術について検討した。生後8ヵ月齢の黒毛和種去勢牛を、肥育前期(月齢8ヵ月-12ヵ月)、中期(月齢13ヵ月-22ヵ月)、後期(月齢23ヵ月-27ヵ月)の3つの時期に分けて19ヵ月間肥育した。試験は肥育前期の粗飼料給与水準として、粗飼料多給区(粗飼料割合40%)と粗飼料少給区(粗飼料割合15%)の2試験区を設定した。なお、粗飼料としてチモシー乾草を用いた。肥育中期以降は、粗飼料として稲ワラを用い、2試験区とも同じ給与飼料とした。試験の結果、現物飼料摂取量において肥育前期では、有意な差は認められなかった。しかし、中期では、粗飼料多給区が9.59±0.78kg、粗飼料少給区が8.32±0.52kg、後期ではそれぞれ9.90±0.42kg、8.27±0.77kgであった。なお、中期以降では粗飼料多給区において、有意に摂取量が多かった(P<0.01)。全期間を通して、体重、体高、胸囲について、両区に有意差は認められなかった。また、1日当たり増体量(CG)は、前期で粗飼料多給区1.02±0.08kg、粗飼料少給区1.26±0.12kgであり、粗飼料少給区において有意に発育が優れていた(P<0.01)。しかし、肥育中期では粗飼料多給区0.86±0.11kg、粗飼料少給区0.78±0.06kg、後期では粗飼料多給区0.81±0.11kg、粗飼料少給区0.56±0.14kgであり、肥育中期以降では、粗飼料多給区での増体が優れていた。枝肉成績は、粗飼料多給区のほうが、枝肉重量やロース芯面積が大きい傾向に、BMSNo.も高い傾向にあった。以上のことから、肥育前期において粗飼料(チモシー)を多給した場合、しない場合と比べて肥育中期以降での飼料摂取量や増体、枝肉成績に優れるため、粗飼料多給は、短期肥育における高品質牛肉生産に有効であると考えられた。
著者
御厨 正博 半田 真 崎山 博史 LUNEAU Dominique GILLON Beatrice
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

有機キレート配位子を金属塩と反応させて第一及び第二遷移系列元素の新規単核、二核、少数核及び多核金属錯体を合成し、X線結晶解析により構造を明らかにした。磁化率の温度依存性を調べ、磁気的相互作用や磁気異方性の様子を観察した。単核および二核コバルトの系では偏極中性子回折より磁気異方性の効果が観測された。二核ニッケル錯体では強磁性的相互作用を示すものを観察した。鉄錯体では高スピン型および中間スピン型を観測した。金属―金属結合を持つ二核を集積したルテニウムを含む系では80 Kでフェリ磁性体になるものが見出された。ロジウム、モリブデンの一次元集積錯体の窒素ガス吸着特性を調べ結晶構造との関連性を調べた。
著者
藤崎 健一郎 半田 真理子
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.151-156, 1994-03-31
被引用文献数
4 10

本研究は,植栽が微気象に及ぼす効果を定量的に把握することを目的とし,特に温度に重点をおいて調査したものである。日射の強い夏の日においても樹林内外の気温差は2〜3℃程度であるが,人が感じる差異はこれよりはるかに大きい。そこでグローブ温度計を用いて黒球温度を測定したところ,気温差が1.6℃の時に17.1℃の差があり,体感温度の差を定量的に表現するのに適していると考えた。そこで,各種の植栽地内外において,気温,黒球温度及び他の微気象要素の測定を冬季に行った。その結果,街路樹の有無によっても黒球温度で8℃程度の差ができること,地表面の状態によっても黒球温度に差ができることなどが明らかとなった。