著者
上村 隆広 花村 周寛 尾家 建生 原 一樹
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、開創 1200 年を迎えた高野山を訪れる外国人来訪者の観光動機・体験を実地調査し、高野山における外国人特有の観光体験の実態について、「観光と物語」「多感覚体験」「場所の聖性」等の視角から解明することを目的としたものである。各種調査の結果、以下のような知見を得た。即ち高野山の自然的環境、宗教的伝統、今日的実践が融合して得られる独特の観光体験が、精神性に価値を置く来訪者の高い満足度と評価につながっている一方で、インバウンド急増による「観光地化」的変化等の懸念も出始めており、高野山が観光体験の質を持続させるためには、内外の旅行者とホスト側との「対話」的関係性の増進が期待される。

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著者
四宮 敏章 田原 一樹 中村 由美 金井 恵美 松村 勝代 松澤 未由紀 小林 絢 谷川 恵子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.422-429, 2017 (Released:2017-05-01)
参考文献数
3
被引用文献数
2

心療内科医が中心となったがん診療・緩和ケアにおける地域連携の1例を示す. OPTIM-studyが示した 「顔の見える関係」 づくりを重点に置いたかかわりが重要である. 奈良県においては, 病院関係者, 地域医療を担う医療者, 患者団体, 県の担当者が対等の立場で話し合うことのできるさまざまな機会を作っている. また, 緩和ケアの質の向上を図るためには, PDCAなどを用いたアウトカムの評価も行う必要があり, その取り組みについても進めている.
著者
泰地 美沙子 山崎 俊正 河原 一樹 元岡 大祐 中村 昇太 豊島 正 大久保 忠恭 小林 祐次 西内 祐二
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.199-204, 2011

Marinostatin (MST) isolated from a marine organism is a serine protease inhibitor consisting of 12 amino acids with two internal ester linkages formed between the β-hydroxyl and (β-carboxyl groups, Thr^3-Asp^9 and Ser^8-Asp^<11>. MST was synthesized by regioselective intramolecular esterification employing two sets of orthogonally removable side chain protecting groups for Ser/Thr and Asp. SAR study revealed that the ester linkage with Thr^3-Asp^9, the cis-conformation at Pro^7 and the N-terminal Phe^1-Ala^2 are the structural requirements for expression of the inhibitory activity. These findings were also supported by analyzing the solution and enzyme-bound structures of MST. Of particular note is that cis-Pro^7 may promote the internal hydrogen bond between the NH proton of Are and the carbonyl oxygen atom of the ester linkage with Thr^3-Asp^9 to protect its scissile bond of Met^4-Arg^5. This could be responsible for enhancing the potency. To elucidate the importance of backbone conformation at position 7, 16 and cis/trans-olefin analogs 17/18, in which cis/trans-olefins are substituted for the amide bond of Tyr^6-Ala^7, were synthesized. Although Ala^7 in 16 takes a trans-conformation in the solution structure, it takes a cis-conformation in the enzyme-bound structure. This implies that Ala^7 would isomerize from a trans to cis conformation when it binds to an enzyme, resulting in a certain inhibitory potency. However, the trans-olefin analog 18 lost the potency while the cis-olefin analog 17 displayed almost the same potency as that of MST. These results clearly indicated that the cis-conformation at position 7 is indispensable for binding to an enzyme in a canonical manner. By applying the structural motif of MST, we were able to rationally design protease inhibitory specificities that differed from those of the natural product.
著者
辻本 元 阪口 雅弘 増田 健一 大野 耕一 平原 一樹 佐々木 伸雄 白石 明郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究においては、DNAワクチンによるアレルギー性疾患の根治的治療法を確立するため、アレルギー性疾患の自然発症犬および実験的感作犬を用いて、in vitroにおけるアレルギー反応の基礎的解析、さらにそれを応用してin vivoにおける臨床有効性の検討を行なった。最初に、スギ花粉抗原に感作されたアトピー性皮膚炎のイヌを対象としてスギ花粉抗原に対するアレルギー反応を解析した。すなわち、スギ花粉主要抗原のひとつであるCry j 1に感作された症例が多いことを明らかとし、それら症例においてはCry j 1に対するIgE産生がスギ花粉飛散時期と一致していることを解明した。さらに、これら症例においてCry j 1のオーバーラッピングペプチドを用いてT細胞エピトーブ部分を同定した。また、Cry j 1DNAワクチンの治療試験を4頭の症例を用いて実施し、治療群においてはいずれの症例もアトピー性皮層炎症状の改善とともに、スギ花粉粗抗原を用いた皮内反応の陰性化およびスギ花粉に対する末梢血リンパ球の芽球化反応の低下を認めた。一方、スギ花粉を実験的に感作した犬において、スギ花粉抗原気道内曝露によってスギ花粉特異的な気道過敏性を誘導することが可能であった。これを用いてCry j 1DNAワクチンによる治療試験を行なったところ、治療群においては、IgE値やリンパ球の芽球化反応においては顕著な変化は認められなかったが、スギ花粉抗原に対するin vivo反応性においては皮内反応の陽性閾値の上昇、気道過敏性反応の閾値の上昇が認められた。さらに、肺の組織においても、対照群と比較して肥満細胞の数が有意に低下していた。以上のことから、DNAワクチンはアレルギー性疾患の臨床症状をコントロールすることができる根治的治療法であることがわかった。