- 著者
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小林 仁
渥美 公秀
花村 周寛
本間 直樹
- 出版者
- 日本グループ・ダイナミックス学会
- 雑誌
- 実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.2, pp.180-193, 2010 (Released:2010-02-20)
- 参考文献数
- 15
- 被引用文献数
-
1
本研究では,人々によってすでに馴致された生活環境を対象として,その環境を一瞬未知の状態へと変換し,新たな馴致を促すという一連の流れを発生させる手法について,実践プロジェクトによるアプローチを試みた。Moscovici(1984=八ッ塚,未公刊)による社会的表象の議論をもとに,社会的表象としての現実の馴致プロセスについて概観し,その後,原(2005)の「未知化」という概念を参考に,未知化の技法と未知化後に事象を再び馴致してゆく方法について検討した。「未知化」の方法として,プロジェクト型ツールの設計および実践を行った。実践のフィールドとして,筆者らが所属する大阪大学キャンパスを設定した。参加者が阪大(ハンダイ:大阪大学の略称)に関する情報を詳細に獲得し,各々が今まで知らなかった阪大を再発見してゆくDATA HANDAIプロジェクトは,2005年10月より始まり,2007年9月現在も継続して進行中である。活動は領域横断的に実施され,教員5名と学生20名あまりを中心として活動を行った。プロジェクトの成果として数十枚に及ぶ情報カードを作成した。結果として,参加者の言説の変化や活動に関するエスノグラフィーが得られた。本研究では,このプロジェクトを対象として,未知化を解説し,既知から未知へ,そして新たな既知として現前する社会的表象の分析を行った。