著者
細野 英司 原田 慈久
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.92, no.7, pp.438-442, 2023-07-01 (Released:2023-07-01)
参考文献数
9

光電子分光は物質に束縛された内殻電子や価電子の状態密度を計測して物質の化学状態を知る手法である.さまざまなデバイスにおいて,動作中と動作していない場合で,材料の化学状態が大きく異なることから,デバイスや材料を真に理解するためには,動作環境中の測定であることを意味する「オペランド測定」を実施することが重要である.また,顕微光電子分光は,選択した場所の電子状態を解析することが特徴であり,粒子内部や材料の界面などを解析することができる.最先端の放射光を利用したオペランド顕微光電子分光を実施することで,実用デバイスや実用材料の解析が大きく進展することが期待される.
著者
久保田 雄也 荒木 実穂子 山本 達 宮脇 淳 藤澤 正美 原田 慈久 角田 匡清 和達 大樹 辛 埴 松田 巌 田口 宗孝 平田 靖透 保原 麗 山本 真吾 染谷 隆史 横山 優一 山本 航平 田久保 耕
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.1273, 2016

<p>SPring-8 BL07LSUにて分割型クロスアンジュレータと電磁石位相器を組み合わせ、唯一の軟X線高速連続偏光変調光源を実現した。さらにその光源を用いた軟X線領域における光学遅延変調法を世界で初めて開発した。この手法は磁性体の磁気円二色性(MCD)と旋光性を同時にかつ高精度に測定できる。本講演では新規光源と手法の詳細を述べると共に、それを用いた鉄系磁性体のMCD及び磁気光学カー効果(MOKE)測定の結果を報告する。</p>
著者
原田 慈久
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.15, no.8, pp.8_62-8_66, 2010-08-01 (Released:2010-09-17)
参考文献数
4
著者
徳島 高 原田 慈久 辛 埴
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.852-857, 2008-11-05

液体,溶液中の溶質や溶媒,水分を含んだ生体由来試料の価電子状態は,その化学反応や構造を考える上で極めて重要であるにもかかわらず,実験的な研究がほとんど進んでいない.ここで紹介する放射光励起による軟X線発光分光法は,価電子状態を元素選択的に観測することができる手法であり,その長い検出長を活かすことで,液体,溶液試料などにも適用可能である.本解説では,大型放射光施設SPring-8の軟X線ビームラインBL17SUで展開されている液体や溶液の電子状態の軟X線発光分光法を用いた研究について,実験装置と最近の研究例を紹介する.
著者
山下 良之 山本 達 向井 孝三 吉信 淳 原田 慈久 徳島 高 高田 恭孝 辛 埴 赤木 和人 常行 真司
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.26, no.9, pp.514-517, 2005-09-10 (Released:2008-04-08)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

Understanding the SiO2/Si interface on atomic level is an important subject for fabricating silicon based superior devices. However, despite of many studies on the SiO2/Si interface, the interfacial electronic states have been evaluated as the average, but not specifically with individual states. In the present study, we successfully observed the electronic states of particular atoms at the SiO2/Si interface for the first time, using soft X-ray absorption and emission spectroscopy. The interfacial states are noticeably different from those of the bulk SiO2 and strongly depend on the intermediate oxidation states at the interface. Furthermore, comparing the experimental results to theoretical calculations reveals the local interfacial structures.
著者
原田 慈久
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

低温域の水の電子状態を軟X線発光分光を用いて観測し、水素結合の切断に相当するピークが氷の領域でも一部残り、これが内殻正孔ダイナミクスによるものである可能性を示した。一方、アセトニトリル-水混合系においては、低温域で水混合のミクロ不均一性が増大しても電子状態の変化は小さく、ゆらぎのサイズは軟X線発光で電子状態変化を捉える領域に比べて十分大きいことが示唆された。