著者
前田 潤滋 友清 衣利子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

ゆっくり立ち上がる突風を受ける構造物に比べて,短時間に立ち上がる突風を受ける構造物に,より大きな風力が発生する「風力のオーバーシュート現象」を特殊な装置を持つ風洞で再現し,いくつかの形状の試験体について,通常の風力との比較をオーバーシュート係数として整理した。風洞実験結果の数値流体解析シミュレーションで,オーバーシュート風力の発生メカニズムを追跡するとともに,強風観測記録の分析から,オーバーシュート風力が突風被害の拡大要因の一つになっていることを論証した
著者
友清 衣利子
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

強風被害の拡大には風速だけでなく、建物の耐風性能の良し悪しもまた関連があるが、木造か鉄筋コンクリート造かなど、数値で表すことのできない構造物の特性が強風被害に及ぼす影響を定量的に評価するのは難しい。本研究では心理統計学的な手法を用いて構造物の特性を数量化し、被害影響因子を抽出してその寄与率を評価した。さらに抽出された影響因子をもとに耐風性能を考慮して風速を補正し、実態により対応した住家被害率を算定する手法を提案した。
著者
西嶋 一欽 丸山 敬 林 泰一 高橋 徹 友清 衣利子 伊藤 耕介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、台風に先回りして容易に設置可能な風圧計測デバイスを開発することで、台風通過時に建築物が密集した都市部に位置する低層建築物に作用する風圧を実測する。さらに、実測した建築物に対して、その周辺の遮蔽物の有無を段階的に変化させた風洞実験を実施し、実測値と比較することで、都市部に位置する低層建築物に作用する風圧特性を決定づける要因を類型化し、周辺環境の何をどこまで再現すれば十分な精度で風圧を評価できるかを明らかにする。得られた知見を用いれば、都市のどこに大きな風圧が作用し得るかを明らかにすることが可能になり、都市型強風災害リスク分析の高度化や耐風補強に関する意思決定に貢献できる。
著者
喜多村 美保 友清 衣利子 前田 潤滋
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集 第18回風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
pp.000024, 2005 (Released:2005-07-20)

It is known that the spread of structural damage is more strongly affected by gust speeds than by maximum wind speeds. The authors have focused on the duration and fluctuation of wind gusts. The results of damage analysis based on the effects of Typhoon Bart in 1999 have indicated that the spread of damage has a higher correlation to the standard deviation of the wind gusts rather than to the intensity of turbulence. Comparisons of the time evolutions of wind records at selected observation points have indicated more serious damage at areas with higher fluctuations of wind speed. Although the above investigation is based on a survey of the damage of only one typhoon, it is suggested that fluctuation intensity as well as the duration of high wind speed is a significant factor in the spread of structural damage.
著者
友清 衣利子 前田 潤滋
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
日本風工学会年次研究発表会・梗概集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.9, 2005

2004年は10個の台風が日本に上陸し、全国で住家等の構造物に甚大な被害を及ぼした。本報告では、2004年に九州地区に上陸した台風16,18,21号と南海上を通過した台風23号による住家被害を示すとともに、台風0423号接近時に佐賀県で観測された強風と住宅被害に着目して報告した。台風16、18、21号では台風経路の南東側で被害が拡大していたが、台風23号では経路から離れた佐賀県で甚大な住家被害が見られた。台風接近当日の佐賀県内の風観測記録によれば、台風によって北東風が吹いた時に山裾の地域で強風が吹き、構造物への被害が起こっていることが分かった。山稜を越える「おろし風」のような局所風が吹いたと推定されるが,強風の継続時間が長く続いたことも被害拡大の要因と考えられる。
著者
友清 衣利子 内田 孝紀 前田 潤滋
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.205-210, 2006

2004年の台風23号は九州に上陸しなかったものの,九州北部に強風をもたらし台風経路から300km以上離れた佐賀県小城市に構造物被害が集中した。被害が当地に集中した要因として,小城市北部に位置する天山山系の地形形状の影響が考えられる。また,大気の安定度が強くなった場合には,いわゆる「おろし風」が吹いて山麓周辺でさらに増速する可能性がある。本報では,台風0423号時の強風分布状況を検証するために風速場シミュレーションを行い,周辺地形が小城市周辺の風況に及ぼす影響を検討した。数値計算で実際の風の乱れの強さを再現することは困難であるが,中立状態であれば平均風速分布が実際の風観測記録とやや対応すること,大気安定度を変化させると小城市で強風発生領域が局所化することが分かった。大気の成層状態を把握することは困難であるが,台風接近時には大気が安定状態となって小城市の一部地域でおろし風のような強風が吹いた可能性を示した。
著者
友清 衣利子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

強風被害拡大に影響を及ぼすさまざまな因子同士の相関と経年変化を分析し、それぞれの時代や地域に対応した、より正確な被害推定を行った。多種多様な強風被害拡大影響因子を分析・分類することで、被災地域の気候や構造物の特性を定量的に把握できることが分かった。それぞれの地域の特性を示す影響因子や因子の経年変化を考慮すれば、地域ごとに実際により対応した被害推定を行うことができ、自治体での防災対策に有用な情報を提供できる。