著者
宮里 均 耒田 善彦 古閑 和生 井関 邦敏 比嘉 啓 古波蔵 健太郎 諸見里 拓宏 杉山 諒
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.101-107, 2023 (Released:2023-03-28)
参考文献数
25
被引用文献数
1

新型コロナウイルスに対するワクチン接種は全世界的に進められ3回目,4回目接種も行われている.新型コロナウイルスによる重症化リスクの高い末期腎不全患者に対して積極的なワクチン接種が進められているが診療に関わる透析医療従事者のワクチン接種について十分なデータはない.沖縄県全透析医療施設(74施設)に依頼し医療スタッフのワクチン接種状況をアンケート調査した.2回接種は96.4%(1,746人中1,683人),3回接種は88.3%(1,139人中1,006人)で受けられていた.2回目接種時58.1%の施設でまた3回目接種時29.2%の施設で職員すべてが新型コロナウイルスワクチン接種を受けていた.3回目接種時のアンケートにてワクチン接種を行わない理由を調査した.副反応が怖いが最も多く33件,ついでワクチンは無効と考える26件,周囲に止められた7件などがあげられた.患者の安全を守るためにもより積極的に新型コロナウイルスワクチン接種を進めていくべきと思われる.
著者
饒波 正史 喜友名 朝則 喜瀬 乗基 杉田 早知子 近藤 俊輔 又吉 宣 真栄田 裕行 我那覇 章 古波蔵 健太郎 鈴木 幹男
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
雑誌
耳鼻咽喉科免疫アレルギー
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-6, 2018

<p>IgA腎症に対し口蓋扁桃摘出術とステロイドパルス療法を併用し6年以上の長期経過観察を実施しえた44症例を対象に,長期腎機能予後と遺残扁桃・ワルダイエル輪の代償性肥大・炎症所見について調査した。低・中リスク群では27例中26例で腎機能が保持されていた。一方,高・超高リスク群では,腎機能保持は8例,腎機能低下は8例(2例の末期腎不全・透析導入)となっていた。腎機能維持のためには腎機能が保たれている早期に口蓋扁桃摘出術+ステロイドパルス治療を行うことが重要と推定された。口蓋扁桃遺残は9%であった。アデノイド肥大は軽度が多いが,舌扁桃は19%に肥大を認めた。しかし,口蓋扁桃遺残,アデノイド肥大,舌扁桃肥大と腎機能予後には明らかな関係を認めなかった。炎症所見はアデノイドでは発赤,びらん,膿汁付着を陽性所見とし,舌扁桃では膿栓があるものを陽性所見とした。鼻咽腔ファイバー検査を実施できた42例中,23例は両方に炎症所見なし,5例で上咽頭のみ炎症所見あり,7例で舌扁桃のみ炎症所見あり,4例で上咽頭及び舌扁桃に炎症所見ありであった。透析に至った2例中1例では上咽頭に炎症所見を認めた。上咽頭,舌扁桃の炎症所見の有無と腎機能予後に明らかな関連を認めなかった。IgA腎症における口蓋扁桃摘出術後の長期予後と,上咽頭炎の関係を明らかにするためにさらなる調査が必要である。</p>