著者
古賀 崇
巻号頁・発行日
2009-12-19

第129回記録管理学会例会発表(2009年12月19日、大阪・富士ゼロックス)
著者
古賀 崇
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.57-73, 2005-03-31 (Released:2017-03-24)

本論文は、政府活動の副産物あるいはその反映としての「政府情報」を「Continuum」ないし統一的なものとして把握し、政府活動の一局面を占める「記録管理」の意義を再確認することを目的とする。研究方法としては、政治学、法学、行政学、記録管理学、図書館情報学、アーカイブズ学といった各々の学問領域において、「政府情報」をめぐる活動がどのように把握され、どのような視点から研究や実践が行われてきたのかを検証する。また、電子的環境における政府情報の「溶解」、すなわち特定のメディア・媒体にとらわれなくなった状態を踏まえ、行政府の情報を中心とした「政府情報論」のモデルを提示する。その上で、記録管理という研究および実践領域が、「Continuumとしての政府情報」を理解する上でどのような貢献ができるか、また他の学問領域とどのような連携が可能なのか、について提言を行う。
著者
根本 彰 三浦 太郎 中村 百合子 古賀 崇
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.453-478, 2000-03-15

12 policy statements, in which 4 are during the former, 3 during the middle, 5 during the later Occupation Period (1945-1952) in Japan, are analyzed to investigate the course of library policies at the Education Division of the Civil Information and Education Section (CIE). General Headquarters, Supreme Commander of the Allied Powers (GHQ/SCAP). In result we indicate that the national plan with public libraries made by P. O. Keeney was not taken over by his successors after his dismissal in April 1947,and that important library policies were begun by those except the libraries officers. And we consider that there was a concept of library developments among those of the CIE but there was no single continuing policy with the library.
著者
古賀 崇
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.72-85, 2017 (Released:2017-12-20)

「デジタル・フォレンジック」とは、データ修復などの手段を通じ、デジタル媒体(ハードディスク、サーバなど)上の証拠保全を行うことを意味する。英語圏(北米、豪州など)では、デジタル・フォレンジックは記録管理・アーカイブズ活動の一端として位置づけられているが、日本では単に「訴訟・捜査や情報セキュリティのための活動」として理解・実践されているのが現状である。本稿では、文献調査や米国アーキビスト協会(SAA)大会への参加経験などに基づき国際比較を行い、「ボーンデジタル世界における証拠保全」として記録管理・アーカイブズ活動を原点から見直すために、デジタル・フォレンジックを論じる。
著者
古賀 崇
出版者
アート・ドキュメンテーション学会
雑誌
アート・ドキュメンテーション研究 = The bulletin of Japan Art Documentation Society (ISSN:09179739)
巻号頁・発行日
no.24, pp.70-84, 2017-03

本稿は、「デジタル・アーカイブ」ないし"digital archives" をめぐる日本内外の主要な論考を取り上げつつ、これらに関する日本内外の概念・考え方の「多様化」ないし「ズレ」を検証することを試みる。英語圏の"digital archives" については、「今いる人・人々の日々の業務や活動」、またそれを体現する「ボーン・デジタルの記録」に焦点を当てるか、あるいは「デジタル化された資料の集積(コレクション)に対してアクセスを提供するウェブサイト」を念頭に置くか、といった違いがある。日本の「デジタル・アーカイブ」はもっぱら後者に当たると言えるが、"digital heritage" "digital collection" といった関連概念も考慮する必要がある。The aim of this review article is to observe the diversification of the concept and definition of "digital archives," based on the concerned articles in Japan and abroad. In the English-speaking countries, mainly two opposite definitions of digital archives exist;(a)collection of born-digital records based on activities of people and organization, and(b)websites that provide access to collections of digitized materials. In Japan, especially those eager to policy promotion of digital archives stand for the definition of(b). In this situation, however, related concepts such as "digital heritage" and "digital collection" should be also considered.
著者
古賀 崇
出版者
天理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は研究課題についての海外調査を実施すると同時に、研究課題に関連するテーマで成果発表を行った。調査としては平成29年7月に、米国オレゴン州ポートランドにて開催された「米国アーキビスト協会(SAA)」年次大会に参加し、あわせて翌月にかけてカナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC バンクーバー)にて研究者らへの聞き取りを行った。これらに共通する主要なテーマのひとつは「デジタル・フォレンジック」(デジタル上の情報・データの復元)であり、アーカイブズの実務への導入状況や、産・官・学の連携がそれを後押ししている現状などを確認することができた。また前年度の研究・調査に引き続き、「一次資料を用いた教育(Teaching with Primary Sources: TPS)」をSAAが力を入れて推進していることを認識した。これらの両面とも、政府情報が前面に出る活動とは限らないが、公文書ほか政府情報の取り扱いが問題視されている日本の現状に鑑みても、「政府情報リテラシー」を考える上での重要な要素と捉えることができる。なお、UBCではデジタル・フォレンジックの詳しい教育内容(シラバス、文献リストなど)を確認することもできたが、その分析については次年度に持ち越している。一方、成果発表としても「デジタル・フォレンジック」が中心であり、上記のような米国・カナダでの調査結果も踏まえ、国際比較をレビューとしてまとめた成果を「研究ノート」(査読あり)として上梓した。また「日本におけるデジタルアーカイブに対する批判的検討(特に政策面を中心に)」も、政府情報と関連づけつつ成果発表を行い、上記の調査を踏まえた国際比較という観点も踏まえ、複数の口頭発表を行った。さらに、「政府情報リテラシー教育」を日本で実践した試みについても、口頭発表を行った。
著者
古賀 崇
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.137-138, 2016

「博物館学の射程の狭さに対するメディア論からの応答」という本書の意義を示しつつ、「"可能性としての周縁性"に対する制度化の動き」「スペクタクル化」の2点について著者への問いを記した。
著者
古賀 崇
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.111-127, 2001-03-31

アメリカ合衆国の連邦政府刊行物寄託図書館制度(FDLP)は,19世紀半ばより政府刊行物への無償のアクセスを保証する制度として存続してきた。しかし,政府情報提供の電子化が進行するにつれ,寄託図書館制度の改革が求められるようになった。寄託図書館制度を管轄する政府印刷局(GPO)は,1993年制定の「GPO電子情報アクセス推進法」に基づき,政府情報のオンライン・データベースとして"GPO Access"を構築した。GPOはまた1996年より,寄託図書館や他の政府機関との協力関係に基づく「寄託図書館制度の電子化」という方向性を打ち出し,電子化された政府情報の永続的アクセス保証への取り組みを進めている。しかし,GPOの将来計画は,電子的な環境に対応しうるように,寄託図書館制度の構造を抜本的に変革するまでには至っていない。本稿は,こうした「寄託図書館制度の電子化」の過程とその課題,およびその政策形成上の背景について論じる。
著者
古賀 崇
出版者
日本アーカイブズ学会
雑誌
アーカイブズ学研究 (ISSN:1349578X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.129-132, 2016

史上はじめての包括的・国際的なアーカイブズ学事典と銘打って刊行された本書につき、Encyclopedia of Library and Information Sciences, 3rd ed.(CRC Press, 2010)と比較しながら紹介・論評した。
著者
古賀 崇
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.62, pp.57-72, 2012-05-18
被引用文献数
1

政府情報、とりわけ電子的なものについての管理・保存・公開(アクセス提供)に関する独自の取り組みを行っている、米国アリゾナ州立図書館・文書館・公的記録局(ASLAPR)の活動につき、訪問調査にもとづき考察を行った。ASLAPRの独自性、特に「図書館・文書館・記録管理機能の融合」が顕著に現れているのは次の2つと言える。(1)「出版物」としてのウェブサイトについて「主題」ではなく「出所」をベースに管理・保存を行う「アリゾナモデル」の実践。(2)電子的な記録を「1点もの」ではなく「多数の複製をもつもの」として管理・保存を図るPeDALSプロジェクト。本稿ではまた、米国内の州立文書館・図書館の位置づけも参照しつつ、ASLAPRの取り組みの意義と課題を論じた。