著者
投野 由紀夫 根岸 雅史 相川 真佐夫 寺内 一 中谷 安男 奥村 学 金子 恵美子 能登原 祥之 石井 康毅 内田 諭 和泉 絵美 大羽 良
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本科研の目的は日本人英語学習者の英語力に関する到達指標の提案およびそのレベル別言語材料の科学的な整備である。これを行うことで、シラバス開発、教科書・教材・タスク開発、テスト開発などに資する一貫した英語資料を提供できる。指標に関してはCEFR-JというCEFR準拠の英語汎用枠に基づいた。言語材料配当は、CEFR準拠教科書コーパス・学習者コーパスを独自に構築し、500以上の文法事項、テキスト特性、エラー特性に関してコーパス解析と機械学習の手法を用いて調査し、文法、テキスト、エラーの各プロファイルとして整備した。
著者
根岸 雅史 投野 由紀夫 長沼 君主 工藤 洋路 和泉 絵美
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

従来の言語テストは、専ら「宣言的知識」を測定してきたと思われる。そこで、本研究では、「手続き的知識」を測定することのできるテストの開発を試みた。このために、大規模英語学習コーパスのテキスト分析を自動で行うことにより、学習者の習得段階を明らかにし、これを反映するようなテスト方法を模索した。「テスト」という手法自体は必ずしもうまく機能しなかったものの、作文の「チェックリスト式採点」はある程度の信頼性のある結果を得ることができることわかった。
著者
根岸 雅史 投野 由紀夫 酒井 英樹 長沼 君主 高田 智子 内田 諭 金子 恵美子 村越 亮治 奥村 学 工藤 洋路 能登原 祥之 小泉 利恵 石井 康毅 篠崎 隆宏 和泉 絵美 印南 洋 中谷 安男
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

まず、指導タスクとテスト・タスクのうち、CEFR-Jの各CAN-DOディスクリプタに基づくテスト・タスクの開発およびその困難度の検証を優先することを決定した。各CAN-DOディスクリプタに基づく評価タスクの開発としては、2017年度はPre-A1からA2.2を作成したが、2018年度はB1.1からB2.2までのテスト項目の開発と検証を行った。リーディングにおいては、リーディングのテキスト・タイプ、テキスト困難度、タスクについて検討し、修正をした後、テスト・セットを作成した。リスニングにおいては、リーディングと同様、リスニングのテキスト・タイプ、テキスト困難度、タスクについて検討し、修正をしたが、音声の収録およびテストの実施には至らなかった。ススピーキング(発表)・スピーキング(やりとり)・ライティングにおいては、タスクと採点方法について検討し、修正をした後、テスト・セットを作成した。これらのテストをそれぞれ実施し、採点・統計的な分析・解釈を行った。言語処理班では、リーディングやリスニングのテキスト分析の結果に基づき、テキストのCEFR-Jレベルの判定を可能にするプログラムの開発を行い、公開した。さらに、文法のレベル別基準特性を判定を可能にするCEFR-J Grammar Profileを開発・公開した。音声認識では、スピーキング・テスト解答データを追加することで、音声認識プログラムの精度を向上した。2019年3月23日に「CEFR-J 2019シンポジウム in 京都」を開催し、170名余りの参加者があった。このシンポジウムでは、3年間の研究成果の発表をするとともに、CEFR-Jのリソースの活用ワークショップも行った。さらに、CEFR-Jの利用企業や協力校の発表機会を提供した。これらの活動により、CEFR-Jが広く認知され、日本の英語教育の改善に大きく資することができた。
著者
和泉 絵美 内元 清貴 井佐原 均
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.363, pp.1-6, 2006-11-11
参考文献数
13
被引用文献数
2

非母語話者が話す言語には母語話者が話す言語には見られない誤りがしばしば含まれている.しかし,誤りには,その発話の理解に支障をきたす深刻なものとそうでないものがある.言語の正確さを追求することはもちろん重要だが,コミュニケーション優先の言語学習を行う場合,まずは絶対に誤ってはいけない項目と,必ずしも正確さが要求されない項目は何かを知っておくことは有益であると考える.本研究では,日本語を母語とする英語学習者による英語発話データを元に,それに付与されたエラータグ情報および英語母語話者によって付与された発話の「分かりやすさ」のレベル情報を用いて,それぞれの種類の誤りが聞き手の理解度に及ぼす影響について考察する.
著者
和泉 絵美 内元 清貴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.297, pp.27-32, 2008-11-08
参考文献数
10

本研究では、日本人英語発話データ(The NICT Japanese Learner English Corpus)に含まれる誤りを主な手がかりとして、日本人英語における実践的コミュニケーション能力(=通じやすい発話をできる能力)を記述することを目的とする.著者の先行研究においては、特に語彙、語用、談話の誤りが発話の通じやすさを最も大きく減じる原因となることが示唆された。そのうち語彙誤りに関して詳細な分析を行ったこところ、誤り語と訂正語の意味的関連性が高いほど発話は通じやすくなることを示す結果を得た。また、英語運用能力レベルの高い学習者ほど密度の高い語彙空間を持っているため、たとえそれが誤りであっても正解語と高い意味的関連性を持つ誤り語を使用していることが分かった。これらはすべて単語間のparadigmaticな関係を対象としているが、適切な言語運用にはsyntagmatic,analyticな関係についても知る必要がある。本研究では、学習者の語彙運用においてこれら3つのような深い言語知識がどのように作用しているのか分析する。具体的には、どのような語彙知識が不足、または正しく運用(認知)されなかったために誤りが生じたのか、一つ一つの誤りの原因を推測し、その結果と発話の通じやすさのレベルおよび発話者の英語運用能力レベルとの相関を調査する。
著者
和泉 絵美 井佐原 均
出版者
IWLeL 2004 Program Committee
雑誌
IWLeL 2004 : an interactive workshop on language e-learning
巻号頁・発行日
pp.63-71, 2005-03-31

In foreign language education, it is important for teachers to know their students’ acquisition order of major linguistic items in the target language. This enables them to teach these items more effectively in language classrooms. A hypothesis established in the 1970s based on studies aimed at revealing the natural sequence in second language acquisition is that major grammatical morphemes are acquired in a common order by learners across different backgrounds, such as their L1, ages, or learning environments (hypothesis 1). However, in the 1980s, studies on the acquisition order of Japanese learners of English led to a contradictory hypothesis that differences in learners’ backgrounds can cause differences in their acquisition orders (hypothesis 2). These studies revealed that the acquisition order of Japanese learners differs from the sequence supporting hypothesis 1. In this paper, we tried to see which of these two contradictory hypotheses could be supported by the acquisition order extracted from our NICT JLE (Japanese Learner English) Corpus. In this corpus, learners’ grammatical and lexical errors have been annotated manually with 47 types of error tags useful for investigating the acquisition order. The results of the analysis showed no significant correlation between the sequence supporting hypothesis 1 and that extracted from our corpus. On the other hand, there was a significant correlation between our sequence and that supporting hypothesis 2. The most significant difference between our sequence and that supporting hypothesis 1 is that ours indicates Japanese learners acquire articles and plural -s in a later stage. This might arise from L1 transfer because Japanese language does not have any relevant markers for articles and plural -s.