著者
本田 ゆかり 投野 由紀夫 野口 芙美
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

JFスタンダードは国際交流基金によって開発されたCEFRに基づく評価基準である。現在、その準拠教材開発と普及が進められている。JFスタンダードに基づく教育では、コミュニケーション能力を到達基準として能力記述文に沿った指導が行われるが、言語機能が優先され、どのような語彙や表現に注目すべきかというような点が曖昧になりやすい。そこで本研究では、タスク遂行に必要な語彙や表現を体系的に示すとともに語彙項目の重要度を明らかにしたい。能力記述文に紐づく語彙や表現の中でも学習優先度を意識し、過剰な重複や見落としを避けることができれば、効率よく学習を進めることができる。
著者
投野 由紀夫 根岸 雅史 相川 真佐夫 寺内 一 中谷 安男 奥村 学 金子 恵美子 能登原 祥之 石井 康毅 内田 諭 和泉 絵美 大羽 良
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本科研の目的は日本人英語学習者の英語力に関する到達指標の提案およびそのレベル別言語材料の科学的な整備である。これを行うことで、シラバス開発、教科書・教材・タスク開発、テスト開発などに資する一貫した英語資料を提供できる。指標に関してはCEFR-JというCEFR準拠の英語汎用枠に基づいた。言語材料配当は、CEFR準拠教科書コーパス・学習者コーパスを独自に構築し、500以上の文法事項、テキスト特性、エラー特性に関してコーパス解析と機械学習の手法を用いて調査し、文法、テキスト、エラーの各プロファイルとして整備した。
著者
根岸 雅史 投野 由紀夫 長沼 君主 工藤 洋路 和泉 絵美
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

従来の言語テストは、専ら「宣言的知識」を測定してきたと思われる。そこで、本研究では、「手続き的知識」を測定することのできるテストの開発を試みた。このために、大規模英語学習コーパスのテキスト分析を自動で行うことにより、学習者の習得段階を明らかにし、これを反映するようなテスト方法を模索した。「テスト」という手法自体は必ずしもうまく機能しなかったものの、作文の「チェックリスト式採点」はある程度の信頼性のある結果を得ることができることわかった。
著者
投野 由紀夫 三宅 登之 周 育佳 パルマヒル フロリンダ 川本 渚凡 根岸 雅史 西畑 香里 藤縄 康弘 秋廣 尚恵 ティプティエンポン コシット 王 ウェイトン 山田 洋平 望月 圭子 加藤 晴子 森田 耕司
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究は、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)を我が国の外国語教育に応用するため開発された CEFR-J の開発成果を応用し、多言語教育資源をコーパス言語学や自然言語処理の手法を援用して組織的に整備する手法の考案と、その資源を具体的な教育システムに結びつけるための言語共通の汎用シラバスを開発、実際のコースコンテンツを開発し東京外国語大学の28言語専攻のうち、実験的に実装をいくつかの言語で試みるものである。特に汎用のCan-Do リストと汎用シラバスを組み合わせた教材を開発し、その教授結果を測定評価する Can-Do テストをセットで考案することで、国際的に価値のある言語教育資源の開発を目指す。
著者
根岸 雅史 投野 由紀夫 酒井 英樹 長沼 君主 高田 智子 内田 諭 金子 恵美子 村越 亮治 奥村 学 工藤 洋路 能登原 祥之 小泉 利恵 石井 康毅 篠崎 隆宏 和泉 絵美 印南 洋 中谷 安男
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

まず、指導タスクとテスト・タスクのうち、CEFR-Jの各CAN-DOディスクリプタに基づくテスト・タスクの開発およびその困難度の検証を優先することを決定した。各CAN-DOディスクリプタに基づく評価タスクの開発としては、2017年度はPre-A1からA2.2を作成したが、2018年度はB1.1からB2.2までのテスト項目の開発と検証を行った。リーディングにおいては、リーディングのテキスト・タイプ、テキスト困難度、タスクについて検討し、修正をした後、テスト・セットを作成した。リスニングにおいては、リーディングと同様、リスニングのテキスト・タイプ、テキスト困難度、タスクについて検討し、修正をしたが、音声の収録およびテストの実施には至らなかった。ススピーキング(発表)・スピーキング(やりとり)・ライティングにおいては、タスクと採点方法について検討し、修正をした後、テスト・セットを作成した。これらのテストをそれぞれ実施し、採点・統計的な分析・解釈を行った。言語処理班では、リーディングやリスニングのテキスト分析の結果に基づき、テキストのCEFR-Jレベルの判定を可能にするプログラムの開発を行い、公開した。さらに、文法のレベル別基準特性を判定を可能にするCEFR-J Grammar Profileを開発・公開した。音声認識では、スピーキング・テスト解答データを追加することで、音声認識プログラムの精度を向上した。2019年3月23日に「CEFR-J 2019シンポジウム in 京都」を開催し、170名余りの参加者があった。このシンポジウムでは、3年間の研究成果の発表をするとともに、CEFR-Jのリソースの活用ワークショップも行った。さらに、CEFR-Jの利用企業や協力校の発表機会を提供した。これらの活動により、CEFR-Jが広く認知され、日本の英語教育の改善に大きく資することができた。
著者
相澤 一美 上村 俊彦 望月 正道 投野 由紀夫 杉森 直樹 石川 慎一郎
出版者
東京電機大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本プロジェクトでは,3年間の研究期間内に,学習語彙表の作成と教材分析システムの構築を最終目標に掲げ,研究に邁進してきた。まず,前回作成したJACET8000を学習語彙表として検証し,その欠点を探ってきた。しかし,当初の予想以上にJACET8000の完成度が高いことがわかった。JACET8000の妥当性を検証した研究では,特に大きな問題点を発見することはできなかった。その結果を踏まえて,2年目途中から路線を転換し,検定教科書,口語,米語,児童英語に基づく4種類のサブコーパスを構築し,その中からJACET8000に漏れた語をsupplementとして提案することになった。しかし,時間的な制約に加えてsupplementの作成は,予想以上に困難な作業であった。新しく構築したサブコーパス・から,JACET8000をべースとした出現頻度順リストを作成した。非語,固有名詞等を排除した各リストを100万語換算で頻度補正した上で,4リストをマージしてレンジ値を取り,JACET8000のsupplement候補語636語を提案するに至った。以上のような軌道修正のため,教材分析システムを開発するという本プロジェクトの研究課題の一部が,未解決のまま残った。当面の間は,JACET8000とPlus250にもとついた清水氏作成のLevel Makerを代用することで対処したい。また,今回発表したSupplement636も,十分な検証が済んだわけではない。場合によっては,今回の候補語とJACET8000の語を統合して,リストを再構築することも視野に入れることも今後の課題として考えられる。