著者
土屋 哲郎 松田 智明 長南 信雄
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.172-182, 1993-06-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ジャガイモ塊茎の維管束の分布と連絡を, 連続切片を作製して光学顕微鏡で観察した. ストロン着生部から塊茎に入った維管束は皮層の外篩部, 維管束環の複並立維管束, 周辺髄の内篩部と分かれる. 皮層の外篩部と維管束環の維管束はいずれも周皮と平行な網状の分岐・連絡をもっており, 周辺髄の内篩部では目 (側芽) に向かう篩部と塊茎の中心方向に向かう篩部とが立体的な網状の連絡をもっている. 維管束環の外篩部と内篩部は, それぞれ皮層の外篩部および周辺髄の内篩部と, いずれも放射方向の連絡をもっている. 周辺髄は射出髄によって地上茎の島状の維管束に対応する房に区切られているが, これらの房は目の基部で互いに分離融合をしている. 急速肥大期の観察によると, 塊茎内各組織のデンプン密度は維管束の分布と関係があり, 皮層と周辺髄の篩部の周囲で特に高く, 維管束の分布しない中心髄では低いことが示された. このような維管束の分布と走向から, 塊茎肥大期における塊茎内での同化産物の転流経路を推定した. また, 塊茎内各組織の維管束の分布とデンプン蓄積の関係について検討した.
著者
秋山 昭人 大久保 雄平 高嶋 力彌 古堅 進亮 栃本 真人 土屋 哲
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.1269-1272, 1994-08-20
被引用文献数
4 1

骨盤内悪性腫瘍に対する放射線照射に起因する出血性膀胱炎はしばしば難治性であり,これまでのところ決定的な治療法が確立されていないのが現状である.今回我々は他の保存的治療が無効であった2例の重篤な放射線性出血性膀胱炎に対し高圧酸素療法による止血を試み,良好な成績を得た.治療は,症例1に対しては2絶対気圧下100%酸素吸入・120分間・計60回,症例2に対しては3絶対気圧下100%酸素吸入・90分間・計30回というスケジュールで行った.両症例とも血尿は消失し,膀胱鏡所見も著明に改善した.明らかな副作用は認められなかった.治療後3年(症例1),および4ヵ月(症例2)の現在まで,再発は認められていない.高圧酸素療法は他の分野においてその方法や効果についてはすでに確立されており,本疾患においてもそれらの方法にしたがって施行すれば患者の負担も少なく,根治的な治療効果が期待できることから,従来の治療法に代わって第一選択の治療となり得るものと考えられた.
著者
谷本 圭志 土屋 哲 長曽我部 まどか
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.513-520, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

日常生活を支えるための生活サービスには様々な種類があり,公共交通,買い物など多岐に及ぶ.今後は人口減少や高齢化の進行に伴い,小規模な自治体では生活サービスの消費者のみならず供給する人材の減少に直面することが予想される.そのためこれらの自治体では,サービス施設の集約や複合化など,生活サービスを維持するための政策立案が必要となる.その際,どれだけの人口規模ならびに地域特性のもとで存続可能性が危うくなるかを事前に把握できれば,生活サービスを維持するために,政策立案の適切な時期を検討する上で有用である.そこで本研究では,地方の小規模自治体における生活サービスの存続可能性をいくつかの観点から評価する.具体的には,サービスを供給する事業所数を一般化線形モデルにより推計するとともに,その推計結果に基づいて,存続可能性に影響を及ぼす要因,業種ごとの特性,消滅と存続の境界にある人口規模を実証的に検討する.
著者
土屋 哲 谷本 圭志
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.A_280-A_286, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
6

過疎地域における持続可能な社会のしくみを考える際、サービスの供給者が専業ではなく兼業によって、限られた労力で多くの機能を担い、地域を支えていくことが必要である。本研究では、地方のタクシー業者に注目し、タクシー運転手が本業の傍らに集落を巡回して何らかの生活支援サービスを行うことを想定して、本業に付随した生活支援サービスがどの程度供給可能であるのかを簡易的に分析するための方法論を時空間プリズムの概念を援用して構築する。その上で、実際のタクシーの賃走履歴データを用いた分析を通して、付随的なサービスの供給可能性を明らかにしうることを実証的に示す。
著者
藤武 麻衣 佐野 可寸志 土屋 哲 三本 諒
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.65-74, 2013 (Released:2013-06-18)
参考文献数
11

近年,持続可能な交通を目標にノーマイカーデーという短期的な交通行動転換施策が各地で行われている.本稿の目的は,新潟県長岡市におけるノーマイカーデー運動の調査結果をもとに,参加(交通手段転換)者の属性や参加に至る意識の因果構造を明らかにし,参加者を増やす方策を提案することである.まず参加者の特徴や期間中の交通行動を明らかにした.次に今後のノーマイカーデーの参加意識に対する意識要因モデルを,今後の参加意識を被説明変数として,過去の参加経験,環境保護意識,自動車の自粛意識,自動車利用の必要意識を説明変数として構築した.モデルのパラメータから,特に不参加者は過去の参加経験による影響が大きいとともに,自動車の必要性意識が強い妨げとなっていることを明らかにした.