著者
鳩山 紀一郎 渡邉 靖之 佐野 可寸志 松田 曜子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.I_621-I_630, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

わが国では政府開発援助(ODA)等を通じたインフラ整備技術の一層の海外展開が期待されている.一方で,海外展開の推進は建設企業にとって厳しい場合もあることも指摘されており,政府にも建設企業のニーズや見通しに合った的確な支援が求められる.本研究では,わが国の建設企業の海外進出状況を整理した上で,インタビュー調査およびアンケート調査を通じてインフラ建設事業の海外展開に対する建設企業の意識と政府機関等の見解を把握し,今後の政府支援のあり方を検討する.結果として,苦労して海外展開している企業も見られ,企業が負担の少ない形で海外進出できる環境づくりには,各企業が持つ強みを組み合わせて海外事業を受注できる仕組みを確立することが有効である可能性などが示唆された.
著者
羽佐田 紘之 長谷川 大輔 本間 裕大 佐野 可寸志 大口 敬
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.22-00347, 2023 (Released:2023-11-20)
参考文献数
28

目的地として訪問するだけの魅力を有する施設は,その整備効果を多角的に検証することが望まれている.本研究は,訪問に費やす移動費用を表すトラベルコストに基づいて,訪問移動が生じるのに必要な各施設の効用値や消費者余剰を算出し,目的地となる施設自体が有する価値を評価する手法を提案する.同時に,嗜好の異質性を考慮し,効用値が共通であるセグメントへの訪問者の分類も行う.ETC2.0データから構築した茨城県内の道の駅への訪問移動データへと適用し,訪問数は少ないものの有する価値の大きい道の駅の存在や,道の駅の魅力度向上に寄与する機能を明らかにした.提案手法は,inverse shortest paths problemモデルにより代替施設との競合関係の考慮が可能な新たなるトラベルコスト法と位置付けられる.
著者
川端 光昭 佐野 可寸志
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.246-257, 2019 (Released:2019-07-03)
参考文献数
18

持続的な地域公共交通網形成には,地域の実情に合わせ多様な運行主体の組合せを検討する必要がある.本稿では,タクシー事業者の地域公共交通への参画状況,自治体のタクシー事業者の活用意向を明らかにする.加えて,先行事例の分析を通して,官民協働による地域公共交通のマネジメントに役立つ知見を得ることを目的とする.おおよそ半数の自治体が,公共交通事業をタクシー事業者に委託しており,タクシー事業者の参画が進んでいることがわかった.しかし,事業委託による運転士増等の雇用創出効果は限定的であること,委託事業者との情報共有が不十分な自治体が多いことが明らかとなった.先行事例の分析を通して,持続的な公共交通網形成には,タクシー事業者の経営資源を有効活用することの重要性を確認した.さらに,タクシー事業者の経営体力を十分に情報共有・理解し,実行可能な公共交通サービスを官民協働で制度設計するプロセスが不可欠と言える.
著者
荒木 正弘 鳩山 紀一郎 佐野 可寸志 高橋 貴生
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.A_185-A_192, 2021-02-01 (Released:2021-02-20)
参考文献数
6

高齢化や過疎化が進む地域では、ライドシェアが新たな地域公共交通として着目されている。本研究では、ライドシェアが地域交流を促進する効果に着目し、交流促進を考慮したライドシェアの導入可能性について検討することを目的とする。具体的には、ライドシェアサービスの利用意向や提供意向などについて、新潟県の高齢・過疎地域で自動車依存度の異なる 2 つの地域を対象にアンケート調査を実施した。結果として、自動車依存度の低い地域では、利用意向は高く、利用者を増やせれば交流に繋がる可能性があると示された。他方、自動車依存度の高い地域では、利用意向は高くないものの、イベント等と組み合わせることで交流促進に活かせる可能性が示唆された。運転手の確保は両地域における課題であり、柔軟な対策が必要である。
著者
松村 翼 鳩山 紀一郎 木村 大地 佐野 可寸志 Faniya SULTANOVA Valentina BARABANSHCHIKOVA
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.A_1-A_7, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)
参考文献数
13

本研究は、渋滞下のドライバーに対して適当な副次課題を与えることにより、ドライバーの精神疲労や知覚時間が軽減されるだけでなく、運転のパフォーマンスが向上する可能性にも着目し、ドライバーが運転操作以外の副次課題を行うことの影響を明らかにすることを目的とする。具体的には、渋滞下での運転操作を模した室内実験環境において 15 分間にわたり 4 種類の副次課題を課す実験を行い、その影響を反応遅れ時間や多角的な心理指標によって計測を試みた。結果として、副次課題によって注意レベルに明確な差異は生じない一方、受動的な副次課題は知覚時間を増大させ、能動的な副次課題は短縮させる効果がみられた。また、「会話をする」という能動的な副次課題は、男性のストレス及び疲労は軽減させるが、女性の場合は増大させる可能性が明らかとなった。
著者
松村 翼 鳩山 紀一郎 木村 大地 佐野 可寸志 Faniya SULTANOVA Valentina BARABANSHCHIKOVA
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.A_1-A_7, 2021

<p>本研究は、渋滞下のドライバーに対して適当な副次課題を与えることにより、ドライバーの精神疲労や知覚時間が軽減されるだけでなく、運転のパフォーマンスが向上する可能性にも着目し、ドライバーが運転操作以外の副次課題を行うことの影響を明らかにすることを目的とする。具体的には、渋滞下での運転操作を模した室内実験環境において 15 分間にわたり 4 種類の副次課題を課す実験を行い、その影響を反応遅れ時間や多角的な心理指標によって計測を試みた。結果として、副次課題によって注意レベルに明確な差異は生じない一方、受動的な副次課題は知覚時間を増大させ、能動的な副次課題は短縮させる効果がみられた。また、「会話をする」という能動的な副次課題は、男性のストレス及び疲労は軽減させるが、女性の場合は増大させる可能性が明らかとなった。</p>
著者
藤武 麻衣 佐野 可寸志 土屋 哲 三本 諒
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.65-74, 2013 (Released:2013-06-18)
参考文献数
11

近年,持続可能な交通を目標にノーマイカーデーという短期的な交通行動転換施策が各地で行われている.本稿の目的は,新潟県長岡市におけるノーマイカーデー運動の調査結果をもとに,参加(交通手段転換)者の属性や参加に至る意識の因果構造を明らかにし,参加者を増やす方策を提案することである.まず参加者の特徴や期間中の交通行動を明らかにした.次に今後のノーマイカーデーの参加意識に対する意識要因モデルを,今後の参加意識を被説明変数として,過去の参加経験,環境保護意識,自動車の自粛意識,自動車利用の必要意識を説明変数として構築した.モデルのパラメータから,特に不参加者は過去の参加経験による影響が大きいとともに,自動車の必要性意識が強い妨げとなっていることを明らかにした.
著者
佐野 可寸志 ウイスニー ウイセットジンダワット
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

事業所の立地においては、立地場所固有の属性だけでなく、空間効果の影響も大きいが、これまで十分な研究の蓄積されていない。本研究ではまず、独自の調査データに、因子分析と強分散構造分析を適用し、事業所の移転要因を抽出した。次に、Mixed Logit Modelを用いて空間効果を考慮した事業所の立地選択モデルを構築し、空間効果の影響を定量的に把握した。東京都市圏物資流動調査データを用いてモデルのパラメータを推定した結果、通常の立地選択モデルで用いられる地価や交通のアクセスビリティーの要因に加えて、確定項における企業立地相関や、誤差項におけるゾーン間の空間相関が、立地選択に影響を与えていることが分かり、空間効果を考慮することの重要性を示すことができた。