著者
坂田 勝彦
出版者
The Kantoh Sociological Society
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.21, pp.49-59, 2008

Beginning in the modern era as part of the process of national state formation, the Japanese government adopted an isolation policy for people with Hansen's disease in which sufferers were segregated from the general public and confined to sanatoria. This isolation policy was in effect for a century, ending only recently in 1996.<br>Meanwhile, in post-war Japan, there were some who left the sanatorium. This article examines the experience of Hansen's disease sufferers who left the sanatorium, in order to explore how they constructed plural life-worlds through resisting 'isolation'. 'Return to society' for the sufferers meant that they tried to build several relationships and selves outside the sanatorium.
著者
坂田 勝彦
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.21-38, 2019-10-01 (Released:2022-04-07)
参考文献数
23

本稿は、ある詩人の半生と作品をもとに、炭鉱労働者にとって﹁文学﹂とはいかなる営みであったか検討することを目的としている。 一九五〇年代から六〇年代にかけて、日本各地では、労働運動と連動した多様なサークルや個人によって、詩や小説、うたごえなど、様々な表現が模索された。とりわけ詩は、労働者にとって当時、もっとも身近な﹁文学﹂であった。そして、炭鉱においては、その過酷な労働環境やエネルギー革命に対する怒りを表現し、社会的な差別や排除の中でなお連帯を模索した実践として、無数の詩が労働者の手で綴られた。 しかし、当時の文化運動の多くと同様に、炭鉱の文化運動もまた、高度経済成長と大衆消費社会の到来とともに衰退していく。そうした中で、石炭産業が崩壊し、炭鉱という場がなくなった後も、元炭鉱労働者の中には様々な形で表現を模索した人々がいた。例えば、かつて炭鉱で働き、そこを追われたある人物は、一度は詩を綴ることを﹁断念﹂しながらも、その後、再び詩を綴るようになる。そのとき、彼にとって詩を綴ることは、日常生活で出会う様々な出来事や感情を対象化し、第二の人生における新たな生き方を模索する実践として、炭鉱で働いていた時代とは別様の意味を持つようになった。 そこで本稿は、﹁社会現象としての文学﹂という視点から、炭鉱労働者にとって詩を綴ることがいかなる意味をもっていたかを検討する。そこからは、それまでとは大きく異なる世界を生きる中で、詩という表現行為が彼らの悩みや苦しみを癒し、第二の人生を歩んでいく上で大きな支えとなってきたことが明らかになる。
著者
副田 義也 樽川 典子 加藤 朋江 遠藤 惠子 阿部 智恵子 株本 千鶴 嶋根 克己 牧園 清子 鍾 家新 藤村 正之 樫田 美雄 阿部 俊彦 時岡 新 村上 貴美子 藤崎 宏子 小高 良友 野上 元 玉川 貴子 坂田 勝彦 柏谷 至
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

戦後内政の主要分野を、戦前期に内務省が専管した行政の諸分野に注目して、ひとつの統一的性格をもつものとして研究した。旧来、1947年の内務省解体は、連合国総司令部が強行した、否定的に評価されるべき事態として語られがちであった。しかし、その分割があったからこそ、その後の半世紀以上にわたる日本の福祉国家としての歩みが可能になったのである。すなわち、厚生行政、警察行政、建設行政、自治行政を担当する省庁の分立と発展、政策の複合による内政構造の拡大、深化である。