著者
葉柳 和則 市川 明 増本 浩子 中村 靖子
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、「ナチスが政権を握っていた時代(1933-1945)、スイスのチューリヒ劇場において、なぜ亡命芸術家たちがナチスによって禁じられた作品の上演を続けることができたのか」という問いに答える。鍵となるのは「精神的国土防衛」というスイス固有の文化運動である。この運動は初期の段階においては、排外的な性格を持っていたが、1939年頃に「多様性の中の統一」こそが「スイス的なもの」であるという認識を前面に出した。この多様性の中に文化的諸潮流を包摂するという論理が亡命芸術の受容と上演を可能にした。
著者
増本 浩子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

スイスの作家フリードリヒ・デュレンマット(1921-1990)は初期から一貫して、世界を人間理性では理解できない「迷宮」として描き出しているが、後期になるとさらに、人間は世界どころか自分自身のことさえ正しく理解できないのではないかという問いを立てる。晩年の作品『素材』は文学的素材の歴史を語ることで作家の人生を語るという特異な自伝であるが、これはそもそも「本当の人生」を描くものとしての自伝を書くことは不可能であるとデュレンマットが考えているからである。作家が頭の中で考え出した文学的素材の歴史を語ることによって人生を語るという自伝のあり方は、「考えたこともまた現実の一部である」という認識に基づく。
著者
増本 浩子
出版者
神戸大学
雑誌
DA (ISSN:09176896)
巻号頁・発行日
no.7, pp.31-39, 2010
著者
小黒 康正 浅井 健二郎 小黒 康正 杉谷 恭一 小川 さくえ 増本 浩子 桑原 聡 恒吉 法海 東口 豊 恒吉 法海 福元 圭太 杉谷 恭一 小川 さくえ 坂本 貴志 増本 浩子 濱中 春 山本 賀代 岡本 和子 北島 玲子 桑原 聡 クラヴィッター アルネ オトマー エーファ
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ドイツ現代文学は、言語に対する先鋭化した批判意識から始まる。とりわけホーフマンスタール、ムージル、カフカの文学は、既存の言語が原理的機能不全に陥っていることを確信しながら、言語の否定性を原理的契機として立ち上がっていく。本研究は、ドイツ近・現代文学の各時期の代表的もしくは特徴的な作品を手掛かりとして、それぞれの作品において<否定性>という契機の所在を突き止め、そのあり方と働きを明らかにした。