著者
多田 好克
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.16, pp.25-32, 2005-02-22
参考文献数
6

本文章では、裸のIBM-PC上で稼働するUtiLisp処理系について議論する。汎用計算機上にLisp Machineのような専用処理系を動かすことにより、a) OSのオーバヘッドを無くし高速の処理系を作成する、b) Lispを中心とした汎用のOSを構築する、ことが最終目標である。今回の発表では、取り敢えずヨタヨタと動き出したLisp処理系の構築法、並びに、裸の計算機上で動かすために要した作業を総括し、報告する。In this paper, we discuss a UtiLisp interpreter which runs on a bare IBM-PC machine. The final goal of the research is going to make 1) a fast interpreter without the overheads of operating system, and 2) a Lisp-based operating system such as the Symbolics Lisp Machine. This time, we present the current status of our implementation, especially the porting methodology from a Unix to a bare machine environment.
著者
滝田 裕 多田 好克
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.16-26, 2006-03-15
被引用文献数
1

近年のストレージ技術の進歩により,個人用計算機でも大量のファイルが蓄積できるようになった.Unix のファイルシステムではファイルの名前を木構造で階層化して管理しているが,このような状況では名前によるファイルの特定がだんだん困難になってきている.そこで最近ではファイルの名前を特定するために,全文検索エンジンを用いたファイルの内容検索を行うことが多い.我々は全文検索エンジンによる検索機能をファイルシステムに統合し,従来の木構造のファイル名だけではなくファイル内容に基づくファイル名の両方が使用できるファイルシステムを開発した.このファイルシステムでは特殊なキーワードをともなうディレクトリを検索キーワードと見なして検索式を生成し,全文検索エンジンによる検索を行う.検索結果はその場で生成されるディレクトリ内のシンボリックリンクとして表現される.また,検索インデックスはファイルの書き込み時に自動的に更新され,つねに最新の内容に基づいた検索が行われる.本システムはファイル参照を行うすべてのプログラムに対して,改変をいっさい行うことなく検索機能を提供できる.これを用いることで対話的なシェル上での内容によるインクリメンタルなファイルの絞り込みが可能になる.A personal computer came to be able to accumulate large amount of files by the advancement of the storage technology in recent years. The name of the file is hierarchized by the tree structure and managed in the filesystem of Unix. The file identification by the name gradually becomes difficult in such a situation. So recently, we often retrieve the file by content by means of a full-text search engine. We integrated the search function with a full-text search engine into the filesystem, and developed the filesystem for which not only the traditional tree structured file name but also the content of the file can be used. In this filesystem, the directory which name includes the special keyword regards as search keyword, and the search query which used by full-text search engine is generated by using such keywords. The search result is expressed as a symbolic link in a temporally generated directory. The search index is automatically updated at the time of writing the file, and we can always search the file by the latest content. This system can offer the search function with no modifications of any programs that access files at all. This system also provides incremental file narrowing by the contents on an interactive shell.
著者
多田 好克 寺田 実
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.84(1986-OS-033), pp.1-7, 1986-12-12

本稿では,Unixの一ユーザプロセス上で動く「小さなプロセス」実現法を説明する.この方法を使えば,Unixのプログラミング環境下でスケジューリングやプロセス間通信等の実験を行うことができる.本実現法では,言語Cの一部の関数がプロセスのように振舞う.また,それらはCPU横取りによって継続的な実行を制限される.これらの仕組みは言語Cのみで記述されており,Unixのカーネルを変更する必要はない.なお,現実,この仕組みは,VAX-11 (4.2BSD) VAX-11(Ultrix) Sunワークステーション(4.2BSD) ME THEUS Lambda-710 (4.1BSD) SHARP IX-5 (System V) NEC PC-UX (System III)等,様々のUnixシステム上で稼働している.
著者
千川 文子 比留間 伸行 多田 好克
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会年次大会講演予稿集 (ISSN:13431846)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp._15-3-1_-_15-3-2_, 2007

Tile Palette (TP) is proposed for mixing colors on a display. It is possible to set up the color space that matches each user's color image and knowledge in order to promote user's system understanding. TP can show quantity of color and mixing process visually by tile interface.
著者
藤井 治彦 鶴岡 行雄 多田 好克
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.992-1001, 2013-02-15

インターネットバンキングにおいて,ID・パスワードの盗難により,本人に成りすまして不正送金をする事件が増加している.攻撃方法も高度化しており中間者攻撃やサーバ証明書の不正取得など,従来のワンタイムパスワードや乱数表では対策困難なものが出現してきている.また従来技術は安全性の課題以外にも,経済性,利便性の面での改善も望まれている.本論文では,インターネット上での本人認証時に,あらかじめ登録した電話機から電話し,発信者番号の確認を行うことにより本人認証を行う方式を提案する.インターネットとは異なりクローズドな電話網を利用することによる安全性や,トークンの運用管理コストの不要化,電話をかけるだけなのでITリテラシが低い層でも利用できる特性がある.また提案方式の商用化に向け,新規登録など運用面についても考察した.Remittance fraud incident by ID and password theft is increasing. Owing to attack techniques are improved, a new attack is emerging, for example man-in-the-middle attacks and fraudulent procurement of server certificates that is difficult to protect for existing technique such onetime password or random number table. On the other hand, it has been required that former technique's improvement of cost performance and usability. In this paper the authors propose an authentication scheme sending caller ID (calling number notification function) previously registered, by calling the authentication server in addition to user authentication over the Internet. This scheme's good points are safety which using closing telephone network unlike the Internet, and reduction of operational management costs of token, and usability that allows any level of IT literacy user to use because of just calling. Also the authors proposed operational management such as new registration, and this scheme can be applied in real business.
著者
茅野 剛史 多田 好克
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [プログラミング-言語基礎実践-]
巻号頁・発行日
vol.94, no.65, pp.145-152, 1994-07-21

協調言語であるLindaは,現在UNIXワークステーション上で実現されたものが多い.また,現行のLindaシステムではデータ通信の手段であるタプル空間がひとつのワークステーション上にしかないものが多く,そのためにさまざまな問題が発生している.本研究では,タプル空間がひとつしかないことによって起こる問題を解決するために,タプル空間が複数の計算機上に分散して存在するLindaシステムを提案する.また,効率をあげるためにアプリケーションのデータの扱いによって,分散のさせ方を変更するアプリケーション指向のアルゴリズムを考案する.今回の実現では,既存のシステムを改良し,Lindaのセマンティクスを用いて分散システムを記述した.
著者
藤野 喜一 若林 伸和 多田 好克
出版者
電気通信大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

1.情報システムコンパイラの概念は右図のようになる。2.情報システムのソースシステム仕様(SSDLで記述)から、業務を実行するターゲットシステム仕様(TSDLで記述)を自動/半自動的に生成する情報システムコンパイラの変換過程を研究した結果、応用領域毎にシステムを構成する基本機能群とシステム固有の機能群と人間の役割を含む情報システム構成要素と構造のモデル化のコンセプトを得た。3.ターゲットサブシステム群は、人間機械系、情報機械系、コミュニケーション系(ネットワークシステム)、情報処理系(コンピュータ,WS,PCなど)、及びOSとシステム固有の応用ソフトウエア系に分類される。ターゲットシステムは目的に応じてこれらの各系から選択されたサブシステムの要素の組み合わせとして実現される。この際サブシステム間のインタフェース、コミュニケーションを含む接続方式の検討も行い成果を得た。4.ニーズ調査の結果、情報システムのモデル化の問題が、最重要である事が確認できた。理由は、大型コンピュータを中心としたシステム構築の時代からWS、PCを使用した高品質情報システムを短期間に構築し、既存システムに追加しシステムを成長させていく方式の必要性が増大しているからである。5.今後の研究計画:平成6年度には企業の参加を求めて情報システムコンパイラを設計・構築し、特定の業種業務を選んで利用実験を実施し、平成7年度には、WC,PCを利用した、情報システム構築に必要なソースシステムモデル、部品データベース、ターゲットシステムのモデルの集合を整備し、情報システムコンパイラの実用化研究を実施する。(平成6年度試験研究(B)を申請中)。
著者
福田 伸彦 楯岡 孝道 中村 嘉志 多田 好克
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.353-363, 2003-02-15
被引用文献数
2

会議などの人々の集まる場にネットワークを構築し,参加者の計算機を接続することで,様々な情報交換や共有が可能となる.本稿では,そのような場における情報の交換に有用な共有ファイルシステムONFS(Offhand NetworkFilesystem)を提案する.会議などの場に設置されるネットワークは,その場だけで一時的に運用される.そのため,(1)計算機の接続と切り離しが頻発する,(2)構成メンバがその場によって異なる,という状況が生じる.既存のシステムで(1)?<,(2)の状況に対応するためには,その場での繁雑な設定作業をしなければならない.そこで,これらの問題を解決するために,我々は NFS(Network File System)をベースに,サーバの自動探索,一時ユーザの管理,切断時の対応処理の機能をONFSに実装した.ONFSを利用することで,ユーザは計算機をネットワークに接続するだけで即座にファイル共有を実現できる.In places where people come together, such as a meeting, participantscan exchange and share information if they build a network with theircomputers. In this paper, we propose a shared file system, ONFS(Offhand Network Filesystem), which is useful to exchange information.The temporary network is employed only at that place and time. As aresult, the followings occur; (1) computers are connected anddisconnected frequently, and (2) members vary from place to place.Existing systems impose users to handle troublesome settings undersuch situations. To solve these problems, we implemented followingfunctions on ONFS, based on NFS (Network File System); an automaticserver searching, a temporary user management, an operation atdisconnection. Users using ONFS can share files immediately byconnecting a computer.