著者
長尾 智晴 安居院 猛 長橋 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.557-565, 1993-03-25
被引用文献数
60

本論文では,任意の点列としてあらかじめ与えられたモデル図形に相似な図形を,ノイズを多く含む2値画像から抽出する手法について述べている.原画像中の相似図形の位置,拡大倍率,回転角度はすべて未知とする.この抽出処理は,モデル図形を原画像中の図形に重ねたときに,最もよく重なるときのモデル図形の重心のx,y座標,拡大倍率,回転角度を求める処理であり,これら四つのパラメータによる空間において,図形の重なりを評価値にしたときの最大値探索問題とみなすことができる.そこで本論文では,最適値探索手法として知られている遺伝的アルゴリズムの考え方を用いた遺伝的手法を提案している.本手法では,特に,探索空間に対する前処理,および親の個体の適応度に応じた遺伝規則の調整を考慮したアルゴリズムを提案している.そして,本手法がこのようなパターンマッチングの問題に有効に適用できることを,実験結果を用いて示している.
著者
永江 孝規 安居院 猛 長橋 宏
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.16, no.9, pp.25-30, 1992-01-24 (Released:2017-10-06)

The Peano scan is a path traversing an array of points and is very convoluted as a randam walk. This scan can be applied to sequential image transformation, instead of raster scan, and does not produce periodic patterns that are often observed in the case of raster scan. Also it is noted that the Peano scan has the same properties as that of quadtree or octree. If the distribution of values in a 2D or 3D array has clusters, then the clusters are preserved on the scan. This is the reason why this scan is applied to run-length compression and color quantization. The Peano scan, however, has restrictions in nature: the scanned array must be a square and the width and height must be a power of 2, because the scan is obtained by recursive division of the array, as quadtree. In the present article, some generalized Peano scans for any rectangular array are introduced, and halftoning is discussed as one of the applications of the Peano scans.
著者
安居院 猛 三輪 喜良 中嶋 正之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.749-755, 1991-06-15
被引用文献数
11

自然物体である無機物や生命体は 形状でも動きの面でも複雑なものが多い.現実感のある人間や動物などをコンピュータグラフィックスで表現する試みが盛んに行われているが 人間の頭髪を自然に表現することは現時点では困難である.実際の頭髪の動きは非常に複雑であり その適切な働きを表現することは大きな課題である.旗や電線などのような柔物体の動きを力学的手法で表現する試みは数多く行われてきたが 力学的方程式の近似解を求めることは一般に時間がかかるため 扱う物体の量が多い頭髪の動きの表現には適さない.そこで 本論文では 実際に1本の糸が風になびく動きを解析し その結果に基づく確率モデルを提案する.また 頭髪のように多数の糸状物体が風になびくときには 風の向きや強さなどのパラメータの与え方が問題になってくるが 本論文では 2次元ポテンシャル流れの解析解を利用して頭髪1本1本にパラメータを与える方法を提案する.そして最後に 頭髪が風に吹かれてなびく動きを表す連続画像の生成を試みる.その結果 強風による影響は表現できなかったが 力学的方程式の近似解を求めずに 比較的短時間でそれらしい動きを表現することができた.
著者
安居院 猛 大津 久敬 中嶋 正之
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.13, no.56, pp.15-22, 1989-11-16 (Released:2017-10-06)

Ordinarily, several oil-based paints are stirred to generate marble patterns. In this report, the process of Stirring paints are simulated to generate marble patterns. AS it is difficult to obtain fluid flow exactly, it is expressed in terms of velocity fields derived from stream functions. Changes of positions of particles of which fluid consists are calculated and time changing patterns are generated.
著者
中嶋 正之 安居院 猛 中内 健二 柳川 和雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.748-755, 1985-07-15

現在撮影ミスのなかで最も多い部類にあると考えられる手ブレに関し そのディジタル信号による自動検出アルゴリズムの提案を行う.本論文では プレの判定基準をシャッタが開放時間中 50μm以上の移動が生じたと判断することにより行い 一方向に並べた複数の画素の濃度変化の割合を検出する方式について示す.濃度検出部の画素数Nを2から16まで変化させ さらに 画像の階調レベル値を6?12ビットまで変化させてプレ検出のシミュレーションを行った結果を示す.本実験により N=4 階調レベル6ビットの構成でも94%以上のプレが検出可能であることが明らかとなった.また 本検出器を用いてプレ検出装置を構成する方式について述べている.
著者
菅野 恒雄 長橋 宏 安居院 猛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.86, no.12, pp.1510-1519, 2003-12-01
参考文献数
16
被引用文献数
1

人間の顔は大変興味深い研究対象であり,人間の顔に関する研究は古くから心理学,認知科学の分野で行われてきた.顔と年齢に関する研究は幼児期から老年期までの幅広い年齢層について,顔の形状変化,年齢認知,計算機による識別などが行われてきた.本論文では顔骨格形状が大きく変化し,顔の印象が子供から大人へ変わる児童期から青年期までの顔面像を対象とした.実験に用いた平均顔は,実年齢がほぼ特定できる卒業記念アルバムから男女とも12歳,15歳,18歳,22歳の顔画像群から作成された.これらの平均顔を刺激とした年齢推定心理実験結果から,これらの年齢の顔特徴と年齢認知との関係を示した.また,平均顔作成と同様な手法によって作成された分散顔と実験に使用した男女顔画像群の特徴から,女性顔の年齢認知が難しい要因を検討した.更に,800枚の顔画像群を刺激とした年齢推定心理実験を行い,被験者による評価結果をもとに得られた平均顔とそれらの顔特徴について検討した.