著者
高橋 純一 安永 大地 杉村 伸一郎 行場 次朗 坂本 修一 堀川 友慈 齋藤 五大 大村 一史
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究が対象とする「アファンタジア(aphantasia)」は,実際の知覚は機能しているにもかかわらず心的イメージが機能しない特質のことであり,新たな事例として提唱された。心的イメージとは刺激対象が実際に目の前に存在していなくとも,それを疑似体験できる機能である。私たちは想像(創造)や思考など日常生活で意識せずにイメージを多用しているが,アファンタジア当事者はイメージを思い浮かべることが少ないことから,結果的にイメージ以外の情報処理機構を用いていると推測できる。本研究は,アファンタジアという新たな事例の認知・神経科学的理解を通して,社会におけるアファンタジア理解を促進しようとするものである。
著者
小泉 政利 安部 詩織 安永 大地
出版者
九州大学大学院人文科学研究院言語学研究室
雑誌
九州大学言語学論集 (ISSN:13481592)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.117-128, 2016

When we hear a Japanese sentence like Washi-wa idai-na hatsumeika ja 'I am a great inventor,' we can imagine an elderly man as the speaker of the sentence. Expressions that invoke a specific personality of the speaker, such as washi and ja, are called yakuwarigo 'role language.' This study examined how role language is processed by native Japanese speakers. We recorded the event-related potentials of native Japanese speakers as they judged the compatibility between a picture of a character and a sentence containing role language. Compared with matched pairs, mismatched pairs showed an N400 effect. This suggests that the lexico-semantic process plays a major role in determining the appropriateness of the use of role language, parallel to the use of honorific forms.
著者
小泉 政利 安永 大地 木山 幸子 大塚 祐子 遊佐 典昭 酒井 弘 大滝 宏一 杉崎 鉱司 Jeong Hyeonjeong 新国 佳祐 玉岡 賀津雄 伊藤 彰則 金 情浩 那須川 訓也 里 麻奈美 矢野 雅貴 小野 創
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2019-06-26

主語(S)が目的語(O)に先行するSO語順がその逆のOS語順に比べて処理負荷が低く母語話者に好まれる傾向があることが報告されている。しかし,従来の研究はSO語順を基本語順にもつSO言語を対象にしているため,SO語順選好が個別言語の基本語順を反映したものなのか,あるいは人間のより普遍的な認知特性を反映したものなのかが分からない。この2種類の要因の影響を峻別するためには,OS語順を基本語順に持つOS言語で検証を行う必要がある。そこで,本研究では,SO言語とOS言語を比較対照することによって,人間言語における語順選好を決定する要因ならびに,「言語の語順」と「思考の順序」との関係を明らかにする。
著者
小泉 政利 安永 大地 木山 幸子 大塚 祐子 遊佐 典昭 酒井 弘 大滝 宏一 杉崎 鉱司 Jeong Hyeonjeong 新国 佳祐 玉岡 賀津雄 伊藤 彰則 金 情浩 那須川 訓也 里 麻奈美 矢野 雅貴 小野 創
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

主語(S)が目的語(O)に先行するSO語順がその逆のOS語順に比べて処理負荷が低く母語話者に好まれる傾向があることが報告されている。しかし,従来の研究はSO語順を基本語順にもつSO言語を対象にしているため,SO語順選好が個別言語の基本語順を反映したものなのか,あるいは人間のより普遍的な認知特性を反映したものなのかが分からない。この2種類の要因の影響を峻別するためには,OS語順を基本語順に持つOS言語で検証を行う必要がある。そこで,本研究では,SO言語とOS言語を比較対照することによって,人間言語における語順選好を決定する要因ならびに,「言語の語順」と「思考の順序」との関係を明らかにする。
著者
小泉 政利 安永 大地 木山 幸子 遊佐 典昭 行場 次朗 酒井 弘 大滝 宏一 杉崎 鉱司 玉岡 賀津雄 金 情浩 那須川 訓也 里 麻奈美 小野 創 大塚 祐子 矢野 雅貴 八杉 佳穂 上山 あゆみ
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究プロジェクトの目的は,マヤ諸語とオースロネシア諸語のなかのOS言語(特に,グアテマラのカクチケル語と台湾のタロコ語)を対象に,談話内での1.文理解過程,2.文産出過程,3.言語獲得過程,ならびに4.言語の語順と思考の順序との関係を,聞き取り調査やコーパス調査,行動実験,視線計測,脳機能計測などを用いて,フィールド心理言語学の観点から多角的かつ統合的に研究することである。より具体的には,1~4における個別言語の文法的要因と普遍認知的要因が文脈に埋め込まれた文の処理に与える影響を明らかにし,脳内言語処理メカニズムに関するより一般性の高いモデルを構築することを目指す。本年度は特に以下の研究を実施した。[文法理論部門]タロコ語の文法調査を行った。[理解部門・神経基盤部門]文脈と語順が文処理に与える影響を調べるために事象関連電位を用いたタロコ語の実験を実施した。[産出部門・思考部門]タロコ語の文散出時に動詞のレンマがどのようなタイミングで活性化されるかを調べる実験の準備(予備実験を含む)を行った。また,タロコ語話者の思考の順序やタロコ語の文産出に与える非言語的文脈や話者自身の動作の影響を調べるためのジェスチャー産出実験と文産出実験を行った。[全部門共通]トンガ語の調査・実験の実行可能性を調べるためにトンガ王国で現地見分を行った。また,ジャワ語の専門家を招いて,ジャワ語の調査・実験の実行可能性についての検討会を開催した。