著者
長田 義仁 グン 剣萍 安田 和則 八木 駿郎 山本 眞史 川端 和重
出版者
北海道大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2002

(I)ソフト&ウエット人工筋肉となるゲル基本素材の創成基本素材とする高分子ゲルにダブルネットワーク-(DN)構造を導入することで、圧縮強度、引張り強度が数メガパスカル(MPa)に達する超高強度ゲルの合成法を発見した。さらに、DNゲルの第一網目における数10nm〜数μmスケールのVoid構造を系統的に変化させることで、ゲルをBrittleからDuctile的な振る舞いまで系統的に制御することに成功した。DuctileのDNゲルがNecking現象を示し、20倍までも伸びることを発見した。この優れたゲル材料を人工関節軟骨へ応用するために、低摩擦性、高強度性を併せ持ったゲルの創製を図り、その結果、破壊強度数十メガパスカル、破壊エネルギーが1000J/cm^2以上、表面摩擦係数10^<-5>〜10^<-4>という従来にないゲルの創成に成功した。(II)ゲル基本素材の生体代替運動システムへの応用展開(I)で創製したゲルは固体素材では実現不可能な柔軟性と運動性、そして耐衝撃性を併せ持つ。このゲルを人工軟骨、人工半月板に応用するために、その耐摩耗性、生体内耐久性、および生体親和性を評価した。数種類のDNゲルは100万回、走行距離延べ50kmのPinonFlat型摩耗試験で、摩耗率10^<-8>〜10^<-7>mm^3/N・mに達する高い耐摩耗性を示し、これは超高密度ポリエチレン(摩耗率10^<-7>mm^3/N・m)を凌駕する結果であり、ゲルの特性としては驚異的なものである。DNゲルのBlock皮下埋め込み試験、ペレット筋内埋め込み試験を行い、数種ゲルの中、PAMPS/PDMAAmゲルが人工軟骨の素材に最も有望であることを明らかにした。さらに、PAMPS/PDMAAmゲル人工軟骨を試作し、関節内埋植試験を行った結果、関節内異物特性は低く、使用した人工軟骨研究用標準動物モデルでは、明らかな有害性は検出されなかった。さらに、PAMPS/PDMAAゲル人工軟骨を関節表面から数mmのギャップを作るように埋植すると、この表面である生体内局所(ln situ)に正常関節(硝子)軟骨を自然再生することが出来るという、これまでの世界の常識を覆す発見をした。
著者
[ぐん] 剣萍 角五 彰 黒川 孝幸 古川 英光 田中 良巳 安田 和則
出版者
北海道大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2006

生体は硬い骨格を除き、殆どが50-85wt%が水分で構成されている軟組織からできている。豊かな福祉社会の実現には生体軟組織と同等の機能を持ったソフト&ウェットマテリアルの創製が不可欠である。本研究は、含水高分子ゲルの構造を制御することによって、生体軟組織に匹敵する高靭性と高機能を有する様々なソフト&ウェットマテリアルの創製に成功した。これらの材料は、軟骨・腱、血管などの生体軟組織の代替材料として応用できる。
著者
後藤 達彦 江川 鍛 小川 博久 土用下 尚外 福田 浩幸 犬塚 博章 舘 忠裕 藤村 直也 安形 保則 ニラウラ マダン 安田 和人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.29, pp.65-68, 2010-05-06

有機金属気相成長法によりSi基板上に成長した厚膜CdTe単結晶層を用いた、大面積X線・γ線画像検出器の開発を目的として研究を行っている。これまで検出器の製作では、Si基板上のCdTe成長層に部分的な剥離や、多結晶化、電気特性の不均一等が発生する場合があり、これらの防止とその改善が課題であった。これらの問題はCdTe成長に先立って実施する、Si基板の成長前処理(GaAs処理)に原因があると考えられるのでその改善を図った。GaAs処理の改善後、CdTe成長層の剥離は防止でき、Si基板上全面で高品質の単結晶CdTe層が成長可能となった。p-CdTe/n-CdTe/n+-Si構造の成長層をダイシングし、ダイオードアレイを試作した。その結果、ダイシング時にもCdTe層の剥離は発生せず、CdTeとSiの結合状態も改善されていることが分かった。またアレイ内のダイオードについて電流-電圧特性を測定したところ、場所によらず均一なダイオード特性を確認できた。
著者
ニラウラ マダン 安田 和人
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

有機金属気相成長法によりSi基板上の厚膜単結晶CdTe成長層を用いて作製した、エネルギー識別能力を持つ、放射線検出器の高性能化を目的とし、検出器動作時における暗電流の低減と成長層高品質化に関する検討を行った。成長条件の最適化と成長層アニールにより、成長層内に存在する結晶欠陥の不活性化による暗電流を低減できる成長条件及びアニール条件を確立した。これに伴い、作製した検出器の性能の向上を確認した。
著者
遠山 晴一 安田 和則 小野寺 伸 近藤 英司
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

マクロファージ遊走阻止因子(MIF)の腱・靱帯損傷の治癒に与える影響は明らかではない。そこでMIF遺伝子の欠損が膝内側側副靱帯(MCL)断裂後の治癒過程に与える影響を検討し、28日におけるMIFknock-outマウスの大腿骨-MCL-脛骨複合体の力学的特性およびMMP-2および-13の遺伝子発現はwildtypeに比し有意に低値であり、組織学的には肥厚しており血管新生に乏しくかつ細胞数の減少の遅延が観察された。以上よりMIF遺伝子欠損はMMPの遺伝子発現抑止を介して、MCL損傷治癒を遅延させることが示唆された。
著者
中村 宏明 安田 和 大平 剛 三ッ井 欽一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.99-100, 1993-09-27

オブジェクト指向ソフトウエア開発では共通のモデルを用いて分析・設計・実装が行なうことができる。各フェーズが継目なくつながることで、ソフトウエアの変更・修正・追加、再利用などの容易化が期待できる。この利点を生かすためにはフェーズ間を逆方向へ戻れることも重要で、特にプログラムを理解することによって分析・設計に関する情報を得ることが、反復的・進化的なソフトウエアの開発の鍵になる。ところがオブジェクト指向の主要な性質である継承と多相性は、プログラムを理解することを困難なものにしている。例えば次のようなC++の関数呼び出しを理解するために、関数を定義している場所を求める過程を考える。table.Put(token);(1)tableがデータ・メンバーである場合、この関数呼び出しを含むメンバー関数が宣言されているクラスの継承階層の中でtableが定義されているクラスを探し、tableの型を知る。(2)関数の多義性を解決するために、同様にしてtokenの型を調べる。(3)tableのクラスの継承階層の中で、メンバー関数putを定義しているクラスを探す。この他にC++には、マクロ、多義演算子、自動型変換、例外処理など、プログラムを書くことを簡潔にするが、読むことを複雑にする要素が多く含まれている。したがって、オブジェクト指向の利点を生かしたソフトウエア開発を行なうためには、プログラムの理解を支援する環境が不可欠である。本稿では、まずプログラムの理解支援に対する要件を考察し、次に、我々が作成したC++ソース・コードの理解支援システムの構成と、その使用例を紹介する。