著者
幸田 仁志 甲斐 義浩 来田 宣幸 松井 知之 東 善一 平本 真知子 瀬尾 和弥 宮崎 哲哉 木田 圭重 森原 徹
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.127-131, 2018-10-16 (Released:2018-10-19)
参考文献数
25

〔目的〕投球肩・肘障害を有する高校野球投手の特徴を,関節可動域や筋力の非投球側差より分析した。〔方法〕京都府下の野球検診に参加した高校野球投手76名を対象とした。測定項目は,投球肩・肘障害の判定,関節可動域および筋力とした。関節可動域および筋力は両側に対して実施し,投球側から非投球側の値を減算することで非投球側差を算出した。統計解析には,投球肩・肘障害ごとに,対応のないt 検定を用いて陽性群と陰性群の関節可動域および筋力の非投球側差を比較した。有意水準は5%とした。〔結果〕投球肩障害では,陽性群の肩関節内旋可動域の非投球側差は陰性群と比較して有意に低値を示した(p<0.05)。投球肘障害では,陽性群の肩関節外旋可動域の非投球側差は,陰性群と比較して有意に低値を示した(p<0.05)。〔結論〕肩関節外旋可動域や内旋可動域の非投球側差による分析は,野球選手の機能低下や障害予測を判別する一助となる可能性がある。
著者
幸田 仁志 森原 徹 甲斐 義浩 来田 宣幸 松井 知之 東 善一 平本 真知子 瀬尾 和弥 宮崎 哲哉 木田 圭重
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.127-131, 2018

<p>〔目的〕投球肩・肘障害を有する高校野球投手の特徴を,関節可動域や筋力の非投球側差より分析した。〔方法〕京都府下の野球検診に参加した高校野球投手76名を対象とした。測定項目は,投球肩・肘障害の判定,関節可動域および筋力とした。関節可動域および筋力は両側に対して実施し,投球側から非投球側の値を減算することで非投球側差を算出した。統計解析には,投球肩・肘障害ごとに,対応のないt 検定を用いて陽性群と陰性群の関節可動域および筋力の非投球側差を比較した。有意水準は5%とした。〔結果〕投球肩障害では,陽性群の肩関節内旋可動域の非投球側差は陰性群と比較して有意に低値を示した(p<0.05)。投球肘障害では,陽性群の肩関節外旋可動域の非投球側差は,陰性群と比較して有意に低値を示した(p<0.05)。〔結論〕肩関節外旋可動域や内旋可動域の非投球側差による分析は,野球選手の機能低下や障害予測を判別する一助となる可能性がある。</p>
著者
朝井 政治 神津 玲 俵 祐一 宮崎 哲哉 中村 美加栄 藤島 一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.424, 2003 (Released:2004-03-19)

【はじめに】 高齢者に対する呼吸管理を行う機会が増加する中,気管内挿管下に人工呼吸管理を行った症例のうち,抜管後新たに嚥下障害や排痰困難をきたすことを経験する。このような症例では,誤嚥や分泌物の自己喀出に難渋し,離床やADLの改善に支障をきたす場合が少なくなく,臨床上大きな問題となる。 今回,人工呼吸管理後に新たに嚥下障害を呈した症例の臨床的特徴について報告する。【対象・方法】 対象は1999年4月から2002年3月までに当院にて気管内挿管,人工呼吸管理となり,理学療法が処方された187症例のうち,脳血管障害,精神科疾患,重度の痴呆,神経筋疾患および頚髄損傷,一度も抜管に至らず気管切開となったもの,を除いて,抜管ができた55例(平均年齢72.2±12.3歳,男性43例,女性12例)とした。方法は,カルテから,嚥下障害の有無を調査し,嚥下障害を呈した症例の1)患者背景,2)人工呼吸管理,3)気道分泌物貯留,4)嚥下機能評価結果,について調査した。なお,嚥下障害の有無については,問診と身体所見,および主治医や担当看護婦からの情報,嚥下機能評価の結果より判定した。【結果】 嚥下障害を認めた症例は55例のうち4例(7%)であった。以下に各症例の臨床的特徴を示す。症例1:77歳,男性。肺炎,肺結核後遺症。挿管2日。予定外抜管あり,鎮静なし。分泌物貯留中等度。症例2:84歳,男性。急性肺水腫,心不全,肺炎,腎不全。挿管5日。予定外抜管なし,鎮静5日。分泌物貯留多量。症例3:84歳,男性。塵肺,COPD,喘息。挿管8日。予定外抜管あり,鎮静7日。分泌物貯留多量。症例4:73歳,男性。肺炎,間質性肺炎。挿管24日。予定外抜管あり,鎮静22日。分泌物貯留多量。 上記症例では,後期高齢者,予定外抜管の経験,鎮静が行われていた症例がそれぞれ3例で,いずれの症例でも分泌物の貯留を認め,抜管後の経口のみによる栄養摂取困難と診断された。残る51例の平均年齢は71.6歳,挿管期間平均6.9日,鎮静28例,予定外抜管5例であった。【考察】 今回,人工呼吸管理後に新たに生じた嚥下障害の頻度と臨床的特徴を調査した。その結果,中枢神経疾患や神経筋疾患,精神科疾患など嚥下障害のリスクを有さない症例で,抜管後に嚥下障害を呈した症例は7%と必ずしも多くなかった。しかし,嚥下障害を認めた4例はいずれも経口からの摂食は困難であった。人工呼吸管理に至るような重症の急性呼吸障害を呈した症例では,critical illness neuropathyやmyopathyを呈する場合があると報告されている。上記4症例を細かく比較してみても,一定の傾向は認められず,特に原因と考えられるものがなかったことから,この状態にあったことも予想された。これは回復に長い期間を必要とするため,人工呼吸器離脱直後だけでなく,継続的,かつ注意深いサポートが必要と考えられた。
著者
川野 義武 宮崎 哲哉 豊田 貴信 堀 恵輔 竹島 里香 林 良文
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第27回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.160, 2011 (Released:2011-12-22)

【目的】中枢神経系患者における体幹機能へのアプローチは重要である。この方法の一つとして、ストレッチポール(以下SP)を応用したアプローチの展開が進んでいる。日本コアコンディショニング協会(以下JCCA)の推奨するコアリラクゼーション、コアスタビライゼーション、コアコーディネーションの段階に基づくコアセラピーは、脳卒中片麻痺患者の治療にも十分応用可能な概念である。コアセラピーについて、健常者や運動器疾患を対象とした各関節アライメントの変化と下肢筋力や下肢協調性、柔軟性等の先行研究は存在するものの、脳卒中片麻痺患者を対象とした研究は未だ少ない。そこで今回、脳卒中片麻痺患者に対して、ストレッチポールを用いたコアセラピーが立位制御機能に及ぼす影響を検討することを目的に、アプローチ前後の重心動揺を測定し、若干の知見を得たので報告する。【方法】対象は、当院回復期病棟に入院中の脳卒中片麻痺患者6名(年齢58.2歳±8.4、右片麻痺3名、左片麻痺3名)とした。取込基準は、支持なしでの開眼、閉眼での立位保持が30秒以上可能な者とした。介入内容はJCCAが提唱するベーシックセブンによるコアリラクゼーションプログラムから抜粋した7項目と、ストレッチポール上でのコアスタビリティープログラム6項目を加えたエクササイズ(以下SP-Ex)、計13項目とした。実施時間は合計10分以内とした。なお基本姿勢の保持ならびに動作遂行に関して、随時必要な徒手的介入を施した。測定には重心動揺計(酒井医療株式会社製ActiveBalancerEAB-100)を用いた。条件として、裸足にて両足部の内側縦アーチ頂点間を20cm離した立位を設定基本肢位とし、静的立位で開眼、閉眼を各15秒間、アプローチ前後に各々1回ずつ測定した。測定指標は総軌跡長、外周面積、矩形面積とした。統計的手法にはWilcoxonの符号付順位和検定を用い、有意水準5%にて比較検討した。なお被験者には研究の趣旨と個人情報の取り扱いに関し、書面にて十分に説明。同意を得た上で研究に参加していただいた。【結果】開眼時では、アプローチ前後の総軌跡長・外周面積・矩形面積において有意な変化は認められなかった。症例毎では、総軌跡長にて3例に減少傾向、残り3例に増加傾向が認められた。外周面積と矩形面積について、2例で減少傾向、残り4例に増加傾向が認められた。一方、閉眼時では、総軌跡長・外周面積・矩形面積いずれにおいても有意に減少しており(p<0。05)、6例とも減少傾向が認められた。【考察】閉眼で総軌跡長、外周面積、矩形面積の減少を認めたことは、重心動揺の振れ幅を制御できるようになったと解釈できる。今回の対象者は一側性の片麻痺患者を介入対象としており、視覚情報の遮断から、開眼時とは異なり脊柱や脊柱起立筋群、足底などの接地面の固有受容器感覚を含む感覚入力が正中位指向の改善に影響したのではないかと考えられる。またSP-Exによるコアスタビリティーの向上に加え、SPという不安定な場面でのベーシックセブンは体幹の不安定性のある片麻痺患者に対して、コアスタビリティーとしてもすでに作用し、筋出力の向上につながったのではないかと考えられた。 一方、開眼時よりも閉眼時において、アプローチ前後の静的立位バランスは改善傾向にあった。この要因として、対象者特性を考慮すると亜急性期から回復期に属する片麻痺患者であり、視覚からの情報に対して何らかの情報処理エラーが生じやすく、閉眼時よりも開眼時ではコアの安定性による影響が反映されにくいと考えた。【まとめ】今回片麻痺患者に対し、ストレッチポールによるコアリラクゼーション・コアスタビライゼーションを中心としたアプローチを実施し、静的立位バランスへの即時的効果を検証した。結果、閉眼時の重心動揺指標は有意に減少しており、静的な立位制御機能に対して、足底からの固有受容器感覚を含む感覚入力や正中位認識の改善が期待できるのではないかと考えた。 日常遂行される動作は視覚情報を取り入れながらのものとなるため、今後は視覚情報と固有感覚器感覚とのリンク可能なアプローチ方法を考え、実施することが必要と考えられた。また今回の研究から、多様な症状を示す脳卒中片麻痺患者を対象とする際には、感覚機能やUSNの有無、麻痺の程度などの特定したグループのデータ収集も必要と考えられた。
著者
松井 知之 森原 徹 平本 真知子 東 善一 瀬尾 和弥 宮崎 哲哉 来田 宣幸 山田 陽介 木田 圭重 池田 巧 堀井 基行 久保 俊一
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.463-468, 2014-10-01 (Released:2014-10-02)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

Pitching motion is made up by three-dimensional whole body movement. Pelvic and trunk rotation movement is important for the prevention of throwing injuries. Throwing is not a simple rotation movement. Evaluation should reflect muscle strength, coordination, and pitching motion characteristics. We have devised throwing rotational assessment (TRA) similar to throwing as the new evaluation of total rotation angle required for throwing. The purpose of this study was to introduce the new method and to examine the characteristics of players with throwing disorders. The subjects were 76 high school baseball pitchers who participated in the medical check. Pain-induced tests were elbow hyperextension test and intra-articular shoulder impingement test. Pitchers who felt pain in either test were classified as disorder group. TRA evaluation was performed as follows. In the positions similar to the foot contact phase, rotation angles of the pelvis and trunk were measured. In the position similar to follow through phase, the distance between the middle finger and the second toe was measured. All tests were performed in the throwing and opposite direction. Twenty five pitchers were classified as disorder group. All TRA tests in healthy group were significantly higher in the throwing direction than in the opposite direction, but there was no significant difference in the disorder group. Disorder group had significantly lower average rotation angles of the pelvis and trunk in the throwing direction and rotation angle of trunk in the opposite direction than the healthy group. Restrictions on TRA reflecting the complex whole body rotation movement may be related to the throwing disorder. This evaluation is a simple method. It would be useful early detection of throwing disorder and systematic evaluation in medical check, as well as self-check in the sports field.
著者
宮崎 哲哉 松井 知之 東 善一 平本 真知子 瀬尾 和弥 森原 徹 堀井 基行 久保 俊一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1365, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに】体幹深層筋である腹横筋は,脊柱の安定性向上,腰痛予防や立位バランス向上などにおいて重要である。Richardson(2002)は,腹横筋による胸腰筋膜の緊張と腹腔内圧の増加が脊柱の安定性に寄与すると報告している。また,太田(2012)は慢性腰痛者に対する体幹深層筋トレーニングで疼痛が有意に軽減したとし,種本(2011)は体幹深層筋への運動介入で重心動揺が安定したと報告している。しかし,腹横筋のみを意識的に収縮させる選択的収縮の獲得は時間を要し,指導も困難である(村上2010)。今回,われわれはテーピングを腹横筋の走行に沿って貼付することで無意識的に腹横筋の収縮を誘導する方法を考案し,テーピングが腹筋群に及ぼす影響について検討した。【方法】対象は,健常男性20名(平均年齢:17.9±2.2歳,平均身長:175.49±6.48cm,平均体重:72.15±10.06kg)とした。超音波画像診断装置(日立メディコ:MyLab Five 10MHz)を使用し,外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の筋厚をテーピングなし,プラセボテーピング,腹部賦活テーピング(abdominal musculature activation taping:AMAT)の3条件において0.1mm単位で測定した。測定中は通常呼吸を行わせ,呼気終末の筋厚を測定した。テーピングはキネシオオロジーテープ50mm(ニチバン株式会社)を使用し,1.4倍の長さまで伸張し貼付した。測定部位は,過去の報告に従い左側前腋窩線上の第11肋骨と腸骨稜との中央部より下部で,筋厚が最も明瞭に描写できる位置とした(犬飼2013)。プラセボテーピングは,臍部から3横指遠位を開始位置とし,腹直筋の走行に沿って剣状突起レベルの高さまで左右1枚ずつ貼付した。AMATは,臍部から3横指遠位を開始位置とし,第11肋骨下端を通り背側上方に押し上げるよう左右2枚ずつ半円状に貼付した。測定肢位は安静立位とし,貼付したテーピングに抵抗しないように指示した。なお,筋厚測定およびテーピング貼付は検者間誤差をなくすため,すべて同一検者で行った。統計は,各測定値の被験者内比較には繰り返しのある一元配置分散分析を行い,主効果が有意である場合にはTurkey-Kramer法の多重比較検定を行った。【結果】外腹斜筋の筋厚は,テーピングなし10.64±2.51mm,プラセボテーピング10.73±2.44mm,AMAT 12.36±2.36mmであり,3条件で一元配置分散分析を行った結果,有意な主効果を認めなかった。内腹斜筋の筋厚は,テーピングなし18.00±3.82mm,プラセボテーピング18.00±3.16mm,AMAT 17.70±4.07mmであり,有意な主効果を認めなかった。腹横筋の筋厚は,テーピングなし6.21±1.21mm,プラセボテーピング5.93±0.86mm,AMAT 8.02±1.53mmであり,有意な主効果を認め,テーピングなし,プラセボテーピングに比べAMATが有意に高値を示した(p<0.05)。【考察】有意な主効果を認めたのは腹横筋のみで,テーピングなし,プラセボテーピングと比較してAMATで筋厚が増加した。Urquhart(2005)は体幹深層筋トレーニングのドローインによる外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の筋厚変化を検討し,腹横筋の筋厚のみ有意に増加すると報告した。腹横筋の収縮を得るためには,表層の腹筋群が活動しないことが重要であると考えた。今回,AMATでは貼付したテーピングに抵抗しないように指示したことで,無意識的にドローイン状態を維持し,腹横筋の選択的収縮を促すことが可能であると考える。体幹トレーニングを行う上で,初期段階は,腹横筋の選択的収縮(小泉2009,村上2010)を行わせ,最終段階では,無意識下での腹横筋収縮活動の獲得が重要である。AMATは腹横筋の選択的収縮が可能,かつ無意識下で収縮を獲得できる方法であり,体幹トレーニングにおいて有効な方法と考えた。【理学療法学研究としての意義】腹横筋は,脊柱の安定性向上,腰痛予防や立位バランス改善などにおいて重要である。体幹深層筋トレーニングとして代表的なドローインでは,意識的に腹横筋を収縮させるのに時間を要す。しかし,AMATは対象者にテーピングを貼付することで,無意識的な腹横筋の収縮が可能である。評価においては,理学療法士が短時間,かつ,意図的に腹横筋を収縮させることができるため,貼付前後の疼痛,動作機能の変化をとらえ,問題点の抽出に有用であると考える。治療においては,AMATを貼付した状態で日常生活が可能なため,腰痛や動作機能を改善できる可能性がある。また,持続的に腹横筋を収縮させることが可能であり,学習効果を得られると考える。