著者
坂口 俊二 寺田 和史
出版者
関西鍼灸大学
雑誌
関西鍼灸大学紀要 (ISSN:09129545)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.30-36, 2005-05-03
被引用文献数
2

肩こり感を有する女性8名 (平均年齢45.4±10.6歳) に対し、ツボ刺激とストレッチによるセルフケアプログラムを約1時間実践してもらい、その前後で肩こり感、筋硬度およびストレスホルモンの変化を検討した。その結果、対象者全員の肩こり感が軽減した。それに伴う筋硬度の軽減 (左右差の減少) は3例しか認められなかったが、唾液中コルチゾール濃度に与える影響については6例中5例に減少が認められた。以上より、肩こりなどストレス起因症状の自己対処法としてツボ刺激法が応用可能であることが示唆された。
著者
宮本 俊和 濱田 淳 和田 恒彦 寺田 和史 市川 あゆみ 鍋倉 賢治
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.939-944, 2003-09-20
被引用文献数
7 3

円皮鍼と装丁を同様にした鍼のない偽円皮鍼(プラシーボ鍼)を使用し,マラソンレースに参加した選手の筋痛と血清クレアチンキナーゼ値(以下CK値),筋硬度に対する円皮鍼の効果を二重盲検ランダム化比較試験により検討した。対象はマラソンに初めて参加する15名の大学生とし施術,検査,データの解析に関わらない者が無作為に割付けした。円皮鍼またはプラシーボ鍼は下肢の経穴8箇所に,マラソンスタート前に貼付し,5日後に抜去した。測定項目は,筋痛のVisual Analogue Scale(以下VAS),CK値,LDHアイソザイム,立位体前屈,筋硬度とし,マラソンスタート前,ゴール後,5日後に測定した。その結果,1 円皮鍼はマラソン後の筋痛を軽減させた。2 CK値とLDHアイソザイムのLDH4,LDH5は,マラソンゴール後に上昇したが,円皮鍼の効果はなかった。3 立位体前屈は差がみられなかった。4 筋硬度は,外側広筋と内側広筋で増強したが,円皮鍼の効果はみられなかった。
著者
寺田 和史
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.758-765, 2008-11-01
参考文献数
20
被引用文献数
2

【目的】スポーツ競技者の個人的な特性が、 鍼治療の受療態度に及ぼす影響を検討した。 【方法】T大学で体育学を専攻する学生422人を対象に、 鍼治療に関する知識の量、 鍼治療に対する不安、 および受療態度をそれぞれ知識得点、 不安得点、 態度得点として定量化できる無記名の自記式質問紙による調査を行った。 【結果】対象者の標本特性から、 団体競技(団体群)と個人競技(個人群)、 および、 対人競技(対人群)と競争(競争群)に分類し、 態度得点を比較したところ、 対人群と競争群の間に有意な差がみられた。 また、 態度得点を従属変数、 標本特性や各得点を独立変数としたステップワイズ法による重回帰分析を行ったところ、 不安得点、 知識得点、 家族の鍼治療の経験の有無、 対人競技と競争による分類が説明変数としてモデルに採択された。 【結語】種目特性を含む競技者の持つパーソナリティは、 鍼治療の受療態度を形成するひとつの要因となっていることが示唆された。
著者
寺田 和史 塩見 玲子 上 英俊 灘本 雅一 中谷 敏昭
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.191-199, 2012 (Released:2012-06-02)
参考文献数
30
被引用文献数
2

The rate of perceived exertion is an easy and practical way to monitor the intensity of resistance exercise in a field setting. For middle-aged persons, weight-bearing exercise is safer than resistance training using weights. The purpose of this study was to investigate the effect of exercises using one's own body weight by measuring exercise intensity with the newly-developed perceived exertion Japanese scale (S-scale, on a 6-point scale) in middle-aged men. Twenty-five healthy men (age range, 40-70 years) were randomly and equally assigned to an exercise training intervention group (TG, n=13) or a control group (CG, n=12). TG members performed a structured exercise regimen consisting of group-based and home-based training using their own bodyweight, performing repetitions until they reached a perceived exertion intensity of 5 out of 6 (S-scale). Participants performed one set of each exercise, which included resistance training of the upper (push-up) and lower (squat) limbs and abdominal (sit-up) muscles, 3 times a week for 12 weeks. The outcome measures were body composition, abdominal girth, and blood pressure, as well as the 30-second chair-stand test (CS-30), vertical force in sit-to-stand movement from a chair, vertical jump (VJ), shoulder horizontal adduction (a test of muscle strength), 30-second sit-up test, leg muscle power using a bicycle ergometer, center of foot pressure (a static equilibrium function test), and chair sit-and-reach test. There were no incidents of injury or musculoskeletal damage due to the exercise program. At the baseline, each group was well matched in physical characteristics. After 12 weeks of intervention, we identified a statistically significant two-factor interaction between the exercise and control groups in the CS-30 (F=19.8, p<0.01) and VJ (F=34.4, p<0.01). These results suggest that weight-bearing exercises performed in conjunction with the newly-developed perceived exertion scale provide safe and effective resistance training for middle-aged men.
著者
宮下 和久 吉益 光一 森岡 郁晴 福元 仁 竹村 重輝 宮井 信行 坂口 俊二 寺田 和史
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、(1)高濃度人工炭酸浴による下肢の末梢循環促進効果をもたらす条件(温度,CO_2濃度)を淡水温水をコントロールとして検証し、(2)その上で、高濃度人工炭酸浴による下肢痛の改善効果を検証した。最終的に介護施設および家庭における高濃度炭酸浴による下肢痛改善のためのQOL評価を行ない、介護予防のエビデンスに基づく健康事業としての位置づけを試みた。有症者を含めた介護施設入所者で検討した結果、皮膚温は浸漬前後で両群とも上昇していたが、群間の差は見出せなかった。ただ1.5ヶ月の長期間でSF-8の「全体的健康感」が、刺激群で高い傾向があったことは評価できると考える。疼痛に対する効果としては、同意・協力が得られた下肢疼痛の有症者が少なく、統計学的な評価が出来なかったが、個人内では炭酸水浸漬群、淡水浸漬群ともに浸漬の前後で低下していた。レーザー血流画像化装置で末梢循環促進効果を検討すると、足背皮膚血流変化量は浸漬後に対照と比較して有意に高値であった。高齢者でも高濃度人工炭酸温水浴による血管拡張による症状改善効果が期待できた。