著者
中野 雄介 近藤 悟 森谷 高明 大西 浩行 赤埴 淳一 寺西 裕一 西尾 章治郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.5, pp.780-790, 2011-05-01

ネットワーク上の複数PCの計算リソースを用いるグリッドコンピューティングに関する研究が行われてきた.特に,Webブラウザを介して計算リソースを利用することで,より多くのPCの計算リソースを利用できる有効な手法がある.しかし,PCの負荷を考慮せずにリソースを利用するため,ユーザのWeb閲覧を妨げる可能性がある.加えて,計算対象がXMLのような複雑な構造をもち,問題分割の時間を考慮する必要がある場合,効率的に計算できないと考えられる.本論文ではこのような課題を解決する,Web閲覧者のPCの余剰リソースの効率的利用の手法を提案する.本手法はWebブラウザの負荷に応じて計算速度を動的に変化させることで,ブラウザユーザのWebページ閲覧に対する影響を考慮した計算を行う.これにより,Webアプリケーションを提供するために必要なリソースを,Webアプリケーションユーザ自身から収集することが可能となる.また,計算対象問題の分割に掛かる時間を考慮した効率的な問題の分配を実現する.
著者
吉田 幹 奥田 剛 寺西 裕一 春本 要 下條 真司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.402-413, 2008-01-15
被引用文献数
20

ユビキタス環境におけるアプリケーションでは,ユーザの位置を同定したうえで,物理的,意味的に近傍に位置するオブジェクトを探索し,発見された情報やサービスを相互に連携させて高度なサービスを実現する枠組みが必要となる.本論文では,分散環境に散在する情報やサービスを連携させるプラットフォームシステムの1 つの実現形態として,P2P エージェントをモデルとしたPIAX を提案する.PIAX の特徴は,能動的に動作するエージェントに,オーバレイネットワークの持つ強力な情報探索機能を融合させることで,ユーザの地理的位置や情報の特性に基づくサービスの発見と連携をスケーラブルに実現するところにある.オーバレイネットワークについては,新しい機構を組み込むことができ,情報探索のニーズに応じて複数のオーバレイネットワークを切り替える機能を持つ.アプリケーション構築に関しては,エージェント呼び出し機構とエージェントどうしが相互に発見・連携するための簡便なAPI を提供することで,高度な分散エージェントシステムを高い開発効率で構築することができる.本論文では,PIAX のベースとなった概念と現状の設計,マルチオーバレイ,発見型メッセージング(discovery messaging)の機構,ならびに今後の課題について述べる.In the ubiquitous environment, applications must identify the user's current geographical location, discover objects which are located near the users both physically and semantically, and combine the discovered objects to realize highly intelligent services. In this study, we propose a new P2P-based agent platform called 'PIAX', to realize such services. PIAX achieves scalable discovery and automatic cooperation of distributed services by the combination of active agents and resource discovery function of the overlay network. Especially about overlay networks, PIAX can plug in a new overlay network mechanism and has a functionality which changes multiple overlay networks according to the need of applications. Moreover, PIAX provides simple and strong discovery-messaging API for efficient development of applications. In this paper, the basic design and architecture of PIAX, the multi-overlay and the discovery-messaging mechanisms, the current status and future tasks are described.
著者
篠田 裕之 竹内 亨 寺西 裕一 春本 要 下條 真司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.16, pp.77-82, 2007-03-01
被引用文献数
1

近年のユビキタス技術の発展により、空間センサやユーザの携帯端末から、多種多様なユーザの行動履歴が取得・蓄積可能となってきている。そこで、ユーザの行動履歴から、行動パターンを抽出することで、ユーザが興味を持つと考えられる場所を推測し、推薦するシステムが考えられる。本稿では協調フィルタリング手法を適用し、推薦の対象となるユーザと類似の行動パターンを持つ他のユーザの行動履歴を参照することで、ユーザが行ったことのない場所でも効果的な推薦を行ったり、潜在的に興味のある場所の推薦を行う行動ナビゲーション手法の考察を行う。By the development of ubiquitous technology of recent years, we will be able to acquire and accumulate various action histories of users from spatial sensors and mobile devices. Therefore, a system to recommend the interested places of users by extracting action patterns from action histories of users can be developed. In this paper, we propose action navigation method by collaborative filtering, which can recommend potentially interested places or even a place where users have not been by referring to action histories of other users having a similar behavior.