著者
村田 敏 小出 章二
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.41-49, 1994 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11

従来の弾性率の測定では, 接触面である両端の影響を無視するか, 摩擦力を減じて, 引張・圧縮試験結果を両端自由の境界条件で解析する方法が行われてきた。しかし, 大部分の農産物では試料が小さくて両端の影響を無視することが出来ず, また, 接触面の摩擦力が大きくて, 両端自由の境界条件で解析するには無理があった。この研究では, 逆に試料の両端を接着固定し, 数学的には複雑であるが, 両端固定円柱に関する Filon (1902) の式を導入して, 圧縮試験によって正確に材料定数 (ラメ定数) を測定する方法を開発し, 6種類の農産物・食品についてポアソン比とヤング率を求めたのでその結果について報告する。また, これらの測定値については, 従来求められていなかった温度依存性 (5~25℃) を明らかにした。
著者
渡邊 高志 折笠 貴寛 佐々木 邦明 小出 章二 椎名 武夫 田川 彰男
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業食料工学会誌 (ISSN:2188224X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.387-394, 2014-09-01 (Released:2017-03-27)
参考文献数
28
被引用文献数
3

熱湯およびマイクロ波によるブランチング処理が,キャベツの遠赤外線および熱風乾燥における水分蒸散速度と品質変化(Brix糖度,L-アスコルビン酸)に及ぼす影響を検討した。ブランチング処理における水分蒸散速度の増加は,熱湯ブランチング処理における試料の軟化と,熱湯およびマイクロ波双方のブランチング処理における収縮抑制によるものと推察された。乾燥物におけるBrix糖度とL-アスコルビン酸は,熱湯処理と比較してマイクロ波処理で保持される傾向にあった。
著者
小出 章二 福士 祥代
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.127-130, 2007-05-31 (Released:2011-08-17)
参考文献数
17
被引用文献数
2

近年, 玄ソバは低温貯蔵されるケースが増えている。本研究は, 玄ソバを5, 15, 25℃の貯蔵温度かつ種々の相対湿度の条件で玄ソバを貯蔵し, 水分収着等温線を求め, 玄ソバの低温貯蔵時の水分管理に必要な貯蔵環境条件 (温度・湿度) に関する基礎的知見を収集した。これより, 水分活性と温度を軸とした水分等高線をプロットし, 玄ソバの水分活性について検討した。その結果, 水分15%の玄ソバは温度15℃において, 0.66以下の水分活性を示し, 微生物的観点からも低温貯蔵の有効性が示された。
著者
村田 敏 小出 章二 河野 俊夫
出版者
農業機械学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.p67-72, 1992-01
被引用文献数
5
著者
庄野 浩資 芹沢 和洋 山口 香子 牛草 貴行 松嶋 卯月 小出 章二 立澤 文見 武田 純一
出版者
Japanese Society of Agricultural Informatics
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.95-105, 2012

岩手県における主要花卉作物である切り花リンドウは,劣化すると茶褐色の"老花"となって商品価値を大きく損ねる.このため,これまで切り花の生育レベル,特に若花と変色前の早期老花を"色彩情報"に基づいて判別する技術の研究が進められてきた.本研究の特徴は,判別に利用する情報として,リンドウ花冠の"光沢"に関連する情報に注目した点にあり,今回はその定量化の方法の開発と生育レベルとの関係性を検討した.具体的には,まず2つの偏光フィルタを用いて,花冠の光沢と散乱光を含む画像,さらには,散乱光のみを含む画像それぞれの撮影を実現する低コストな画像撮影装置を開発した(ダブル偏光フィルタ法).次に,得られた画像から平滑度指標などの光沢に関連する情報を求め,これらと生育レベル間の関連性を検討し,同情報に基づく生育レベル判定の可能性を検討した.この結果,エゾリンドウ系統2品種において,平滑度指標に基づいて若花と早期老花を良好な正解率で判別可能であることを確認した.以上から,本研究におけるダブル偏光フィルタ法による光沢の定量化は,切り花リンドウの生育レベルの低コストな非破壊・非接触的測定手法の実現に十分寄与すると考えられる.<br>
著者
庄野 浩資 関 朝美 山口 香子 松嶋 卯月 小出 章二 武田 純一
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.122-129, 2009 (Released:2009-10-01)
参考文献数
8
被引用文献数
2

岩手県における重要な花卉作物の一つである切り花リンドウの収穫後の商品価値を長く保つためには,鮮度を長く維持し得る生育ステージの個体を選別・収穫することが有効と考えられるが,現状では,生育ステージの非破壊・非接触的な判定手法は開発されていない.ここで,庄野・関ら(2007)は,花冠の波長域700~900 nmにおける分光情報の生育ステージ判定における有効性を指摘したが,波長域400 nm以下のいわゆる紫外線領域に関しては未検討である.そこで本研究では,リンドウ花を紫外線領域(UVA)で撮影した画像の画素値に基づく生育ステージの判定手法の可能性を検討した.その結果,特定の一品種において同画像の花の画素値は,花粉が成熟して飛散を始めるとほぼ同時期に顕著に上昇した.ここで,花粉はミツバチなどの花を痛める昆虫を内部に誘引する要因の一つである.このため,同画素値は,これらの有害な昆虫の飛来時期を推定し,最適な収穫時期を決定する上でも有用な情報と期待される.以上の結果から,リンドウの生育ステージの非破壊・非接触的判定システムの実現において紫外線画像が果たす役割は大きいと期待できる.