著者
小川 潤
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

ローマ帝国は一般的に、支配下にある都市の自治を尊重し、それら諸都市に統治の一端を担わせることで広大な領域の支配を可能にしたと考えられています。それゆえ、ローマ史研究ではこれまで、都市に注目した研究は多く為されてきました。しかし碑文などを読むと、都市より小規模な田園地帯の共同体も独自の行政機構を有し、広範な自治能力を有していたことがわかります。本研究はこのような共同体に注目し、都市よりもさらにミクロな視点からローマ統治の在り方を考える試みであり、ローマによる属州支配の一端を明らかにするものです。
著者
上野 太郎 伊藤 誠 小川 潤 青山 敦
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.S310, 2018

<p>前庭感覚系は, 体の傾きを察知するのに重要な役割を担っており,視覚系を始めとする複数の感覚系から情報を受け取っている.しかしながら, 前庭感覚系を調べる脳計測実験を設計するのは技術的に難しく,前庭感覚情報と視覚情報の相互作用については不明な点が多い.そこで本研究では,前庭感覚入力を操作するために反転台,前庭感覚入力の手掛かりを視覚的に与えないために Virtual Reality (VR) Display を使用し,反転台によって実験協力者の体勢を変えた上で VR Display を介した落下映像に対する脳波の計測を行った.事象関連電位解析において,視覚的な落下方向に関わらず, 倒立状態では直立状態と比較して落下開始後 100-200 ms から 視覚活動の減衰が確認された. また,Granger Causality 解析において,頭頂前庭領域から視覚領域への有意なコネクションが確認された.以上の結果により,異常な前庭感覚情報によって視覚活動が抑制され,視覚処理の比較的早い段階から視覚と前庭感覚の相互作用が始まることが示唆された.</p>
著者
小川 潤 永崎 研宣 中村 覚 大向 一輝
雑誌
じんもんこん2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.215-222, 2020-12-05

本研究の目的は,時間的文脈情報を含む社会ネットワーク分析に利用可能なデータを構築することである.既存モデルにおいても,人物間の関係性に時間情報を付加することは可能であったが,それは年月日など絶対的な時間情報に基づくものであった.だが歴史史料,とくに古代史史料では,物事の前後関係といった非常に曖昧な時間情報しか入手しえないことが往々にしてある.そのような問題に対処すべく,本研究は史料中に言及される出来事の継起関係をもとに時間的文脈情報を表現し,それを用いて人物および人物間の関係性に「相対的な」時間情報を与えるためのモデルを設計するとともに,一次史料を用いてその有効性を検証した.
著者
小川 潤 大向 一輝
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.SWO-053, pp.06, 2021-03-15 (Released:2021-09-17)

ナレッジグラフの歴史学研究への応用は近年、プロソポグラフィ研究やバイオグラフィ研究を中心に進展している。しかしこれらの研究の多くは、すでに伝統的な手法によって為された二次的な研究成果を対象としたものであり、一次史料の内容そのものを記述するものでは必ずしもない。今後、歴史学研究におけるナレッジグラフ活用をさらに深いレベルで促進するためには、一次史料そのものの知識構造化を進める必要がある。こうした構造化に適用可能なオントロジーとしてはすでにFactoidモデルが提案されているが、このモデルは時間的コンテキストや曖昧性の表現に十分に対応しているとは言えず、曖昧性の大きい史料記述については課題が残る。そこで本研究はFactoidモデルを拡張し、出来事の前後関係に基づいて時間的コンテキストや曖昧性を表現可能なモデルを提案したうえで、曖昧性の大きい古代史史料を事例として実際に提案モデルを適用し、データ構築および検索性の検証を行った。
著者
小川 潤 大向 一輝 Jun Ogawa Ikki Ohmukai
雑誌
人工知能学会研究会資料
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.06-01-06-10, 2021-03-15

ナレッジグラフの歴史学研究への応用は近年、プロソポグラフィ研究やバイオグラフィ研究を中心に進展している。しかしこれらの研究の多くは、すでに伝統的な手法によって為された二次的な研究成果を対象としたものであり、一次史料の内容そのものを記述するものでは必ずしもない。今後、歴史学研究におけるナレッジグラフ活用をさらに深いレベルで促進するためには、一次史料そのものの知識構造化を進める必要がある。こうした構造化に適用可能なオントロジーとしてはすでにFactoidモデルが提案されているが、このモデルは時間的コンテキストや曖昧性の表現に十分に対応しているとは言えず、曖昧性の大きい史料記述については課題が残る。そこで本研究はFactoidモデルを拡張し、出来事の前後関係に基づいて時間的コンテキストや曖昧性を表現可能なモデルを提案したうえで、曖昧性の大きい古代史史料を事例として実際に提案モデルを適用し、データ構築および検索性の検証を行った。
著者
大曽根 暖 小川 潤也 羽賀 望 本島 邦行
出版者
日本大気電気学会
雑誌
Journal of atmospheric electricity (ISSN:09192050)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.115-125, 2013-08-01
参考文献数
16
被引用文献数
1

In our previous paper, statistical relation between anomalous line-of-sight propagation in the VHF band and occurrences of earthquakes was presented. Basically, the anomalous propagation is mainly caused by anomalous refractive index of low atmosphere. In the present paper, the anomalies of the refractive index is captured by both the direct observation of radio ducts and the anomalous propagation in the VHF band, and the relation between them and the earthquakes are statistically clarified. Furthermore, the influences of meteorological conditions, which may disperse the anomalies of refractive index in the low atmosphere, are discussed. As a result, relation between anomalous propagation and earthquakes became increasingly clear by using anomalous propagation that concurrent with S-type ducts and meteorological conditions, wind velocity.
著者
小風 尚樹 中村 覚 纓田 宗紀 山王 綾乃 小林 拓実 清原 和之 金 甫榮 福田 真人 山崎 翔平 槙野 翔 小川 潤 橋本 雄太 宮本 隆史 菊池 信彦 後藤 真 崎山 直樹 元 ナミ 加藤 諭
巻号頁・発行日
pp.1-57,

2018年4月15日に開催された「2018 Spring Tokyo Digital History Symposium」のイベントレポート。シンポジウムは、歴史研究においてデジタル技術を駆使する際のいくつかの指針を提示すべく、歴史研究者・アーキビスト・エンジニアの学際的協働に基づくワークショップTokyo Digital Historyが主催した。 本シンポジウムでは、歴史研究が生み出されるまでの4つのプロセス、すなわち「情報の入手」「情報の分析」「情報の表現」「情報の公開」に着目し、それぞれに関連の深いデジタル技術や知識を提示した。さらに、それらを活用した具体的な歴史学的実践例を提供した。このシンポジウムおよびTokyo Digital Historyは、学際的協働を必要とする人文情報学プロジェクトの好例であるとともに、歴史研究の分野においては画期的な試みである。