著者
小松 啓子 岡村 真理子
出版者
福岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、保育所が果たすべき社会的役割が変化するなか、今後保育所(園)は家庭の役割を受け継ぎ、深め、発展させていく必要が求められているという前提にたち、伝統的な食文化を取り入れた保育所(園)給食のあり方について検討した。福岡県の京築地区、筑豊地区、福岡地区、筑後地区で開所している522園の保育者を対象にアンケート調査を実施した。調査内容としては、保育活動のなかで取り組んでいる歳時記行事と園児の関わり、給食のなかに取り入れられている行事食の内容、給食のなかに取り入れられている伝統的な郷土食の内容と園児の関わり、保育活動のなかで菜園活動と園児の関わり、地域のお祭りと保育活動とした。同時に、京築地区および筑豊地区の保育所(園)に通っている6563名のを対象に、伝統的な食文化を子ども達に伝承していくための基礎資料を得るために、基本的生活習慣および食生活習慣の実態調査も実施した。我が国においては、伝統的な食文化は家庭において「おふくろの味」を通して子ども達に伝承されてきたが、これからは、そのような機能を家庭だけにとどまらずに、保育所(園)に持たせることが重要と考えられる。伝統的な郷土食を給食に取り入れることにより、これまで軽視されがちだった地城性や季節感を子ども達が体得できるようになることが期待できる。今回の調査から、保育活動のなかに給食を位置づかせ、子ども達が季節感豊かな伝統的な郷土食に関わる環境作りが、健全な心と身体を培うことに直接的につながっていくことが示唆された。なお、地城の伝統的な食文化は、人が生きてきた長い歴史のなかで、地域の食材活用、季節、行事などを背景に、人と人との関わりを通して心豊かな人間の形成に大きく寄与してきたことを考えると、伝統的な食文化を重視した保育活動は子ども達の「心の教育」に必須と言えよう。
著者
小松 啓 窪田 暁子
出版者
東洋大学
雑誌
東洋大学児童相談研究 (ISSN:02885247)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.17-30, 1998-03

今日わが国の社会福祉援助技術の領域で心理・社会的アプローチと呼ばれているモデルは,フロイトによる精神分析理論(力動精神医学)に基づく診断主義的ケースワークとしてアメリカで1920年代から発達し,アメリカのケースワークの主流となり,その後わが国でも取り入れられた援助方法である。わが国では主に児童相談所や精神医学ソーシャルワークの分野で用いられ,利用者や利用者の家族に対する治療的処遇及びその理論に基づくスーパービジョンの方法などにより,特に児童相談所を児童の臨床機関として機能させることに貢献した。その後児童相談所の行政色の強まりと共に,児童相談所の臨床機関としての機能は低減したが,児童及びその家族を行政機関において深く治療的に処遇することができた功績と,診断主義的アプローチの人間理解の深さの意義は,今日の社会福祉実践の領域において再検討されるべきであると考える。
著者
橋本 喜一朗 梅垣 敦紀 小松 啓一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究の課題は,「ガロアの逆問題に対する構成的方法」の立場からアーベル方程式を構成する一般的メカニズムを得ることを目標とするものであるが,特にガロア群が巡回群である場合に焦点を絞って研究を進めた.2000-2002年度基盤C(一般)「アーベル方程式の構成とガウス和の数論研究」において,申請者は学院生(修士)星明考君と共同研究で,ガウス周期の関係式の一部を幾何的に一般化し,多変数関数体上の巡回多項式族の構成を行った。本研究はその継続研究であり,ガウス周期の満たすある基本関係式を公理として関数体上で類似物を構成するという幾何的一般化を行ない,これによりガウス周期の既約多項式から巡回多項式族が得られるしくみを明らかにし,パラメータの個数も複数個に増やすことに成功した.すなわちガウス周期y_0,..,y_{e-l}をe個の独立な不定元とみなすと,基本関係式から関数体L=Q(y_0,..,y_(e-l))に成分を持つ行列Cが得られ,これらを全て添加した体K=Q(c_{i, j})は巡回置換によるLの固定体となる.これよりL/Kはe次巡回拡大であり,Cの特性多項式の根体となる.このアイデアに基づいて小さなeに対してパラメータ付きe次巡回多項式族が得られた.特に,この構成から得られた巡回多項式族のパラメータを特殊化し,e=7おいて定数項がn^7である簡単な表示をもつパラメータの族を得た.この結果はLehmerプロジェクトとして知られている研究の一般化を与えるもので,総実代数体の巡回拡大の単数の構成問題などに重要な研究方法を提供するものである.本研究の成果は2002年度春の日本数学会及び早稲田大学整数論シンポジウムを含む幾つかの研究集会で講演発表された.この研究を更に高次の場合に進展させることは重要な課題である.
著者
小松 啓一
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.365-366, 1975-10-31 (Released:2008-12-25)
参考文献数
5
著者
若林 功 小松 啓一 田代 俶章 間下 克哉 和田 倶幸 横手 一郎
出版者
東京農工大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

1.解析関数の代数点における値が超越数とならないとき, その代数点は例外点と呼ばれるが, 例外点の個数を上から評価するシュナイダー・ラング型定理の拡張を研究した.(1) リーマン面への拡張. 複素平面の場合の完全な拡張が得られ, 裏面の第1論文で発表した.(2) 単位円上の関数に対しては, 知られている結果より良い評価式を得ることができていたが, その改良をできるだけ一般の形に拡張し第2論文とした.(3) 上記(1)(2)の結果等は若林の東京大学学位論文としてまとめられ既に審査済みで, 63年3月に学位授与の予定.(4) 若林は(1)(2)について口答発表を行った.(i) 函数論分科会シンポジウム, 於長崎大学, 62年7月.(ii) ディオファントス近似国際会議, 於Oberwolfach, ドイツ, 63年3月.2.超越数論で有名な「四指数問題」を研究した. 上記(2)て考案された方法の考え方を適用し若干の進展が得られた.3.多変数関数の場合のシュヴァルツの補題を研究したが, 状勢を調べたに留る.4.間下は四元数射影空間およびケーリー射影平面から球面への標準的極小はめこみの剛性について研究し, 裏面の第3論文とした.