著者
本多 ゆみえ 李 慶湖 小林 弘幸
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.847-856, 2013-10-15 (Released:2013-12-30)
参考文献数
15

【はじめに】近年,医療界全体にわたり,医事紛争件数が増加している。これは救急領域においても同様であり,この領域での医師不足の誘因になっている可能性がある。しかし,救急領域の医療訴訟を詳しくみると,ある特定の疾患やその処置内容などいくつかの特徴があることがわかってきた。そこで今回,その点を検証するために救急領域の裁判例の実態を検討し分析した。【方法と症例】救急領域に関する裁判例を抽出するためTKC法律情報データベース,第一法規株式会社の法律情報総合データベース「D1-Law.com」を利用し,キーワード検索条件として「医療訴訟」または「医療過誤」を充足し,かつ,「救急外来」あるいは「救急センター」をも充足する裁判例を1965年から2011年まで検索した。そのなかで純粋に医師が当事者となり急性期の医療行為が対象となっている裁判例は50例であった。以下,疾患・年齢・性別・争点・転帰・認容率・認容額,原告側の過失主張と裁判所の判断につき検討した。【結果】全50例の内訳は,男性40例(80%),女性10例(20%),平均年齢46歳(4歳から84歳)で15歳以下の小児は6例(12%)であった。疾患は,外傷が11例で最も多く全例死亡。続いて,イレウス7例(死亡6例と後遺症1例),急性喉頭蓋炎6例(死亡3例と重度脳機能障害3例),くも膜下出血4例(死亡3例と重度脳機能障害1例),急性心筋梗塞3例(全例死亡),急性大動脈解離3例(全例死亡)であった。また賠償が命じられるパーセンテージ(認容率)は76%であり,その額(認容額)は,棄却12例を除くと平均3911万円で,1億円以上も4件あった。【結語】救急領域で訴訟になりやすい疾患は,外傷,くも膜下出血,急性大動脈解離,急性喉頭蓋炎,イレウスで,いずれも誤診が最大の問題である。
著者
小林 弘幸
出版者
慶應義塾大学大学院法学研究科
雑誌
法学政治学論究 : 法律・政治・社会 (ISSN:0916278X)
巻号頁・発行日
no.94, pp.101-125, 2012

一 はじめに二 イギリスの「独自核抑止力」三 「ナッソー協定の再交渉」四 ウィルソン政権の発足と検討の開始五 MISC一六とANF六 「チェッカーズ会合」七 防衛省の抵抗八 建造数の決定九 おわりに
著者
桑原 博道 墨岡 亮 新井 一 小林 弘幸
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.278-288, 2011-04-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

本邦における脳神経外科領域の医療裁判例30を分析した.裁判上の争点は,いくつかに類型化されるが,このうち説明義務違反に関しては,他の争点に比して肯定されやすい傾向にあった.低侵襲治療もすでに裁判の対象となっており,低侵襲であることのメリットを過度に強調するかのような説明には注意が必要である.判決言渡しまでの期間は大幅に短縮されているが,脳神経外科医などの外科医にとって,裁判を起こされること自体が精神的苦痛であることに変わりはない.また,手技ミスなど,手術に関係する過失を理由とする裁判の増加は,外科手術施行の萎縮,ひいては外科医希望者の減少につながる.そこで,脳神経外科などの外科領域においても,産科領域と同様の無過失補償制度を導入することも考慮に値する.ただし,補償額を算定するにあたって,原疾患や術式の難易をどのように考慮するかが,大きな課題である.
著者
墨岡 亮 桑原 博道 小林 弘幸
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.1183-1195, 2011 (Released:2013-01-19)
参考文献数
6
被引用文献数
1

肺血栓塞栓症は, 近年, 認知度が上昇し, 急死の転帰をたどることも多く, 訴訟リスクが高まっているものと考えられる. そこで, 肺血栓塞栓症が裁判上どのような点で問題となっているのか, 検索し得た40例の裁判例(36事例)を検証した.請求棄却判決は22例で, 一部認容判決が18例. 主な診療科は, 循環器科(7事例), 産婦人科(7事例9裁判例), 整形外科(6事例)で, 3診療科で約半数を占めた. 循環器科は, 2004年の判決以降に問題となっていた. 産婦人科では, 5事例6裁判例で, 医療機関側から, 急変した原因が肺血栓塞栓症であるとの主張がなされていた. 整形外科では, いずれの事例も下肢受傷例であった. 争点となったのは, 死因·原因(17事例20裁判例), 予防措置(16事例17裁判例), 診断の遅れ(16事例17裁判例), 救命措置(9事例10裁判例)であった. 2004年以降, 予防, 診断の遅れ, 救命措置に過失があったことを理由とした請求認容判決が7例存在した. また, 2004年以降の判決ではガイドラインに触れられているものがあった. 死因·原因などに関して, 8事例10裁判例で, 医療機関側から, 原因が肺血栓塞栓症であったことを, 過失や救命可能性を否定する根拠として主張していることが特徴であった.医療トラブル防止には, 個々の医師の対応だけでは限界があり, 肺血栓塞栓症の特質について, 患者および社会一般の理解を得る必要がある.
著者
大石 孝義 西家 弘佳 小林 弘幸 小林 智
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.683-688, 1995 (Released:2007-03-29)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

イヌに 14C-KW-4679 を 1mg/kg 経口投与後の吸収および排泄について検討し,以下の結果を得た.1.血漿中放射能は投与後 1.13時間に最高濃度(723.2ng eq,/ml)を示した後,おおむね一相性に消失し,t1/2 は4.53時間であった.2.14C-KW-4679 の血球移行率は投与後2時間から12時間まで31.7-35.5% とおおむね一定値を示した.3.in vivo における血清蛋白結合率は投与後 0.5時間から12時間まで 53.1-56.8%とおおむね一定であった.4.投与後168時間までに尿中に 73.4%,糞中に 22.9% が排泄され,総累積排泄率は 96.3% であった.大部分は投与後48時間までに排泄された.
著者
本多 ゆみえ 李 慶湖 小林 弘幸
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.847-856, 2013

【はじめに】近年,医療界全体にわたり,医事紛争件数が増加している。これは救急領域においても同様であり,この領域での医師不足の誘因になっている可能性がある。しかし,救急領域の医療訴訟を詳しくみると,ある特定の疾患やその処置内容などいくつかの特徴があることがわかってきた。そこで今回,その点を検証するために救急領域の裁判例の実態を検討し分析した。【方法と症例】救急領域に関する裁判例を抽出するためTKC法律情報データベース,第一法規株式会社の法律情報総合データベース「D1-Law.com」を利用し,キーワード検索条件として「医療訴訟」または「医療過誤」を充足し,かつ,「救急外来」あるいは「救急センター」をも充足する裁判例を1965年から2011年まで検索した。そのなかで純粋に医師が当事者となり急性期の医療行為が対象となっている裁判例は50例であった。以下,疾患・年齢・性別・争点・転帰・認容率・認容額,原告側の過失主張と裁判所の判断につき検討した。【結果】全50例の内訳は,男性40例(80%),女性10例(20%),平均年齢46歳(4歳から84歳)で15歳以下の小児は6例(12%)であった。疾患は,外傷が11例で最も多く全例死亡。続いて,イレウス7例(死亡6例と後遺症1例),急性喉頭蓋炎6例(死亡3例と重度脳機能障害3例),くも膜下出血4例(死亡3例と重度脳機能障害1例),急性心筋梗塞3例(全例死亡),急性大動脈解離3例(全例死亡)であった。また賠償が命じられるパーセンテージ(認容率)は76%であり,その額(認容額)は,棄却12例を除くと平均3911万円で,1億円以上も4件あった。【結語】救急領域で訴訟になりやすい疾患は,外傷,くも膜下出血,急性大動脈解離,急性喉頭蓋炎,イレウスで,いずれも誤診が最大の問題である。
著者
李澤 康雄 會田 秀子 雪下 岳彦 湯本 優 李 慶湖 杉田 塩 小林 弘幸
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.243-250, 2011-06-30 (Released:2014-11-11)
参考文献数
18

目的: 点滴注射の際に溶解液として高頻度に用いられる生理食塩液のうち, 両頭針付き生理食塩液の有用性について, 2ポート型ハーフキット生理食塩液と1ポート型ハーフキット生理食塩液の2種類の生理食塩液を対象に, 利便性アンケート調査および無菌操作試験を用いて比較検討した. 方法: 利便性アンケート調査では, 日常業務として点滴注射の調製作業を行っている看護師50名 (経験年数1-20年, 平均経験年数4年9ヵ月) を対象として質問用紙調査を実施した. 解析にはWilcoxonの符号付順位和検定を行った. 無菌性試験では看護師20名 (経験年数1-12, 平均経験年数3年6ヵ月) 実際に点滴調製作業を実施し, その際に作成された点滴溶解液や作業環境の培養検査を実施した. 結果: 利便性アンケート調査では14の調査項目のうち, 「溶解作業時の薬剤の確認のしやすさ」, 「無菌操作に対する注意度」, 「細菌汚染の可能性」, 「緊急使用時の迅速な対応」, 「業務時間短縮の実感」, 「バイアル (抗菌薬) と溶解液の組み合わせによる誤投薬発生の危険度」, 「投薬時の薬剤の確認容易度」, 「廃棄時の手指等のケガ発生の可能性」, 「分別廃棄の手間」, 「総合評価」の10項目において, 2ポート型ハーフキット生理食塩液が1ポート型ハーフキット生理食塩液より有意 (p<0.01) に高い評価を得た. 無菌操作試験の結果では, 作業者の手指からは培養検査により細菌が検出されたが, 溶解作業で作成した溶解液を培養検査した結果では, 細菌は検出されなかった. 考察: 両頭針付き生理食塩液は総じて有用と判断され, なかでも2ポート型ハーフキット生理食塩液は1ポート型ハーフキット生理食塩液よりも利便性の面で総合評価が高く, より有用であると考えられた.
著者
小林 弘幸 大村 卓矢 山本 知仁
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.233-239, 2015 (Released:2015-04-15)
参考文献数
17
被引用文献数
4

Speech dialogue systems, such as Apple's “Siri,” have gradually become more widespread, and in the near future, a greater number of general users will have the opportunity to communicate with such systems. To facilitate this, it is necessary for the system to communicate more naturally with users, and to realize that both verbal and nonverbal information must be taken into consideration. In this research, using an available speech recognition platform, we have developed simple dialogue system that consider utterance timing and evaluated it. As a result, it is clarified that the mean error of generated pause duration is controlled within 20msec, and the proper fixed pause duration is turned to be 600msec in this system. Moreover, the evaluation of generative models of pause duration showed that the model that synchronized the utterance duration weakly or fixed pause duration (600msec) model tended to get best results.
著者
小林弘幸
雑誌
小児外科
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.1239-1241, 2004
被引用文献数
2
著者
笹木 圭子 小林 弘幸 恒川 昌美
出版者
The Mining and Materials Processing Institute of Japan
雑誌
資源と素材 : 資源・素材学会誌 : journal of the Mining and Materials Processing Institute of Japan (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.117, no.9, pp.747-752, 2001-09-25
被引用文献数
4

Aragonite-type of light calcium carbonate was synthesized by the successive reaction using calcined-hydrous scallop shells and calcined lime stones in the aqueous system with Mg<sup>2+</sup> ions under the CO<sub>2</sub> bubbling. In order to obtain the high aspect ratios of aragonite, the reaction temperature and concentrations of Ca<sup>2+</sup> ions in the 2nd step were important. The aspect ratio of aragonite increased when the reaction temperature was higher in the 2nd step than in the 1st step of the successive reaction. When the smaller amounts of calcium source were added in the 2nd step than in the 1st step, and the reaction temperature was lower in the 2nd step than in the 1st step, large particles of aragonite were produced with no smooth surfaces. The successive reaction was useful to extend the variety of morphologies in aragonite.
著者
笹木 圭子 小林 弘幸 恒川 昌美
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
資源と素材 (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.117, no.9, pp.747-752, 2001 (Released:2006-01-08)
参考文献数
10
被引用文献数
3 4

Aragonite-type of light calcium carbonate was synthesized by the successive reaction using calcined-hydrous scallop shells and calcined lime stones in the aqueous system with Mg2+ ions under the CO2 bubbling. In order to obtain the high aspect ratios of aragonite, the reaction temperature and concentrations of Ca2+ ions in the 2nd step were important. The aspect ratio of aragonite increased when the reaction temperature was higher in the 2nd step than in the 1st step of the successive reaction. When the smaller amounts of calcium source were added in the 2nd step than in the 1st step, and the reaction temperature was lower in the 2nd step than in the 1st step, large particles of aragonite were produced with no smooth surfaces. The successive reaction was useful to extend the variety of morphologies in aragonite.