著者
足立 明彦 小林 英一 渡邉 義之 米山サーネキー 智子 早坂 典弘 鈴木 誉 岡本 美孝 佐伯 直勝
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.8, pp.597-603, 2011-08-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
13
被引用文献数
3 7

CBS(carotid blowout syndrome)は,頭頚部腫瘍に対する放射線治療後に,遅発性に動脈破裂をきたす致死的疾患として知られている.今回,放射線治療後36年および2年を経て大量出血で発症し,血管内治療で良好な結果が得られた2例を報告する.1例目は,瘤内塞栓をしたものの,2週間後に再出血し,母動脈を閉塞した.2例目は,虚血耐性を確認できたため,同様にtrappingにて止血を得た.大量出血で発症するCBSは緊急の止血処置を要する.将来的には膜付きステントに期待が寄せられるが,現時点では閉塞試験が不可能な際にも,救命目的に母動脈閉塞を要する場面は少なくない.その際,照射野を外してのendovascular trappingは永続的止血を得る確実な方法であり,有効と考えられた.
著者
小林 英一 末田 高嗣 西村 好之 大江 清登 池上 国広 山瀬 晴義
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
no.189, pp.347-356, 2001-06
被引用文献数
1

本実験の結果をまとめると次の通りである。<BR>(1) ガイドフェンス部のテンションメンバ材に剛性の高い鋼製を用いると計算条件の2kn航走時に最大曳航荷重が380kN程度と相当過大になるが,剛性の低いナイロンロープを用いると110kN程度にまで軽減でき,実用性が高まる。<BR>(2) またトラップブームに作用する波浪荷重も剛性の低いナイロンロープを採用すると100kN程度にまで低減できる。<BR>本研究では, 具体的な製品開発に必要なオイルフェンスに作用する波浪荷重計測を行い, 構造設計に必要なデータを取得するとともに, 波浪中の挙動把握を水槽実験で実施した。また荒天下で安全にオイルフェンスを降下揚収できる装置を開発設計するために必要な諸データ取得のためハンドリング予備試験を実施すると共に, オイルフェンスの波浪強度を把握するためのフェンス主要部分模型を製作し, 引っ張り強度試験を実施した。さらにこれら等に基づいて, フェンスシステムの基本設計を行った。<BR>次に高波浪中でも安全かつ効率的にオイルフェンス等をハンドリングできる昇降装置等, およびオイルフェンスの自己膨張メカニズムの基本設計を行った。主要な成果を次にまとめる。<BR>(1) ガイドフェンス部のテンションメンバ材は鋼製を採用すると荷重が多大となり索径が大きくなりハンドリングが難しくなるが, 伸び剛性の低い材料の採用により, 波浪荷重が低減され実用的な設計が可能であることが判明した。<BR>(2) ガイドフェンス曳航力, 油回収装置の係留力等設計に必要な諸データが取得された。<BR>(3) 上記実験結果に基づき曳航索がナイロンロープ, ガイドフェンスがポリエステル繊維材から構成されるオイルフェンスシステムの試設計が完了した。<BR>(4) オイルフェンスを安全に投下・回収させるハンドリング装置設計のための水槽実験を実施しシュータ方式の有効性を実証した。<BR>(5) この実験結果に基づきフェンスの等をハンドリングする展張装置の基本設計を行った。<BR>(6) さらにオイルフェンスの自己膨張メカニズムの基本設計を行った。<BR>(7) 以上により最大波高6mの海域においても十分な滞油性能を有する実用的なオイルフェンスシステムの設計が完了し実用性の見通しが得られた。
著者
久保 雅義 小林 英一 林 美鶴 原田 賢治 辻 啓介
出版者
大島商船高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、津波が沿岸・港湾域に来襲したときの船舶の被害を最小限にとどめる対応方策を検討することを目的として実施した。まずAIS(船舶自動識別装置)データの活用により、実際の航行および在港船舶の実態が把握でき、津波来襲時に船舶がとるべき行動解析のための基礎データが収集できた。次に今回開発した多数船舶が同時に避難行動をとる場合の挙動シミュレーション手法により、このAISデータをベースとして船舶避難シミュレーションを実施した結果、備讃瀬戸海域では今回想定した避難水域へ船舶が安全に避難できることが分かった。またLNG船について、津波来襲時の避難挙動の解析をシミュレーション計算により実施した結果、接岸場所よりある程度離れた場所で津波発生を認知した場合には、概ね安全に津波から逃れることができることが分かった。一方で入船係船状態からの港外避難では、途中で津波と遭遇する可能性も示唆されたが、出船係船とすることにより安全に避難できることを示した。さらに津波来襲時に係留中のLNGがその係留状態のままやりすごす状態について検討を行った。この計算を実施するに先立ち、係留状態の把握・検証用データ取得のため係留LNGについて現地実験を実施した。計測された係留張力や船体動揺のデータを計算結果と比較することにより、今回使用する係留シミュレーション手法の妥当性を検証するとともに、実係留状態での津波来襲時の挙動解析を行い安全性の検証を行った。また今回複数船舶が相互に係留された状態で津波来襲を受ける場合の挙動解析コードを開発した。これを用いた解析ではシンカー係留では係留索張力が課題となり安全使用荷重を超える懸念があるものの、たとえばアンカー係留に変更することなどにより係留索破断を避けることができることも分かった。今回開発した津波来襲時の船舶挙動解析手法群は、様々な状態での津波来襲時の挙動を解析でき、この結果を活用して津波対策指針策定につなげることができることが分かった。