- 著者
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小林 英一
末田 高嗣
西村 好之
大江 清登
池上 国広
山瀬 晴義
- 出版者
- 公益社団法人日本船舶海洋工学会
- 雑誌
- 日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
- 巻号頁・発行日
- no.189, pp.347-356, 2001-06
- 被引用文献数
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1
本実験の結果をまとめると次の通りである。<BR>(1) ガイドフェンス部のテンションメンバ材に剛性の高い鋼製を用いると計算条件の2kn航走時に最大曳航荷重が380kN程度と相当過大になるが,剛性の低いナイロンロープを用いると110kN程度にまで軽減でき,実用性が高まる。<BR>(2) またトラップブームに作用する波浪荷重も剛性の低いナイロンロープを採用すると100kN程度にまで低減できる。<BR>本研究では, 具体的な製品開発に必要なオイルフェンスに作用する波浪荷重計測を行い, 構造設計に必要なデータを取得するとともに, 波浪中の挙動把握を水槽実験で実施した。また荒天下で安全にオイルフェンスを降下揚収できる装置を開発設計するために必要な諸データ取得のためハンドリング予備試験を実施すると共に, オイルフェンスの波浪強度を把握するためのフェンス主要部分模型を製作し, 引っ張り強度試験を実施した。さらにこれら等に基づいて, フェンスシステムの基本設計を行った。<BR>次に高波浪中でも安全かつ効率的にオイルフェンス等をハンドリングできる昇降装置等, およびオイルフェンスの自己膨張メカニズムの基本設計を行った。主要な成果を次にまとめる。<BR>(1) ガイドフェンス部のテンションメンバ材は鋼製を採用すると荷重が多大となり索径が大きくなりハンドリングが難しくなるが, 伸び剛性の低い材料の採用により, 波浪荷重が低減され実用的な設計が可能であることが判明した。<BR>(2) ガイドフェンス曳航力, 油回収装置の係留力等設計に必要な諸データが取得された。<BR>(3) 上記実験結果に基づき曳航索がナイロンロープ, ガイドフェンスがポリエステル繊維材から構成されるオイルフェンスシステムの試設計が完了した。<BR>(4) オイルフェンスを安全に投下・回収させるハンドリング装置設計のための水槽実験を実施しシュータ方式の有効性を実証した。<BR>(5) この実験結果に基づきフェンスの等をハンドリングする展張装置の基本設計を行った。<BR>(6) さらにオイルフェンスの自己膨張メカニズムの基本設計を行った。<BR>(7) 以上により最大波高6mの海域においても十分な滞油性能を有する実用的なオイルフェンスシステムの設計が完了し実用性の見通しが得られた。