著者
三田村 宗樹 中川 康一 升本 眞二 塩野 清治 吉川 周作 古山 勝彦 佐野 正人 橋本 定樹 領木 邦浩 北田 奈緒子 井上 直人 内山 高 小西 省吾 宮川 ちひろ 中村 正和 野口 和晃 Shrestha Suresh 谷 保孝 山口 貴行 山本 裕雄
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.179-188, 1996-07-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

1995年兵庫県南部地震は,阪神地域に甚大な被害を生じさせた.阪神地域は都市化の進んだ場所で,人工的な地形改変が多くの場所で行われている.しかし,現在の地形図上では,その箇所が不明確であるため,過去の地形図との比較から人工改変地形の抽出を行ったうえで被害分布との関連を西宮・大阪地域について検討した.大阪地域では,基盤断層の落下側に被害が集中する傾向があり,基盤構造との関連性が存在することを指摘した.これについては,既存地下地質資料をもとにした地震波線トレースのシミュレーションの結果から,地震波のフォーカシング現象がかかわっているとみている.結論として,日本の大都市の立地する地盤環境は類似し,地震災害に関して堆積盆地内の厚い第四紀層での地震動増幅,伏在断層付近でのフォーカシング,盆地内の表面波の重複反射よる長時間震動継続,表層の人工地盤や緩い未固結層の液状化など共通した特性を有していることを指摘した.
著者
小西 省吾 高橋 啓一
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.3-18, 1999-01-25
被引用文献数
2

日本産のステゴドン属であるアケボノゾウとシンシュウゾウの下顎骨の特徴を検討した.また6種のステゴドン属と5種のゾウ亜科についても比較検討した.比較のための形質には,主に下顎結合の正中断面と下顎体の横断面を用いた.ゾウ亜科との比較から得られたステゴドン属の下顎骨の特徴は次の通りである.1)ステゴドン属の下顎体の横断面はゾウ亜科よりもほっそりしていて,下顎体の外側面は膨らまない.2)下顎体の内腹側に溝がみられる.3)下顎結合の正中断面は種によって変異があり,その多くは前後に長い.4)下顎角は膨らまない.5)M2段階以前では先行歯と後継歯が同じ面に位置する.これらの特徴は,ステゴドン属の下顎骨が長いことと関係する.一方,アケボノゾウの下顎骨の特徴として以下の点が挙げられる.1)前縁が立つ.2)下顎結合の正中断面はステゴドン属の他の種よりも前後に短い.3)M1段階の標本では後継歯が先行歯の後下方に位置する.4)第3大臼歯の舌側への湾曲は強い.これらは,アケボノゾウでゾウ亜科にみられたような下顎骨の前後短縮がすすんでいることを示す.また,シンシュウゾウはツダンスキーゾウに比べて下顎骨の前後短縮が進んでいる.このことから,両者は別種であると考えられる.