著者
長岡 信治 古山 勝彦
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.113, no.3, pp.349-382, 2004-04-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
32
被引用文献数
5 9

Many basaltic monogenetic volcanoes forming groups are distributed on Fukue Island, the largest island of the Goto Islands. The Onidake volcano group, 8×10 km across, is one of the monogenetic volcano groups in the island. It contains eleven monogenetic volcanoes, namely, Daienji, Koba, Nagate, Masuda, Shimosakiyama, Hinodake, Kamiozu, Shirodake, Sakiyamabana, Midake-Usudake, and Onidake, in chronological order. K-Ar and 14C dating results show that these volcanoes were active during 0.5-0.018 Ma. The average interval of monogenetic volcano-forming eruption is fifty thousand to thirty thousand years, while a long interval of about one hundred thousand years exists between 0.25 and 0.15 Ma. By long interval, the group is divided into older volcanoes, Daienji, Koba, Nagate, and Masuda, and younger volcanoes, Shimosakiyama, Hinodake, Kamiozu, Shirodake, Sakiyamabana, Midake-Usudake, and Onidake.At about 0.42 Ma, the activities of the older volcanoes started with Daienji volcano, which produced a lava flow in the north area. It was covered by thick lava flows of Koba volcano at about 0.38 Ma. During or shortly after the activity of Koba volcano, Nagate shield volcano with two small scoria cones became active in the northeastern area. At about 0.30 Ma, in the western area, Masuda volcano erupted to form a lava plateau and two scoria cones.After 0.15 Ma, in the central area, the intermittent activities of younger volcanoes began with lava flows from Shimosakiyama volcano, which was covered soon by Hinodake volcano composed of three lava flows and one scoria cone. Two small cinder cones with a lava flow, Shirodake and Kamiozu volcanoes, erupted on the northern part of Hinodake volcano. At about 0.03 Ma, at the southeastern end, Midake-Usudake volcano, erupted with three cindercone-forming scoria falls and five small plateau-forming lava flows covering an undated scoria cone, Sakiyamabana.At 0.018 Ma, the latest eruption of the group, Onidake volcano, commenced in the central area, the first phase of which was the Abunze lava flow originating from welded scoria falls or a mixture of lava and scoria fall into the lava ponds in craters. Simultaneously, the scoria falls generating Abunze lava flow contributed the formation of Osako scoria cone, which partially collapsed shortly afterwards, probably because Abunze lava carried the parts away. In the second phase, Onidake scoria falls covered a large area of 5×5 km, while Onidake scoria cone was formed in the proximal area. The third phase consisted of five lava flows, Ohma lava 1, 2, and 3 and Onidake lava 1 and 2, all of which erupted from two summit craters of Onidake cone and covered the northern and western foothills of the volcano.
著者
古山 勝彦 長尾 敬介 笠谷 一弘 三井 誠一郎
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.377-390, 1993-09-25 (Released:2017-06-06)
被引用文献数
4

K-Ar ages of 21 Quaternary basaltic rocks from the Kannabe Volcano Group and adjacent monogenetic volcanoes in the east San-in district were determined. In the Kannabe Volcano Group, the oldest ages, 0.7Ma, were gotten from the Nishiki Volcano. There was a long rest (about 0.5 Ma) of the volcanic activity after the eruption of the Nishiki Volcano. After that, from 0.22 Ma to recent, 6 volcanoes, if including adjacent volcanoes, 9 volcanoes, erupted intermittently. The east San-in district is the most active district of the basaltic volcanism in the San-in and Chugoku area, southwest Japan, in the present day.
著者
三田村 宗樹 中川 康一 升本 眞二 塩野 清治 吉川 周作 古山 勝彦 佐野 正人 橋本 定樹 領木 邦浩 北田 奈緒子 井上 直人 内山 高 小西 省吾 宮川 ちひろ 中村 正和 野口 和晃 Shrestha Suresh 谷 保孝 山口 貴行 山本 裕雄
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.179-188, 1996-07-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

1995年兵庫県南部地震は,阪神地域に甚大な被害を生じさせた.阪神地域は都市化の進んだ場所で,人工的な地形改変が多くの場所で行われている.しかし,現在の地形図上では,その箇所が不明確であるため,過去の地形図との比較から人工改変地形の抽出を行ったうえで被害分布との関連を西宮・大阪地域について検討した.大阪地域では,基盤断層の落下側に被害が集中する傾向があり,基盤構造との関連性が存在することを指摘した.これについては,既存地下地質資料をもとにした地震波線トレースのシミュレーションの結果から,地震波のフォーカシング現象がかかわっているとみている.結論として,日本の大都市の立地する地盤環境は類似し,地震災害に関して堆積盆地内の厚い第四紀層での地震動増幅,伏在断層付近でのフォーカシング,盆地内の表面波の重複反射よる長時間震動継続,表層の人工地盤や緩い未固結層の液状化など共通した特性を有していることを指摘した.
著者
小滝 篤夫 古山 勝彦 井上 陽一
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.35-48, 2002
参考文献数
20
被引用文献数
5

京都府北部の福知山・綾部地域に分布する第四紀層中の火山灰層について,火山灰層序の確立を目的にして,野外での記載と鉱物記載・角閃石の化学組成の分析を行った.その結果,綾部地域で4地点の火山灰層を同一のものと認定して,物部火山灰層と命名した.この地域の火山灰層の給源火山として最も可能性が高い大山の火山灰層との対比を同様の方法で試みた.その結果,物部火山灰層と大山最下部火山灰層のhpm-1(230±70ka:木村ほか1999)が対比できる可能性が高い.また,福知山市の土師火山灰と大山下部火山灰層中のDNPが従来言われていたように対比できることがわかった.
著者
紀岡 秀征 古山 勝彦 三宅 康幸 酒井 潤一 長尾 敬介 池元 壮彦 野入 久幸 小田 貴代美
出版者
The Association for the Geological Collaboration in Japan
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.464-474, 1998-11-25 (Released:2017-07-11)
被引用文献数
2

御岳火山中部更新統樽沢累層の溶岩47試料のK-Ar年代を測定した結果,古期御岳火山の火山活動は0.78±0.14 Ma〜0.39±0.006 Maの間である.年代データのそれぞれは,野外で観察された溶岩やテフラの層序関係と調和している.火山活動は,ステージ1(0.78-0.59 Ma)と2(0.53-0.39 Ma)に分けられ,ステージ1はさらに1a(0.78-0.71 Ma),1b(0.71-0.66 Ma)及び1c(0.66-0.59 Ma)に細分される.サブステージ1a,1bには主として玄武岩や安山岩の活動があり,サブステージ1c以降には安山岩やデイサイトが主体となっている.サブステージ1a,1bにはサブステージ1c以降に比べて非常に多くの泥流堆積物が含まれる.この岩相変化は,おそらく火山体の成長と関連している.すなわち,火山成長の初期には,流出した溶岩が各所で流水を堰き止め,できた湖の水とマグマとの相互作用の結果,大量の火山砕屑物が生産された.後には地形の低所は埋め立てられて,さらに粘性の高い溶岩が傾斜の大きな山体を作った結果,火山砕屑物質の生産は終わり,たとえあったにしても急勾配の調査範囲内には堆積しにくくなった.火山体がほぼ円錐状に成長したため,上述した岩相変化のタイミングは円錐火山体の全方向でほぼ一敦する.溶岩に挟在される以下の指標テフラの年代も溶岩の年代から決定できた.それらは,寒原Pm.I:0.70-0.65 Ma,寒原Pm.II:0.67-0.65 Ma,白布沢Pm.:0.61-0.58 Maである.
著者
モリス ポール 三宅 康幸 古山 勝彦 ペレス パブロ
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩鉱 : 岩石鉱物鉱床学会誌 : journal of mineralogy, petrology and economic geology (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.442-452, 1999-11-05
被引用文献数
4 5

島根県東部中海の若い盾状火山である大根島の玄武岩について全岩の主要元素・微量元素·同位体組成を分析した。K-Ar年代は第四紀の約20万年前の噴出を示している。層準ごとのサンプルの化学組成の変異は,これらがすべて同一の玄武岩質親マグマ(100 Mg/(Mg+Fe)∼56, Ni 101-160 ppm, Cr 110-226 ppm)からの分化物であることを示している。SrとNd同位体組成からは,全地球組成に近い均一な起源物質が示される。初期のマグマは後期よりも低い溶融程度で生じ,より若い溶岩の間の化学的変異は,異なる溶融程度といくらかの地殻物質混合とにより説明される。
著者
吉田 勝 奥平 敬元 有馬 真 古山 勝彦 加々美 寛雄 小山内 康人
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1)平成11年度と12年度の2年間ににかけて、インド原生代変動帯を主題とし、UNESCO-IUGS-共催事業国際地質対比計画(IGCP)No.368プロジェクトの総括研究を行った。補助金によって蛍光X線分析装置と走査電子顕微鏡を購入し、後者には既存のEDXを装着し、研究地域の岩石・鉱物の分析的研究を行い、多くの成果を得た。インド楯状地及び関連地域の内いくつかの重要地域の野外研究を実施した。インドから科学者2名を招聘し、同位体年代分析あるいはインド原生代変動帯に関する全般的な情報提供を頂いた。また、インドの研究協力者らによってインド半島原生代変動帯の重要地域の地質研究成果のとりまとめが行われた。これらによってインド亜大陸の原生代変動帯に関する広く新しい知見が得られ、多くの国際集会に参加して研究発表、討詮及び研究のまとめを行った。2)これらの研究の結果、インドの原生代変動帯はメソ原生代のロディニア・東ゴンドワナの集合テクトニクスで重要な役割を演じたこと、ネオ原生代には基本的には再変動であったことが示された。最近Powellら(Gondwana Research 4,PP.736-737)などによって東ゴンドワナのネオ原生代集合モデルが提案されているが、我々の研究成果は、この新しいモデルはさらに精密な検討を要することを強く示唆している。3)これらの研究成果は研究分担者、協力者らによって国際誌等での学術論文公表135編・国際シンポジウムなどでの研究発表59題、国際誌特別号や学会メモアなど18冊の論文集冊などとして公表され、或いは印刷中である。4)本研究の成果報告書として「インドの原生代変動帯:IGCP-368の研究成果」(英文、GRG/GIGE Misc.Pub No.15)が発行された。本書は全376頁で、第1章:東ゴンドワナ研究の最近の進歩、2章:東ゴンドワナのテクトニクス、3章:インド半島のテクトニクス、岩石とミネラリゼーション、4章:アフリカと周辺地域のテクトニクス、岩石とミネラリゼーション、5章:南極のテクトニクスと岩石・6章:その他のゴンドワナ地域の地質、7章:IGCP-368プロジェクトの活動-国際シンポジウムとフィールドワークショップ-から成り、公表論文リスト、講演リスト、文部省提出書類ファイル一式が付録として付けられている。
著者
宇井 忠英 隅田 まり 大学合同観測班地質班 荒牧 重雄 大島 治 鎌田 桂子 小林 武彦 小屋口 剛博 佐藤 博明 中川 光弘 中田 節也 藤井 敏嗣 藤縄 明彦 古山 勝彦 三宅 康幸 横瀬 久芳 渡辺 一徳
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.45-52, 1993-07-01
被引用文献数
2

Small-scale pyroclastic flows due to the collapse of the lava dome have been frequently generated during the 1991-93 eruption of Unzen Volcano. We have recorded video footages which show the generation of pyroclastic flows during January-March 1992. Two types of phenomena have been observed : deformation of the lava dome due to flowage ; and a sudden discharge of gas and ash through fractures and peeling-off of rock fragments from the surface of cooling lava blocks. Pyroclastic flows were generated only in places on the lava dome where these precursory phenomena were frequently observed.
著者
古山 勝彦 長尾 敬介 三ツ井 誠一郎 笠谷 一弘
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.519-532, 1993-11-25
被引用文献数
9

山陰東部地域の後期新生代の約30の火山についてK-Ar年代を測定した.試料のほとんどは玄武岩質単成火山からのものであるが大量に噴出したカルクアルカリ安山岩溶岩についても測定した.スコリア丘の開析の程度や溶岩が作る地形はそれらのK-Ar年代と調和している.測定試料はK-Ar年代にもとずくと,鮮新世と第四紀のものである.鮮新世の火山(浜坂,轟,大屋)は長径50km,矩形35km,N45°Wの延長方向の楕円形をなす山陰東部地区の北西・南西境界部分に分布する.第四紀の火山活動は玄武洞で1.6Maに始まり,1.3-1.5Ma,0.7-0.9Maの2回の休止期を除き,各10万年の間に1〜4の単成火山を形成しつつ完新世まで継続している.第四紀の火山活動はまとして本地区の西部と北東部で始まり中央部・南東部へ移動した.本地区で第四紀における最も活動的な時期は0.9-1.3Maの間であった.