著者
内藤 航 岡 敏弘 小野 恭子 村上 道夫 保高 徹生 石井 秀樹 黒田 佑次郎 作美 明
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

福島の地域住民や行政と連携した個人被ばく線量の実態把握、リスク対策に資する個人被ばく推定手法の開発、被ばく線量低減対策の社会経済性評価と国内外におけるリスク対策(食品基準の設定)等を分析・整理を行った。福島の避難解除準備地域における個人被ばく線量の実測値は、ばらつきは大きいものの、当初の推定より低いことが実証された。被ばく線量低減対策の費用はチェルノブイリのそれと比較すると相当高いことがわかった。本研究により得られたエビデンスは、科学的合理性が高く社会に受容されるリスク対策の検討において、貴重な情報を提供すると考えられる。
著者
小野 恭子 藤井 健吉 大沼 進
出版者
一般社団法人 日本リスク学会
雑誌
リスク学研究 (ISSN:24358428)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.143-146, 2021-04-25 (Released:2021-04-24)
参考文献数
6

The committee of Society for Risk Analysis, Japan translated a report “COVID-19 a risk governance perspective” into Japanese, which was published by International Risk Governance Center (IRGC). This article introduces the Japanese translation of the report to share the state-of-art of risk governance methodology for Japanese readers. IRGC risk governance framework, which can be used as a structured method for examining the steps of solving various risk problems, was customized to COVID-19. IRGC proposed the five stages of the framework as follows: scientific assessment, perception, evaluation, management and communication. IRGC re-organized procedures which were used for cope with COVID-19 problems on these 5 stages and listed remaining challenges for each stage. Finally, IRGC listed 10 lessons (might be) learned for the immediate future.
著者
小野 恭子 大竹 美登利
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.25, 2009

〔目的〕商品経済が発展した今日、多重債務などの金融に関連する諸問題は、私たちに身近な生活問題となっている。そうした商品経済社会や金融経済社会は子どもたちにとっても遠い存在ではなく、カードや携帯電話やインターネットなどの普及により、知らずに金融商品を利用していることも多い。そうした現代では、子どもたちが主体的な経済生活を行うために、金融知識の学習や、実践力を身につけることが求められていると言えよう。多重債務などの消費者被害に巻き込まれる第1の要因は、必要最低生活費が保証されないことである。すなわち、生活の経済的な側面を主体的に営むためには、生活費の意味や構造を学ぶことが必要と考える。家庭科では、経済に関する学習として、これまで消費者教育を基軸に据え、消費者被害にあわないため、あるいは巻き込まれた場合の対処方法を学習するノウハウを学習することが多かった。そこで本研究では収支バランスを取り上げ、生活費の構造を学ぶこととした。 今回は、子どもたちも関心が高く、選択幅と金額幅が大きい衣服の購入を教材とした。その際、子どもたちが身近で具体化できる題材として、今度行く移動教室でのハイキング場面で着用する衣服を選び、各人が必要とした購入金額合計額から、被服費が高い場合低い場合によって、食費や娯楽費などの他の費目の金額を節約したりする必要があることを確認し、生活費には収支バランスがあることを学ぶ授業を展開した。〔方法〕1.授業展開 小学校5年生1クラス(男子19名・女子20名)を対象に、2008年7月に行った。授業の流れは、_丸1_移動教室に持っていた服を振り返り、良かった所と改善できるところを考え、ワークシートに記入する。_丸2_各班に1セットずつ用意されている長袖メリヤスシャツ、長ズボン、レインウェアー、それぞれ価格・機能・デザインがそれぞれ異なる3種ずつ、計9種のカードから、それぞれ1枚、3種選択する。_丸3_選択した理由とその合計金額をワークシートに記入する。_丸4_ある生活費の例を提示し、被服費が増加すると食費、娯楽費などの他の支出を減少させなくては、収支のバランスがとれないことを確認する。_丸5_購入を決定した服の購入金額を3パターンに分け、金額が高い場合と低い場合によって、外食や遊園地などに行ける回数といった子どもたちに身近に感じられる具体的な食生活と娯楽内容3パターンを示したプリントを提示し、金額の増減の具体的イメージを確認した。_丸6_授業全体の感想を、ワークシートに記入する2.分析データ ワークシートの記入内容と、授業を記録したビデオの児童の発言や呟きをおこしたプロトコルから、児童の学びの内容を分析した。〔結果〕1.服を選択した理由として、男子は「デザイン」を女子は「活動的機能」を最も多く挙げていた。各班で、自分と友だちの選択理由を確認したその結果、自分はあげておらず友だちがあげていたものは「価格」であるとする児童が38%と最も多く、この活動によって「価格」が選択要素のひとつであることを気づくことになった。2.生活費の収支バランスの学習をした後には、被服費が増えると食費や娯楽費など他の支出を減らさないといけないことに気づいた児童が23%いた。収支のバランスを取るために、被服費を減らすことを考えた児童が25%、被服費ではなく食費や娯楽費を減らすことを考えた児童が23%いた。3.授業全体の感想からは、「洋服などを買うときに大きなサイズを買って長持ちさせる」など今後の被服購入について記述してあるものが67%と一番多かった。次に「バランスを考えながら生活しなくてはいけないことがわかった」や「洋服を買うときには、ほかのことも考えて買わなくてはいけない」など収支バランスに関するものも54%書かれていた。被服費を減らすことだけでなく、収支バランスについての考えも書かれていることより、収支バランスを理解できたことがわかった。