著者
蒲生 昌志 岡 敏弘 中西 準子
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-8, 1996-02-29 (Released:2010-06-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

発がん性物質を含む化学物質への曝露によるリスクの尺度として,損失余命を提案した。損失余命を用いることの利点は,曝露や影響の年齢を考慮できる点,および,がん以外の影響についても推定が可能な点である。ここでは,10-5という生涯発がんリスク(生涯曝露すると10万人に1人がその曝露により過剰に発がんするリスク)を,生命表を用いて損失余命に換算する手法を説明し,推定値を求めた。発がん性物質への曝露と過剰ながん死亡との関係について,放射線発がんのデータを基にしたモデルを基準モデルとし,モデルの検証の意味で,仮定を一部変更したモデルも検討じた。10-5の発がんリスクに相当する曝露レベルに生涯曝露することの損失寿命は66分と推定された。また,同様なレベルの曝露が存在する労働に20歳から49歳の間従事することによる損失寿命は12分と推定された。さらに,平均的な日本人が1年間曝露した場合の曝露年齢での損失余命は0.83分と推定された。
著者
内藤 航 岡 敏弘 小野 恭子 村上 道夫 保高 徹生 石井 秀樹 黒田 佑次郎 作美 明
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

福島の地域住民や行政と連携した個人被ばく線量の実態把握、リスク対策に資する個人被ばく推定手法の開発、被ばく線量低減対策の社会経済性評価と国内外におけるリスク対策(食品基準の設定)等を分析・整理を行った。福島の避難解除準備地域における個人被ばく線量の実測値は、ばらつきは大きいものの、当初の推定より低いことが実証された。被ばく線量低減対策の費用はチェルノブイリのそれと比較すると相当高いことがわかった。本研究により得られたエビデンスは、科学的合理性が高く社会に受容されるリスク対策の検討において、貴重な情報を提供すると考えられる。
著者
住岡 敏弘
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.89-103, 2009-03-06

本稿は、アメリカ合衆国における人格教育に対する連邦政策の背景、政策の展開の特質と課題について明らかにした。人格教育運動は、1960年代以降の道徳教育方法の変化や若者の道徳の退廃状況に対して、アメリカが建国当初から重視してきた道徳教育を復興しようとする動きと捉えられる。その動きは、連邦政策のなかで学力向上政策と結びつき、人格教育に対する補助金事業をはじめ様々な連邦施策が開始された。人格教育に対する連邦政策の展開過程をまとめると、『危機に立つ国家』以降の学力向上への模索のなかで、学力向上に際して道徳性や規律の重要性が意識されてきた。その後、クリントン政権のもとでは、大統領自らが一般教書のなかで人格教育の重要性を訴える等、人格教育を推進していく連邦政府の姿勢が明確にされた。これらを背景として、『アメリカ学校改善法』のなかでは、人格教育に対する補助金がパイロット事業として制度化された。さらに、ブッシュ政権のもとで、『落ちこぼれ防止法』が制定され、同法のもとで人格教育補助金事業は正式な事業として位置づけられ、さらに連邦教育省の戦略プランにも「強い人格と市民性」の促進が掲げられるなど、人格教育は連邦教育政策のなかで確たる地位を確立してきたといえる。
著者
住岡 敏弘
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.243-256, 2012-03-02

人格教育をめぐる政策としては、「人格教育における連携事業」(Partnership in Character Education Project)が有名である。この事業は、1994年に、クリントン政権のもとで成立した『アメリカ学校改善法』(Improving America's Schools Act)のなかで規定され、人格教育プロジェクトについて州政府に対する補助金規定が盛り込まれた。その後、ブッシュ政権のもとで2002年に成立した『落ちこぼれ防止法』(No Child Left Behind Act)においてもこの事業は引き継がれ今日に至っている。しかし、「人格教育における連携事業」創設以前にも、連邦政府は既に人格教育に対する補助金事業を行っていた。1981年10月には、『シティズンシップの原理の教授に教育分野の包括補助金を使用する権限を付与する法律(An Act to authorize the use of education block grant funds to teach the principles of citizenship)(PL97-313)』が成立し、レーガン政権下での『初等中等教育法』の改正法である『1981年教育統合改善法(Education Consolidation and Improvement Act of 1981)』チャプター2の包括補助金から、シティズンシップ教育プログラムの改善に対して補助金が支出することが可能になったのである。この規定にもとづき、人格教育プログラムの改善にも連邦資金が使われてきたのである。本論では、シティズンシップ教育に対する連邦政府の公的関与に対する本格的な分析の前段階として、同法成立に向け連邦議会で提出された法案ならび公聴会での論議についての確認を行った。
著者
住岡 敏弘 Toshihiro SUMIOKA
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.243-256, 2012-03-02

人格教育をめぐる政策としては、「人格教育における連携事業」(Partnership in Character Education Project)が有名である。この事業は、1994年に、クリントン政権のもとで成立した『アメリカ学校改善法』(Improving America's Schools Act)のなかで規定され、人格教育プロジェクトについて州政府に対する補助金規定が盛り込まれた。その後、ブッシュ政権のもとで2002年に成立した『落ちこぼれ防止法』(No Child Left Behind Act)においてもこの事業は引き継がれ今日に至っている。しかし、「人格教育における連携事業」創設以前にも、連邦政府は既に人格教育に対する補助金事業を行っていた。1981年10月には、『シティズンシップの原理の教授に教育分野の包括補助金を使用する権限を付与する法律(An Act to authorize the use of education block grant funds to teach the principles of citizenship)(PL97-313)』が成立し、レーガン政権下での『初等中等教育法』の改正法である『1981年教育統合改善法(Education Consolidation and Improvement Act of 1981)』チャプター2の包括補助金から、シティズンシップ教育プログラムの改善に対して補助金が支出することが可能になったのである。この規定にもとづき、人格教育プログラムの改善にも連邦資金が使われてきたのである。本論では、シティズンシップ教育に対する連邦政府の公的関与に対する本格的な分析の前段階として、同法成立に向け連邦議会で提出された法案ならび公聴会での論議についての確認を行った。
著者
岡 敏弘
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田學會雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.105-123, 2001-04-01
被引用文献数
1

小特集 : 地球温暖化対策および循環型社会の形成1 はじめに2 経済的手段の「利点」の整理3 税と補助金との組合せ4 自動車税のグリーン化5 炭素税と協定との組合せ(北欧型)6 税プラス協定プラス排出権取引(イギリスの場合)7 温暖化国内政策のあり方
著者
住岡 敏弘 Toshihiro SUMIOKA
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.73-84, 2014

本稿は、アメリカ南部で、プランテーション労働を支える労働力として奴隷制が発展していくなかで、どのように黒人に対して「読み書き」の教授の禁止の法制化が展開したかについて、ジョージア州を事例に取り上げ、明らかにしてきた。その法制化過程は大きく2つの段階に分けることができる。第一段階は、奴隷法による奴隷に対する読み書きの禁止の法制化の段階である。第二段階は、1829年の、いわゆる「反識字法」の一環として「黒人商船隔離法」が制定された段階である。こうした段階を経て、リテラシー教授禁止は自由黒人にまで広げられ強化されていった。
著者
岡 敏弘
出版者
福井県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

福島第一原発事故によって放出された放射性セシウムによる食品汚染に対してとられた規制政策の効果と費用とを評価し、費用便益分析を行い、効率的な規制のあり方を示した。規制に対応する対策として、出荷や生産の制限と農業における放射性セシウム低減対策を取り上げ、その費用を測った。また、政策の効果は、規制によって消費者が摂取する放射性セシウムの減少によるがんのリスクの低下によってもたらされる損失余命の減少によって測った。損失余命1年減少の便益を2000万円とした時、米の効率的な基準値は390Bq/kg、あんぽ柿の効率的な基準値は3600Bq/kg、または徐々に厳しくなる基準値であることが明らかになった。
著者
秋山 励 高田 英裕 山中 唯生 大熊 晴之 末次 康江 金岡 敏弘 熊木 哲 石原 和哉 花見 充雄 松村 哲哉 渡邊 哲哉 味岡 佳英 松田 吉雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FTS, フォールトトレラントシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.476, pp.31-36, 2001-11-22

64MビットDRAM内蔵オンチップMPEG-2エンコーダLSIを開発した.大規模・高速なLSIをインプリメントするために, マルチクロックの階層的スキュー管理, クロストークノイズを考慮したタイミング検証, デカップリングキャパシタによる電源のIRドロップ対策を実施した.その結果, 162MHz動作ブロックにおいて, クロストークノイズを考慮した検証で目標性能の263MHz@1.5Vを満足させると共に, IRドロップを166mVに抑えることを可能とした.